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そにあずれこーどについて(&24年の総括)
はじめに
24年年末に投稿した「そにあずれこーど/初音ミク」という楽曲の解説…
…というか内容をだらだらと解説を試みてみる記事です。
改めて過去作とのつながりをイメージした作品だったんですけど、
随分と変わったところ、変えないように頑張ったところとかあったので
そうしたことをお喋りできたらいいな~とか思ったり。
この「~について」ってのも最近だと割と定番というか、
楽曲投稿したらすぐやるようになってきましたね。
個人的にボカロPというかアーティストってこういった文章などもあまり残さない神秘性というか、秘匿性?みたいなものが強くある印象なのでこんなにおっぴろげて話しちゃっていいのかなとか感じたりしてます。
ただ、僕の作風としてある程度はきちんと形にして話すほうが良いんだろうなとは思うので、何卒ご容赦…!
いないとは思いますが、まだ聴いてないよ~って人が居たらここから見て聴いてくれるとすごく嬉しいです。
毎回言ってる気がしますが、ここから先の話には所謂、ネタバレだとか答え合わせにも近い内容も書きます。
楽曲を聴いて感じた感情や想いは貴方のものだから、
そういったものを侵害されたくなければすぐにこの記事を閉じてくれると嬉しいです。
こんなん作者が勝手に言ってるだけやぞ。
また、年末の総括もあるのですがちょっと時間が足りないのでやや簡潔に。
文字数が少ないかも?だとしたらごめんね…!
出発地点
0001を作り終えて、そこから起こったことを一通り自分の中で受け止めて、またそこから考えていったものを発展していったら自然とできたもの。
そにあずれこーどはそんな作品だと思います。
根本的に、これまでの花畑シリーズとはまた違い
0001という作品から生まれた番外編、
自分の中でも曖昧になっていたつながりや作品同士を繋げる存在。
そんな風に考えながら少しづつ組み立てていったものになるので、
概要欄では「いわゆる、外伝というやつです」とか言ってるワケですね。
直接的な続編や精神的な続編という訳でもなく、
自分の中でも、聴いてくれる人たちのためにも
「こうしてお話は繋がっていたんだよ」って示すためのものとして初めから考え始めていました。
構想
こちらについてはなんと楽曲のほうから先に作りました。えらい!
(0001は小説が先にあった)
というのも、この時点で構想として宇宙を舞台にした作品になることは決まっていたので、自分なりにそういったイメージになるように音を置いていったんですけどとりあえずできたのがこちら。
縺昴↓縺ゅ★繧後%繝シ縺ゥ
— 🐤🐤とりぴよ🐤🐤 (@Torisan2019) October 22, 2024
wip pic.twitter.com/q4aEKzP5YL
この時点でおおまかな方向性、楽曲としての内容は決まっていました。
とはいえ、この時点では来年2月くらいに出すよ~めっちゃ出す!って思ってたんですけどこれを出してから暫くしてドワンゴのスタッフさんから連絡をいただきまして…。
こちらの企画に参加させていただくことになり、
改めてこちらに投稿する作品として作り始めることになりました。
「12月くらいに投稿する楽曲とかないですか?」
みたいな聞かれ方した瞬間に
「ありますね!!!!!!!!!!!!」
って言うしかなかった。
まぁ実際作ってたし?頑張ればいけるでしょ!ってなった。
(呼ばれてうれしいので頑張ろうとしている)
結果的に自分の中ではわりかし急ピッチとなる2か月ほどを納期として動画も含めて作っていくことになったのでるねつきさんとお話ししながらてんやわんやしながら作っていきました。
楽曲について
楽曲面に関してのコンセプトは
「花畑シリーズの面影を残しつつ、宇宙っぽさを出す」
とかいうとてつもなくフワっとしたものを掲げていました。
そのため、いろいろと試行錯誤した結果今回の楽曲の構成は
ピアノとストリングを前面に押し出したサウンドから始まり、
そこから段階を踏んでサビに突入するといった形になりました。
当初はもう少し外連味のある、
8bitサウンドを下地に置いた音からスタートしていたのですが
な~~~~んか宇宙っぽくねえよなぁ~~~~って
僕が文句言ったのでいっそのこと、と思って全没にしてたりします。
2番の「ちょっとぐらりと~」のくだりはその時の名残で、
実は初稿だとスタートの時点であれから始まってました。
ただ、情緒があまりにもないなあと思ったので今の形になってます。
また、今回は少し違った試みとして
BPMが従来の花畑シリーズが140であったのに対して、
154というやや早めになっていることが挙げられます。
というのも、幾つかこれには理由を置いていて
花畑と0001を繋ぐ作品のため、BPMも中間に置いた。
外伝作品のため、既存とは違ったものにしたかった。
・シンプルにおどロボみたいな作品が作りたかったので少しBPMを早めてみた。(サビ前のデデデデデッって入り方は完全にここからの影響)
というものがあります。
(影響を受けたものは広めたいので公開していくスタイル)
結果的にみんなの耳にはどう聴こえていたのか
僕には知る由はないのだけれど、
これまでの作品の面影が少しでも見えていたらうれしいなあと思うわけです。
ここからはちょっとした小ネタの紹介になるのだけれど、
興味があれば聞いてみてね。
・かなり聞き取りにくいけどサビで左耳あたりに実はモールス信号が流れている。
・多くの人に言及はされたけれど、2番の入り方は完全に過去作のオマージュです。
・ラスサビの「思い出を貴方へと」の部分はメロも含めて花畑シリーズに共通するメロディ。また、以降のコーラス隊が花畑シリーズの旋律に変化する。ってギミック入れてました。また、この時の奏でた旋律の順序が時系列順になっているというイメージで作ってました。
最後に、作中で用いていたストリング音源に関する話なんですけど
実は作中で弦楽器は一度も用いていません。
というのも、今回使用していたのはメロトロンという楽器で、
「世界最古のサンプラー」とも呼ばれる特殊な楽器です。
個人的にこの音がすごく好きで、
本家のストリングとは違ったまた…なんというかチープな音味になるんですけど
それがそにあとすごく合うな、と思って採用していました。
個人的にかなり推してる楽器になるのでみんなも使ってみてね。
声について
今回のミクさんの調整は実は最後まで悩んでいたのですが、
最終的に今のような声質に落ち着きました。
当初は0001で用いていた声とは差別化するために
真逆のハツラツとした声質を用いていました。
しかし、楽曲が完成に近づくにつれて
僕の中にあった「Sonia」というキャラクターとそれに込めた想いから
きっとそにあの声はもっと優しいものになるだろう、と思ったため
今の声質に落ち着きました。
この時の時点では小説を書き始めてすらいなかったので、
今にして思えばかなり早いうちからそにあのキャラクター像は
定まっていたんだな~って思ってます。
結果的に、0001で用いていた模範的なミクの声でもなく、
かといってDiva-0001のような声質でもない中間くらいの声質になってしまったのですが、「そにあ」というキャラクターのイメージにぴったりな声質になったと思っているのでだいたい満足しています。
動画について
動画はるねつきさんと相談しながら、
そして小説と平行しながら制作してました。
まずはSoniaというキャラクターの外見が決まらないとイメージが湧きにくいなーと思ったので自分で大まかにデザインしたものをるねつきさんに投げて改めてデザインし直してもらいました。
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ここでさらっと出てきますが、Soniaは多くの方から言及された通り、
ボイジャーをモチーフとしてデザインされていました。
というのも、0001の記事でも言及した通り
昔からボイジャーという物語が好きで、
そこから発想したものが今作になった…という感じです。
0001の記事を書いた時点でおぼろげに構想としては浮かんでいたので、
記事内でも実は言及したという経緯があります。
動画の制作に関しては0001の時とは違い、花畑がベースとなっていたこともあって滞りなく進みました。
期間的な余裕はないっちゃなかったんですけど、0001の時は三日とかでガっとくみ上げたんでそれと比べたら…って感じです。(無職だし)
ただ、一点だけ困った点があったんですよね。
今作は宇宙が舞台だったと言う事もあって、
るねつきさんにも当初から「宇宙がテーマで!無重力感が出したくてさァ!」みたいな熱弁をしたんですけど、これが意外と動画としてくみ上げると難しい。
というより、BPMに同期させる動きをつけるのが難しかったんですよね。
別にやらなくてもいいんですけど、音ハメとしてはやっぱりやりたいし
なかったらないで寂しい気もするしなあと思ったので相談を重ねていきました。
そにあのデザインはこれまでのキャラクターよりもツインテールの動きがふわふわとしているのですが、そこも含めて無重力感が出せてればいいなって思うなどしています。
ちなみにこのふわふわ感を演出するためにツインテールのアニメ枚数はこれまでのものより多くなってるため、
なんとるねつきさんが専用のプログラムを作成して調整してくれました。
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こんな感じで駄弁ったりしながらも動画としてくみ上げてますが、
実際には
・そにあのキャラクターイラスト
・背景の宇宙っぽい風景のデザイン、及びプログラム提供
・周辺のUIのプログラム提供
・ゴールデンレコードのリデザイン、プログラムの提供
等、ビジュアル的な部分は概ねるねつきさんが担当してくれています。
しかもこれ事前にやってほしい!とか言ってるわけじゃなくて
動画制作の過程で必要になったらお願いして、
かなり短期間で作りました!って言いながら提出してくるのでわりかしバケモンすぎて笑ってました。本当にいつもありがとうございます…!
最後に、動画の最後に0001の風景を持ってくる、というのは当初から自分の中で決まっていました。
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これはコンセプトでもある「つながりを示す」という事を意識した結果だったのだけど、話づくりの一環として最初は正体のわからない「そにあ」というキャラクターがこれまでの物語で「どこにいたのか」と言う事を示すための種明かしという部分にもなるだろう、という打算もありました。
楽曲がスタートしてから一貫して過去作とは関連のないような歌詞が連ねていかれる中でこのタイミングだったらみんな感覚的にわかってくれるかな、って思ってた部分だったのでコメントを見る限り多くの人が「つながり」を感じてくれたみたいで嬉しかったです。
小説について
これはもうシンプルに、書きたいから書きました。
って感じで…実際に読んでもらえれば概ね僕の考えたことがざっくりと伝わるように書いたつもりです。
今回は地の文を用いず、Sonars.01という探査機…
つまり「そにあ」というキャラクターの目線から描いた記録、という体で会話形式でのSS的なものになりました。
前回は誰かの口伝というか、物語形式だったのに対して
なんでそうなったのか、というと一言で言えば
「あいまいな表現をしたかったから」
という言葉に尽きます。
というのも、今回のそにあずれこーど、という作品は花畑シリーズと0001を繋げるためのものとして作ったというのは前述したとおりですが、
だからといって細かい部分まで僕から提示してしまうのはもったいないなあと感じたためです。
また、僕自身がこういった「誰かの目線のみで語る」という形式の作品が好きだったりするので(SIRENやいりす症候群のような断片的に何が起こったのかを察するタイプの作品など)
花畑から0001に至るまでの間に、何が起きてどういうお話があったのか?という事を断片的に、そして意図的に曖昧に表現をしました。
それに、ここはちょっとだけ作品の内容にも触れますが
Sonars.01、そにあは根本的にSONARS計画というものの内容を断片的にしか知らされておらず、そのため作品としても色々なものを伏せて描いたほうが自然だなと感じたためああいった形になりました。
ここからは余談にはなるのですが、
当初はあそこまで長い話を書くつもりはなく、
短編集的なショートショートを書くつもりだったのですが
自分の中でこれ書いておきたいな、とかここはしっかり書いておいたほうがいいな、と楽しんでいくうちに文章量がえらいこっちゃになっていきました。
ちなみに最終的には3万文字いってたらしいです。
前作の0001の添付小説が7000文字前後だったことを考えるとどう考えてもやりすぎで草。
これもあってか、評価に「熱量が凄い」と仰っていただけることも多いのですが、自分としてはただ楽しんで表現をしているだけなので、
「…これが…熱量…?」
という初めて能力を使った少年漫画の主人公みたいな気持ちになってました。
描きたかったもの
作品としてのつながりを示すため、とコンセプトはあったものの
所謂「裏テーマ」的なものはしっかりと別にありました。
それは"音が届くことの尊さ"について。
これは0001を発表したからこそ考えた事でもあり、
ボカロPとして活動を始めてから少しずつ自分の中で育まれていった感情でもあります。
広い広いインターネットという場所に対して、
誰に見てもらえるかも解らないまま音源を発表する、
という事は自分は正直、今でも怖いままです。
見てもらえなかったらどうしよう。
誰にも届かなかったらどうしよう。
酷い評価を押されたらどうしよう。
辛辣な感想を寄せられたらどうしよう。
これは処女作である幻想ノスタルジアを投稿したときから
ずっと変わらず、今でも思う事です。
誰かに届けたくて音楽を作ったのに、誰にも届かないなんて、
作品を作る立場としてはこれ以上の恐怖は無いと思ってます。
だからこそ、誰かに見てもらう。見つけてもらう。聞いてもらう。
そうしたことがどこまでも尊く感じられるのです。
だからこそ、今作は音を届ける物語になったのかな、と思います。
これはどこかで語りましたが、
前作の0001は率直に言えばボーカロイドという文化へのラブレターのつもりで作ったものなのだとしたら今作そにあずれこーどは僕自身が持つ、音楽が人へと届くことに対するラブレターなんじゃないかな、と思います。
↑どこか
僕がどういうものが好きで、
どういう事を感じていて、
何を愛しているのか。
そういったものが少しでも伝わればいいな。とか。
そんなことを想うのです。
そうして、それに対する思いが
そにあを貴方の元へと届けたのなら。
僕はそれをどこまでも誇りに、そして尊く思います。
モチーフについて
モロバレしてて草。
これはもうめちゃくちゃわかりやすかったですね。
そにあずれこーどはシンプルに、自分が描きたかったものと
それに近しい感情を抱くに至った作品群を大いにモチーフにして作られています。
まずは前述したボイジャー。
これは幼いころから大好きで、定期的に見ていた
とある無生物の冒険譚です。
僕が生きている間、彼の物語は終わることはきっとないだろうと思っていたので遠い世界の、それも気の遠くなるような遠くの出来事だと思っていたのですが案外近況報告が流れてくるので元気そうで微笑ましいです。
事実は小説より奇なり、とはよく言ったものですが、
彼の物語がそにあずれこーどよりも暖かく、そして光につながるものになりますようにと願っています。
続いて、こちらもコメントなどで言及されてましたがこちら。
SCP-1281 「さきがけ」です。
当然ながら、こちらもモチーフのひとつでした。
悠久の時を超えて、誰かにただメッセージを伝えることの尊さがこの作品には詰め込まれていて、Soniaにもきっとそういう言葉を届けるのだろうな、と感じたときに自然と読み返していました。
最終的にGolden Record Epilogueという動画に含まれる文言の一部として引用をさせていただいています。
ただ、滅びに向かうだけの暗い夜より、
ほの明かりでもいいから小さな温もりがあったほうがきっと良いのだろう。
そう感じたときに一番ダイレクトに伝わる、と思ってああした形で公開しました。
また、先ほどの動画でCVを務めていただいたのは僕ではなく、
前から交友関係のある方にお願いをしました。
コメント欄でとりぴよさんの声かな?って言われて
違う違う違う!!!!ってなってたのはまた別の話。
この方には楽曲提供もさせていただいていますので、
よければ見ていただけると嬉しいです。というか見てくれ。
普通に良い曲になったから。
(ちなみに作曲者とVtuberみたいな関係じゃなくて
普通にお話ししたり遊んだりする仲なので
まーじで依頼するときなぜか緊張した)
(ほどほどに遠い関係のほうが依頼しやすい関係ってあるよね)
最後に、もうひとつだけモチーフとなったのがこちら。
さきがけと同じく、SCPからのモチーフなのですが
日本で作成された記事で、SCP-2000-JP 「伝書使」という作品です。
詳しくは語りませんが、よければ実際に元記事でも、動画でもwikiでもいいから見てくれると嬉しいです。
約束、という言葉はこの記事の影響から来てるのかな、と思います。
(歌詞を書くとき、自然と出てきた言葉の一つでしたが
思い直すとこういうとこなのかなって)
24年すごかった~という感想
Twitter(現X)でも投稿しましたが、いやはや、なんというか色々と波乱に満ちた年になりました。
2024年のまとめ動画作りました。
— 🐤🐤とりぴよ🐤🐤 (@Torisan2019) December 30, 2024
今年は自分的には色々起きたな~ってなる一年でした。
来年もどうかよろしくお願いします。 pic.twitter.com/PZGmoByeLC
活動内容としてはそこまで数は多くないですが、
なんというか…質?というか手ごたえ?みたいなものが多くある年になったなあという印象です。
なんなら無職になったことが一番の事だったのは内緒。
だとしても、多くの人から感想を頂けるようになったり、
交友関係も新しく広がったりと自分の活動の進歩を実感することができました。
改めて、僕の楽曲を聴いてくれた方、関わってくれた方、
そして企画のために奔走してくれたスタッフの方々に深く感謝申し上げます。
結局のところ、どういう形であれ僕という存在は誰かに見てもらうことができなければ在り続けることはできません。
今こうして振り返って、今年は確かに生きることができたなあと感じれるのは一人残らず"見てくれた"方々のおかげだと思っています。
これからも見続けてほしい、とまでいくと傲慢にも思えますが
見たい、と思えるように頑張りますので、
何卒応援していただけると幸いです。
最後に
今年の活動は終始、初音ミクという存在、そして足立レイという存在に背中を押され続けてきたなと感じます。
鳴花とふらわ、いわゆるガイノイド組にも背中は押されていましたがこれまで以上に確かな手ごたえがあったのは彼女たちの力があってこそのものだろうと思います。
過去に積み重ねてきたものがこうした形で繋がって、また新しいものができていくのであれば。
きっと来年もまた良いものが作れるのだろうな、と確かな希望を感じています。
あたらめて、今年は本当に良い年になりました。
2025年は節目ですし、いろいろと新しいこともできていけたらな、と思います。(無職だし)
やりたいこと自体はたくさんあるし、作りたいものも結局尽きることはないのでまたどこかで名前を見かけたら気軽に見ていただけると嬉しいです。
来年もどうかよろしくお願いします。
またね~!
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