Joe JusticeのCSPO研修を受けてきた
2024年3/21,22とJoe Justiceさんが講師のCSPO(Certified Scrum Product Owner)研修を受けてきたのでまとめます。
@piyonakajimaと5年間のスクラム
2019年に前職SIerにて「アジャイル開発の組織を立ち上げる」際に社内で研修を受けてスクラムマスターを始めたのが、スクラムとの出会いでした。
ウォーターフォール信仰家の冷たい目線を横目に、ロッカーの背面に模造紙とふせんをペタペタ貼り、バーンダウンチャートを組織誰でも見えるところに見せて、動くプロダクトを見せつづけました。最終的に社外から受託案件を1つ取ることができたのですが、2020年「もうこれ以上アジャイルには取り組まない」という組織の意思決定が発信されたことで転職を決意しました。
「真面目にアジャイルやるためにはトップダウンの意思決定が必要」という現実を学び、「どうすればアジャイル開発に真摯に取り組めるか?」という問いを立てた結果「アジャイルコミュニティにスポンサーを出し続ける企業ならやれるだろう」と仮説を立てRSGTのゴールドスポンサーに毎年入っていたKDDI(現KDDIアジャイル開発センター:KAG)に転職をしました。
時は過ぎて2024年。そのスポンサー枠でうたを歌っています。https://youtu.be/h9QTQtNamHA
なんだかんだでもうスクラムと5年向き合っていることに気が付きました。
Joe JusticeのCSPOを受けよう
RSGT2024のSpeakers Dinnerでふりかえりの黄色い森さんから「一緒にJoeのCSPO受けましょうよ」と誘われたのがきっかけでした。その場の勢いとノリで帰宅後申請をしました。KAGはScrum Incがグループ会社にいることもあり、RPO/RSMは必修になっているのですが、CSPO/CSMはチャンスを逃して受けられずにいました。自分の考えるスクラムと研修として習うスクラムとのギャップや共通点について改めて向き合う良いチャンスだと思い研修を受けることにしました。
研修の気づき
「Product Ownerは人という考え方ではない」
一番の気づきは「Product Ownerは人という考え方ではない」という話でした。講義の中で、以下のような話がありました。「プロダクトオーナー(PO)は、責任(アカウンタビリティ)であり、人という考え方ではない。」
一方で、スクラムガイドでは、「POは1人の人間である」と明記されています。これについて、これは一見矛盾して見えるという質問をしたところ以下の回答を得ました。
「プロダクトオーナーの責任という概念は個人の性格や能力を超えたチーム内での役割を示しており、そのために人とは別のものとして捉えられることがある。スクラムガイドは責任の所在を明確にすることを強調している。プロダクトオーナーという役割が具体的な人物よりもその人が担う責任と権限に充填をおいている」
ちょっと難しかったので解釈に時間をかけたのですが、
POは1人の人間である
一方でPOの責任は多岐にわたるため、責任を果たすためには1人の人間では負いきれない
チーム一丸となって取り組む必要がある
POの役を担う人とチームメンバーの両方に責任がある
ということだと解釈しました。(違ったら指摘してください)
ペルソナは1人じゃない
JoeのCSPO研修では、購入者、ユーザー、ステークホルダー、インフルエンサー、メンテナンス、監査人、アジャイルチームの7種類のペルソナがでてきました。スプリントゴールで達成したいゴールにあわせて優先するペルソナが変わる、という説明がありました。
ユーザーストーリーはサイズと価値(value)をそれぞれ見積もり、value/sizeで計算しそれを元に優先順位を決定しました。
ペルソナによってvalueが異なることや、スプリントゴールによってどれが大事か検討するワークがあり、状況によってそこはかわるなぁ…と思いました。ペルソナは複数立てたことがあるものの、プロジェクトに対して予算決定権限のあるステークホルダーをペルソナとして捉えたことは今まであまりなかったので、やってみようと思います。
テスラの脱予算経営
テスラでは予算がない経営をしており、これによりコロナ禍で電子チップが不足した際現場担当者が自分のクレジットカードで迅速に購入し、別のサプライヤーから更にハイスペックなチップを購入することができたそうです。それにより、予算がある企業では意思決定できず販売台数が下がったという話が紹介されました。
チームも大事だけどトップダウンの意思決定が大事
その後チームで様々なワークを通して実際の業務の会話を重ねました。共通して出た話題として、アジャイルにおいて自己組織化されたチームや小さく始めることは大切なのですが、チームがアジャイルに動くためにはトップの意思決定が必要不可欠であるということでした。
そのためには、小さく動くものを作り、事あるごとにトップにアピールする機会が重要だという結論に至りました。
モジューラーアーキテクチャ…?
10年前組み込み開発のソフトウェアを開発していた身として、ハードウェアの開発をアジャイルで実践するということにまだ信じられない部分があります。CI/CDもテストもソフトウェアのように自動化は難しいハズ。どのように実現しているのか最後に訪ねた所、専用のソフトウェアで自動化しており、詳細はJoeDXというクラスを受講するよう言われました。
最後に
Registered Product Ownerとはまた違う気づきを持って帰れたように思います。スクラムを始めたての人だけではなく、何年かやったからこそ得られる気づきがありました。
研修頂いたJoe Justiceさん、ABI(Agile Business Institute)の皆様、研修者の皆様、Team7(チーム名「テキーラタートルズ(Tequila Turtles)」)の皆様、沢山の気付きをありがとうございました。