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やきものに親しむIII 磁都・景徳鎮1000年記念 中国陶磁のかがやき(出光美術館・2004年7月)

※過去の展覧会のレビューです

2004.7.27 Tuesday

相田みつを美術館のあとは、歩いてすぐそばにある出光美術館に行きました。ここは出光興産の創業者・出光佐三氏が蒐集した美術品を公開しています。特に、陶磁器の展示が多いのが特徴のようです。

さて、この展覧会も、実に見ごたえのあるものでした。

もともとわたしは、ライフワークとして磁器絵付けをしています(2004年当時)。手掛けているのは基本的にはマイセンやセーブルなどの西洋のもの。

でも昨今では世界的なアジアブーム・日本ブーム。この美術館で見られるような中国風(シノワズリー)のものはとても人気があり、すごーく参考になるのです。

またこの美術館には常設で、コレクションの洋画・日本画を展示しています。展示室の外のサロン前の廊下にはルオーの油絵が、常設展示室には素晴らしい屏風が展示されていました。

そしてココのもうひとつの目玉は、なんとノルウェーの『ムンク美術館』の協力で、常に3枚のムンクの絵を展示しているということです。

行きたくても、遠い遠いノルウェー・・・ココでムンクに触れられるのは、何たる幸せ。一時はムンク見たさに、行列もできたのだとか。『叫び』以外のムンクに触れたい方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
(※出光美術館は建替のため長期休館中(2025年2月現在))


 中国江西省景徳鎮は、カオリン粘土や陶石などの磁器原料、燃料の松材、水運の便に恵まれ、唐末・五代から窯業が芽生えました。そして宋の景徳元年(1004)に、宋王朝から鎮(小商業都市)名に景徳の名を与えられたのです。以来、宋代には白磁・青白磁(影青)、元代には青花(染付)、明・清代にはあらゆる色絵技法がこの地で発展し、世界的な磁器の都になっていきました。
 本年は、「景徳」鎮となって1000年目にあたりますので、これを記念して、各時代の景徳鎮窯の名品を展観し、磁都―景徳鎮1000年の足跡と、景徳鎮磁器の真髄をご覧いただきます。
■特別出品
・青花蓮池魚藻文壷 元時代 大阪市立東洋陶磁美術館蔵(重要文化財)
・釉裏紅花卉文大壷 明・洪武時代 個人蔵(重要文化財)
・瑠璃地白花牡丹文盤 明「大明宣徳年製」銘 大阪市立東洋陶磁美術館蔵(重要文化財)
■主な
・青白磁獅子紐蓋水注 北宋時代
・青白磁刻花牡丹唐草文吐魯瓶 一対 北宋時代
・青白磁刻花蓮花文深鉢 北宋時代
・青花龍文壷 明「宣徳年制」銘
・色絵人物文壷 明・嘉靖時代
など約150点

休催日 毎週月曜日
観覧料 一般800円 高大生500円(団体20名以上 200円引)
中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です)
会場情報 出光美術館イデミツビジュツカン Idemitsu Museum of Arts
会場住所 〒100-0005 千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
ホームページhttp://idemitsu-museum.or.jp/

https://ac.nact.jp/artcommons/user/detail/7270

中国江西省東北部の景徳鎮地区は、豊富な白色粘土(陶土)--カオリンや磁器原料である陶石に恵まれ、昌江から長江に通じる水運の便を利して、唐末五代(10世紀)から窯業生産が開始されました。
ついで宋代(10世紀後期~13世紀中期)には白磁・青白磁(影青)の産地として飛躍的に発展し、格調高い“宋磁”の一角を担いました。
またとくに、13世紀末以降、景徳鎮磁器が元・明・清各王朝の宮廷の御用(官窯)器となったため、さらに飛躍的な技術革新がなされ、その白磁・青花(染付)・色絵は世界的な名声を確立しました。
同時に、明代後半から清代にかけて(16~18世紀)の中国経済の発展と、官窯で磨かれた技術をもって、景徳鎮の手工業者--民窯の生産力の拡大と、その製品の工芸美術としての発展がうながされ、国内の他の窯を圧倒、中国最大の窯業生産地となりました。歴代の景徳鎮磁器は、中国国内はもとより、輸出により世界各国の窯業に大きな影響を与えています。  
この間景徳鎮は、一窯業村から出発し、やがて陶磁器の商取引が盛んになり、人々が集まり始めて市が立ち、商店・住居ができて小商業都市--鎮が形成されました。
北宋初期には窯業とともに大きく発展し始め、第3代真宗趙恒の時に鎮名に「景徳」を与えられます。
「景徳鎮」となってますます発展し、明代には「四時雷電鎮」と呼ばれるほど、日夜炎と煙が立ち上っており、上級の行政区画--浮梁県より繁華な都市になりました。今日では、周囲の市や県を従えた大行政区として「景徳鎮市」が置かれています。

https://www.museum.or.jp/event/17869

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