SHIRO番外編*あきのうんどうかい*



ある秋の日。
しろとくろを描いた女の子が、画用紙に不思議なものを描きました。

女の子はその絵をお母さんに見せながら

「これはかけっこしたときの絵で、これはね、みんなでたまいれしてる絵だよ。」

と楽しそうに話していました。

その様子をしろとくろは画用紙のなかでみつめていました。

部屋に誰もいない時間に、しろとくろは紙から出て女の子の描いた新しい絵を見に行きました。

絵の下にはお母さんの文字で
「うんどうかい」

と書かれていました。

「うんどうかいってなんだろう?」

しろが尋ねると

「みんなでいろんな競技をして、誰が1番か競う日だって前になんかで本で見たなぁ。」

くろが言いました。

うんどうかいを実際にしているところを見たことがないので、くろの説明もそれ以上出ませんでした。

ですが、女の子が笑顔で話して描くくらい楽しいことだということはわかっていました。

そこでふたりは、うんどうかいを知っているものを探しに行くことにしました。

うんどうかいについて知っていた人物は、意外にすぐ見つかりました。

それは、女の子のよく持っているリュックについたキーホルダーのくまで、名前はクッキーと言いました。
女の子がそう呼んでいるので、その名前になったのでした。

クッキーは誇らしげにうんどうかいについて話しました。

かけっこについて、

つなひき、玉入れ、

音楽に合わせたダンス、

話すごとにクッキーは目を輝かせ、

それを聞くしろとくろも心が動かされ、とてもワクワクした気持ちになりました。

話し終える頃には、そのうんどうかいをやりたいという気持ちになっていました。

そこでさっそくしろとくろは、らくがき3人組、ベルたち、積み木の国の小人たち、ゼットに声をかけました。

みな、おなじようにクッキーの話を聞き

準備に取り掛かりました。

かけっこで走るラインは、女の子が描いた絵をそのまま使うことにし、

会場は積み木の国になりました。

玉入れに使う玉は、ベルたちがいらなくなったテーブルクロスを切ってつくりました。
カゴはキッチンにあった鍋を用意し、積み木を積んでから置きました。

綱引きの綱もケイトを探してきて編み込んでつくりました。

積み木の国の広場に女の子の絵を置き、うんどうかいの会場が完成しました。

さっそくうんどうかいの開始です。

しろ率いるしろ組と
くろ率いるくろ組に分かれました。

まずはかけっこ。

クッキーの、よーいどんの合図で順番に走りました。

それから綱引き、玉入れとチームで競い合いました。

競ったことがなかった彼らは、勝って嬉しい気持ち、負けて悔しい気持ちをチームで共有しあい、次こそはと競技を重ねるごとに絆が深まっていきました。

そして最後は音楽に合わせてみんなでダンス。

小人たちとティムがメロディを奏でてくれて、黄色いベルを筆頭に、みんなで楽しく歌いながら思い思いにダンスを踊ったのでした。

うんどうかいが終わった後、みな腰をおろしました。

「ふぅ、うんどうかいって思っていた以上に面白かったね。」

「そうだね、また次の秋もやりたいね。」

くろの提案にみんな笑顔でうなずいたのでした。



*ひとこと*

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
すっかり秋になったので、番外編で秋を感じられるものを書きました。

まだまだ書き溜めていますので、今後の作品も楽しみにしててくれたら嬉しいです😊

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