利き手のマニキュア
久しぶりにマニキュアを塗ろうと思い立った。
どちらから塗るか決めているわけではないけれど、いつも右の親指から。
私は左利き。無意識に、自然に動くのは左手。
右手はすぐに塗り終わって、さあ次は左の親指。
綺麗に綺麗に右手の爪を彩ってくれた左手に慣れない右手で色を塗る。
どうしても手が震えて、不格好になってしまう。
色のムラ。塗り残し。
気になりはじめると、もう一度塗り直そうかとまで思うけど、塗り直した後の方が汚くなるって経験則で分かっているから、そのままに。
私の体で一番の働き者――左手を綺麗に彩るには私の右手ではまだ足りない。
他の人の手を借りないと、この働き者は労えないのかもしれない。
ああ、そのためにネイリストさんはいるのだろうか、なんて思った。
たまに気まぐれに爪を塗るくらいしかこのようなことに頓着してこなかったからネイルというものをしてもらったことがないけれど、いつか自分がネイリストさんの所へ行くとしたら、それは
自分の働き者の左手に「ありがとう」をするため。