世紀末シティー・長安
自己紹介記事で『キンとケン』なる歴史長編を連載していると書いた以上、チョット自作品の紹介などしてみたいところである。
まずこの『キンとケン』
物語の舞台は約2000年前の中国だ。
2000年前の中国は漢(かん)という国が中原(現在の中国の東半分くらいに広がる平野)を支配していた時代で首都は長安(現:西安)である。
この漢という国は始皇帝で有名な秦(シン)の後に、劉邦(リュウホウ)という人物によって建てられた国である。
紀元前202年〜紀元後8年までを前漢、
紀元後25〜220年までを後漢という。
そして『キンとケン』は前述の前漢王朝の末期
紀元前7年〜前1年頃を舞台に、実在した皇帝・劉欣(リュウ キン)とその寵臣・董賢(トウ ケン)を主人公にした漫画である。
さて、この劉欣と董賢の二人には「断袖」(ダンシュウ)という故事が残っている。
*断袖の故事は以下の通りである(コトバンクより)
(漢の哀帝が、寵愛する男、董賢との昼寝から目覚めた時、帝の袖を下に敷いて眠っている賢を起こさないように気遣い、袖をたちきって起きたという「漢書‐佞幸伝・董賢」の故事から)寵愛の深いことのたとえ。転じて、男色のこと。
そーゆー故事ゆえにBL好きの方々の間ではちょっとした有名人が主人公の漫画であるわけで、当然BLにフォーカスした内容にしようかな?と企画段階では思っていた…だってBL可愛いし楽しいし好きだもん!
…だがしかし、連載を読むとお分かり頂けるように、この『キンとケン』そんなにBLにフォーカスしていない!
何故か!?
それは…!
漢書(前漢の出来事を記録した歴史書)を読んでいて気づいたのだが…
この前漢末という時代が本当に本当に激動の時代で、魅力的過ぎるからなのである!
権謀術数渦巻く宮廷!
度重なる天災!
世にはびこる怪しい予言!
格差と汚職!
そして社会不安!!!
もうね…全部乗っけたってくらいの世紀末っぷり。
まさに世紀末シティー・長安!
我輩、前漢末に90年代末期に流れていた“あの感じ”を完全に受信致しまして候。
BLも好きです
でも…
世紀末はもっと好きです!
という感じで、ノストラダムスよろしく不安と露悪と退廃の時代を健気に生き抜くラブリーコンビの漫画を描くに至ったわけなのである。
そーゆーわけで作品紹介はここまで。
戸塚からは以上です。