NISAをどう使うか、fundnoteの投信 / ポッドキャスト『投資家の日常は、いとをかし。』 #25 2025年1月 前編テキスト版
以下はこちらのポッドキャストのテキスト版です。
renny:ポッドキャスト「投資家の日常は、いとをかし。」このポッドキャストは投資歴20年を超える個人投資家の吉田さんと僕rennyが、日常のことから興味深いと思ったことを、投資に絡めてお話しています。吉田さん、2025年もよろしくお願いいたします。
吉田:今年もよろしくお願いします。
iDeCoとNISAの使い分け
renny:最初にお話ししようと思ってるのは、年が改まって、新しいことを始めようという方も当然多いかと思うんです。2024年はNISAが変わって初年度ということで、去年から投資を始められた方も、たくさんいらっしゃるんじゃないかなと思います。2025年から始めたいな、と思ってるような方もいらっしゃるかなと思ってですね、これから株式投資を始めよう、という方へのアドバイスみたいなものをお話していこうと思います。吉田さんはどんなアドバイスというか、何からとっかかればいいとお考えになってますか?
吉田:最近はNISAばかりが注目されているので、相談をされる方の年齢によっては、まずiDeCoから始めた方がいいんじゃないかみたいな話はしますね。
renny:その心はどういうことですか?
吉田:やっぱりのiDeCoはが社会保険料控除もついてきますし。でも若い方だと最初からiDeCoにしちゃうと65歳まで引き出せないから、お金を使いたくなった時(例えば結婚や出産等)に困っちゃう。なので年齢によりけりで、あとはその人の現在の収入とか貯蓄額に応じて、iDeCoとNISAのどっちを先にやるか考えた方がいいのかなって。
renny:そうですね。iDeCoっていう仕組みもあったりすると、どっちが得とかどっちが損とか考えてしまいそうですよね。
吉田:そうですね。ちゃんとその違いを理解した上で選んでほしいな、っていうのがまずありますね。
renny:その違いがすぐになるほどっていうふうなぐらいシンプルだったらいいんですけどね。特にiDeCoの方が難しいですかね。NISAは商品云々という話に入り込むと話は別ですけれども、仕組み自体はNISAの方がシンプルといえばシンプルですかね。
吉田:そうですね。
renny:事前の準備でお話している中で、吉田さんが調べてくださったデータがあったと思うんですけれども。
若年層のNISA活用状況
吉田:金融庁がNISA口座の利用状況を3ヶ月ごとに発表していて、たまたま9月末現在の統計を目にしたのですが、30代の方が積極的に口座を開いてるんだなっていうのがわかったんです。30代の人の口座数が9月末で440万口座ぐらい。そして30代の人の今の人口が1,300万人。
renny:3人に1人ぐらい。
吉田:はい。3人に1人が口座開いてて、割合としては30代が一番高いんです。
renny:これまで株式投資がなかなか根づかないと言われてきた中で、若い世代の人たちが3人に1人、NISA口座を開いてるのは、これまでにない結果が出ていると考えてよさそうですよね。
吉田:そうですね。このデータ見るまでは、もうちょっと平均年齢が高そうなイメージがあったんですけど、30代が一番多いっていうのは結構意外でしたね。
renny:僕も結果をお聞きして、意外だなと思っていました。よく若いうちは自分に投資と言って、金融資産に投資にするよりも、自分の価値を上げるために、資格を取るとか学校に通うのが大事だと言われたりする中で、選択肢のひとつとして株式投資が広がってきてるっていうふうなことなんでしょうね。
吉田:そうですね。自分に投資するのはそんなにお金かかるかな?っていうのもあるので。
renny:自分に投資するというと、どちらかというとお金よりも時間の話になるのかもしれないですよね。
吉田:何かの講座を受けるしても100万を超えるものはそんなにないと思う。私も20代の時に税理士試験の講座を受けたりしたけど、50万ぐらいだった気がするので、お金に余裕があるなら投資して、そこから学べるものをと考えても、それはそれで勉強になるからいいんじゃないかな。
NISAをどう使うか?
renny:そういうふうな調査結果からすると、NISA通じて株式投資に取り組まれる人が増えてきてるっていうことだと思います。その中でNISAの場合は課税されないところに重きを置くと、短期間でちょこちょこ利益確定してしまうことも考えられると思います。ふるさと納税の状況を見てても感じますが、日本人は本当に税金払うのが嫌いなんだなと。NISAで短期売買をするのは、個人的には非常にもったいないなと思うのですが、そのあたりの考え方で、吉田さんがお感じになってることはありますか?
吉田:短期ではきっとうまくはいかないと思うんですよね。自分もNISAの口座は使いにくいなって思うのは、投資した企業の株価が必ず上がるっていうこともなくて。投資してみて1,2ヶ月後に決算発表は見てみて、見込み違いだったと売ることもあるし、長年やってきても4割は失敗するかなと。だからNISA口座で投資したものが必ず利益が出て、税金を得できるっていうものでもないので…
renny:そういう意味では、たとえばいきやりNISA口座で投資するんじゃなくて、特定口座でお試しみたいに買ってみて、それでうまくいかなかったら手放せば損益通算もできる。そういうふうな形で投資してみたもので、これはもうちょっと長く持ってもいいかなと思った企業が出てくれば、NISA口座へと段階を踏んで、という使い方も考えられますね。
吉田:そうですね。買い増す時にNISAの口座を使うのはありだと思います。個別株投資の話になりますが。
renny:投資信託でも似たようなところがあるんじゃないすかね。もちろんインデックスファンドを選ぶんだったら、関係ないと思うんですよね。でも運用方針がはっきり示されているようなアクティブファンドの場合は相性もあると思いますし、いきなりNISAで買ってしまうとそれで枠使っちゃうんで、最初お試し期間はNISAには入れないとかっていうようなことはありかなと。
吉田:その投資信託と長く付き合おうって決めた時点からNISA口座で投資するっていうのはあるかもしれないですね。
renny:いきなりNISAで投資するのはどうなの?って話は意外に少ないかもしれないですよね。こないだ見た記事に、年始一括投資がいいのか、積み立て投資がいいのかと検証して、年始一括の方が確率的に良さそうだ、というものを見ました。たまたま去年は年始一括が正しかったんだと思いますが、今年は果たしてどうなのかな。たしかに時間軸をすごく長く取れば、年始でも年末でもバラして買っても一緒なら早く買った方が、機会損失減らせるという考え方はあるにはあるとは思うんですが。とはいえ個人的には今買うのはちょっとどうかなとは思ってます。
吉田:私も今年に入ってから何もしてないですね。
renny:僕もこんなの無理だろうなという、すごい安い指値を入れて待ってるような企業がいくつかありますが。まぁ急いで買わなくても、ここ何年かの株価の上がり方を見てると、今年はさすがに…とは思うのですが。さっき少しだけ投資信託の話が出てましたが、事前にこういうお話しましょう、っていうのを擦り合わせてる中で、吉田さんが今月の後半に設定されるファンドのこと取り上げてみては?というお話だったのですが。
fundnoteの投資信託
吉田:最近いろんなところで見かけていた元お笑い芸人の井村さんが助言をするファンドができるらしく。YouTubeで話をしてるのを見たことがあるのですが、いろんな企業の決算書、情報開示を血が出るほど読んだ上で、投資先を決めてるみたいなことを話されてたので、ファンドになったら月次レポートにどんなことを書くのかなって興味あるんですよね。
renny:fundnoteという新興の独立系運用会社さんの投信なんですけれども、こちらの運用会社ではもう1本12月にIPOのクロスオーバーのファンドを設定されていて、僕は投資してるんです。それの絡みもあって井村さんのファンドの存在も知っていたのですが、グッとは来なかったんですよね、αを獲得しますとのことで、αといえば市場平均よりも上を取りますという話ですけど、よくよくファンドの説明とかを見てると、実態の価値に対して株価が割安なのもαに含まれるという書き方もされてて、バリュー投資なんじゃないの?と感じました。あと販売用の資料を見てると、ハードルーティーンと書き連ねられているのを読むと、この人は会社が好きっていうよりも相場が好きなんだなと。
吉田:絶対そうだそうだと思います。
renny:僕はそこがピンと来なかったんです。相場の先を察知して投資の成果に繋げたい、って僕には見えちゃって。会社のことをもっと深く調べるとか、どういう事業でどういう未来を描いてるのか、みたいなところに重きが置かれているようには、僕には見受けられなかったんですよね。たしかに吉田さんおっしゃるように、情報発信されるのかっていうのを注目したいなと思うんですけれども。
吉田:そうですね。あと気になるのは、個人としてはすごい投資家だけど、チームで動いた時にどうなるのか、っていうのはちょっと気になるところですね。
renny:あと、すごい細かい話なんですけれども、このファンドの運用期間が10年で設定されているんですよね。だから10年経ったら独立して自分でやろうか、というようなことを考えているのかなと思ったりします。それにファンドになると資金は入ってくるだけじゃなくて、出ていったりもするわけじゃないですか。自分が買いたいと思ったときにはお金が出ていって、自分が売りたいときにお金がジャブジャブ入ってくることもきっとあると思うんですよね。それをどうコントロールするのか。個人でやるのと、投資信託という箱を使ってやるのとでは、ずいぶん違ってくるのかなと。もう一つ売りにされてるかなって感じたのは、投資先の企業との対話を前面に押し出されているとは思うんですけれども、相場を追いかけるタイプの投資とは相容れないように感じるので、どういうふうにそれを調整するのかなと疑問です。とはいえ新しいファンドなので、どんなふうになっていくのか見ていきたいと思っています。
renny:僕が投資しているfundnoteのもう一つのファンドの方が、1回目の月次レポートが出たのですが、結構あっさりしてたんで…。ちなみにファンドマネージャーの方にインタビューする機会をもらって、ポッドキャストに流しています。今後、月次レポートがもうちょっと熱くなってくれたらいいなと思っています。ただ面白いのはIPOしてそんなに時間経ってないような投資先の中が、組入上位に入りながらも5番目ぐらいにトヨタ自動車とかが出てますよね。
吉田:へぇー、一番投資してるのがアストロスケールなんだ。(※オマケ…このAIの文字起こしを確認している最中に、発行済み株式の約19%保有する株主が全株売却というニュースが流れてきました。IPO間もない企業はこういうのが怖かったりする。)
renny:なかなか面白い上位10社だなとは思ってて、これが来月どういうふうに変わってるのか。こういうファンドも面白いかなと思って買ってみたんです。上位10社の中で一番びっくりしたのがシマダヤさん。うどんや蕎麦とかスーパーで麺類を売ってるメーカーさんが去年の10月にスタンダードに上場してたんです。
吉田:そうだ、なんか見た気がする。
renny:もっと面白かったのは、シマダヤがIPOする前に100%の株持っていたのは、メルコホールディングス。あのバッファローも傘下に持っている会社。
吉田:そうなんだ。
renny:名古屋繋がりでメルコの傘下に入っていたのがスピンオフしたようです。スタートアップというと最新技術の会社のイメージがありますが、時々シマダヤさんのような会社のIPOもあるんですよね。2023年には青森で鮭の養殖をしてるオカムラ食品工業会社さんが上場したりとか。僕の今持ってるファンドの上位10社はこの会社知らないなというケースはほとんどないので、こういうファンドに投資してみるのは面白いかなと。万人にすすめられるファンドではおそらくないとは思うんですけど。また、未上場株をファンド経由じゃなくて直接持ちます、っていうのがこのファンドの特徴なのですが、月次レポートをご覧いただいたらわかる通り、まだそういう資産はないので、どんな会社に組み入れされるのかすごく楽しみにしています。そういうことが起きたら臨時レポートが出るのかな。そうなったら、またこのポッドキャストでも紹介できたらなと思っています。最初の話に戻りますが、吉田さんは今年、まだ何もやってらっしゃらないとのことで、今年も当面は待ちですか?
吉田:金利が下がるまでは、そんなに無理しなくてもいいかなっていうのありますね。
renny:そうですよね、トランプさんになって何が起こるかっていうのがね、前段階かわかんないすけど中東で停戦の話が出てきたり、ロシアとウクライナもどうなるのかというのもあるでしょうし。
吉田:そうだ、たぶん去年お話したと思うんですけど、ノストラダムスの大予言みたいな日が今年の7月5日。何かあったら株価下がるかもしれない。
renny:本当に起きたらそんな悠長なこと言ってられる話じゃないかもしれないですが…。2025年まだ始まったばっかりなんですけれども、あんまり焦らなくてもいいのかなっていうようなのが、吉田さんはそういう今見立てですか。
吉田:そうですね。特に安くて買いたい企業があるって状況でもないので、ひたすら本を読んだりして遊んでるっていう感じですね。
renny:これから投資を始める人にアドバイスをしようと話し始めたのですが、あんまりアドバイスにならなかったですね。
吉田:まだ投資を始めていない人は、とりあえず自分のお金を出さないと経済の情報をちゃんと目がいかないと思うので、いきなり100万円とかじゃなくて、月1000円でもいいと思うんですよね。投資をしてみていろんな情報をキャッチできるようにしておく、という姿勢で全然いいと思うので、とりあえず少額で始めてみたらいいと思います。
後編へ続く