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【ライブレポート】PivotレッツゴーナイトVOL.2- Browsiで世直し! パブリッシャーと語る体験談 -

Pivotが主催した「PivotレッツゴーナイトVOL.2 〜 AIによるパブリッシャー業界の再定義:マネタイズの新たな可能性」〜」において、AIを活用した広告配置ソリューション「Browsi」をテーマにしたパネルディスカッションが行われました。本セッションでは、広告業界が直面する課題と、AIを活用した解決策について、Pivotの池田氏をモデレーターにゲームエイトの田中氏(パブリッシャー)とBrowsiの山田氏が議論を展開しました。

現在のデジタル広告業界では、広告枠の増加によるユーザー体験の低下や、大手プラットフォームへの広告予算の偏重など、さまざまな課題に直面しています。このパネルディスカッションでは、AIを活用した広告配置の最適化がこれらの課題にどのように対応できるか、また「居心地の良いメディア」を実現するための方策について、実際の導入事例を交えながら掘り下げていきます。


イントロダクション

池田氏(Pivot):
Pivotの池田です。このセッションのモデレーターを担当します。皆さんよろしくお願いします。

いきなりですが、僕が最初にBrowsiというソリューションを知ったとき、「すごいな、これ」って思ったんです。もうAIに広告枠の位置を任せればいいじゃんって。

今、皆さんが設置している広告枠って、大体「記事の下に置けばいいんじゃない?」みたいな感じだと思うんですけど、Webサイトって人によってコンテンツの読み方は千差万別だと思うのです。

サーッと読み流す人もいれば、じっくりと時間をかけて読む人もいる。しっかり見てもらえる位置に広告を設置しないと意味がないのですが、BrowsiはAIが人によって読み方が違うことを分析して、広告を自動的に設置してくれるのです。正しい使い方をすれば、無駄な広告を減らして意味のある広告だけにできる、なんて素晴らしいソリューションなんだって思いました。

しかしです、、、お陰さまでBrowsiは日本だけで既に170以上のWebサイトでご利用いただいているのですが、利用のされ方が既存の広告枠は残して、新たに設置できるスペースにBrowsiで広告枠を自動挿入しているケースが多いことに気付きました。これでは、広告が増えてしまうんです。

お気持ちは理解できるのです。昨今のご時世的に広告収益は下落傾向です。なので、現状の広告収益を担保した上で、広告を増やすことでそれをカバーしたいというお気持ちは...。

でも、「これ、このままだとダメなんじゃない?」って。長期的な視点だと更に良くない悪循環に陥ると思ったんです。だから、Browsiを本来の用途で利用することで、世直ししたいなと思ったんです。それで、このプレゼン資料を作りました。

今日のセッションは本来40分の予定なんですけど、溢れる想いが強すぎて、少し延びるかもしれません。ごめんなさい(笑)。後ろは何とか調整できると思うので、まずは僕のプレゼンを聞いていただければと思います。あ、その前に後半のパネルディスカッションのメンバーをご紹介しますね。大手ゲーム攻略サイト「ゲームエイト」の田中さんです。どうぞ。

田中氏(ゲームエイト):
はい。こんにちは。ゲームエイトで広告のマネタイズと、BtoBの営業(手売り)を担当している田中と申します。本日は僕のパートは少し短い時間になるかもしれませんが(笑)、よろしくお願いします。

池田氏:
ゲームエイトの田中さんは、この「世直ししたい」という話に賛同してくれて、実際にチャレンジしてくれています。それが今どんな状況なのか、まだ途中ではあるんですが、途中経過としてお話ししてもらいます。嘘なしで、うまくいっていることも、そうでないことも全部正直に話してもらおうと思います。楽しみにしといてください。それでは山田さん、どうぞ。

山田氏(Browsi):
Browsiの山田と申します。本日はBrowsiの社員として登壇していますが、Browsiにジョインする前は十数年、パブリッシャーとしてPV(ページビュー)を伸ばしたり、マネタイズを担当してきました。今日はその経験も踏まえて、パブリッシャーの視点からもお話しさせていただければと思います。よろしくお願いします。

池田氏:
山田さんは、もともとBrowsiをゴリゴリに使いこなしていたパブリッシャーだったんですけど、あまりにも使いこなすからそのまま入社しちゃったんですよね(笑)。Browsi、絶賛社員募集中です!
それでは、僕のプレゼンから始めますね。

多くのサイトが「危機的な悪循環」に陥っている

池田氏:
こういうサイトって増えていませんか?「うわ、広告だらけ!」って感じの。そして、UIを阻害する広告フォーマットとして、画面の真ん中に超小さい「✕」マークがある広告、見たことありませんか?◯◯さんや△△さん、いらっしゃいますか?大丈夫ですか〜?(来場中の某広告事業者達の名前を絶叫)。

次にページネーションですね。長いページを読みやすいように分割する仕組みですが、それ自体は悪くない。ただ、極端に短いページネーションを見ると、「これ、絶対広告枠を増やそうとしているよね」って思うんです。◯◯さんとか、今ちょっと反応してましたよね(笑)。(来場中の某パブリッシャーを容赦なくイジる)。

こういう広告が増えている背景を紐解いてみると、今の業界は危機的な悪循環に陥っていると思うんです。まず、皆さん、売上が落ちていますよね?。皆さんの努力だけでカバーできないのです。みんな落ちている。本当に。

なぜかというと、広告予算がYouTubeやインスタ、Xのような大手プラットフォームに激しく偏重しているからです。例えばGoogleさんの「パフォーマンスMAX」みたいな広告出稿ツールを利用すると、YouTubeとかに自動的に最適な広告を出してくれたり、Metaさんも同じく全自動でやってくれる。代理店さんも楽チンなのでそちらに予算を突っ込みます。

皆さんの救世主であるDSP(デマンドサイドプラットフォーム)にまでお金が回らない。広告主さんも「DSPって何?」くらいのレベル感になっています。

だからこそ、皆さんのような、いわゆる「オープンインターネット」と呼ばれる領域に流れるお金がどんどん減ってきています。

そうすると、「困ったな」ということで、パブリッシャーさんは即効性のある売上アップ施策に走るわけです。それが、さっきのような広告を増やす動きです。

例えば、オファーウォールやインタースティシャル広告など。これ、例えるなら麻薬みたいなもので、一度手を出すと抜け出せなくなる。収益は上がるので、ユーザービリティが低回してもずっと続けざるを得なくなり、どんどん状況が悪化します。

結果的に、どうなるか?ユーザーが嫌がるわけです。僕も広告の仕事をしていますが、正直、広告ブロッカーを使っています(!!)。人としての本音を言うと、やっぱり広告が多いのは嫌なんです。広告ではなくコンテンツを見たいわけですし、居心地が良い形で広告は出して欲しいのが本音です。

そうやってユーザーがどんどん離れていき、結果としてまた売上が下がる。更に広告を増やす。この悪循環に業界全体が陥っていると思います。

では、広告事業者の方、手を挙げて!ほら、今日いるでしょ、たくさん。一緒に反省しましょう。我々がこういった状況を作り出してしまったんです。そして、Browsiもその一つだと思っています。広告枠を増やすことで結果的にこういう状況になっている。本当に反省しています。

「居心地が良いメディア」とは?

池田氏:
では、どうすれば良いのか。やっぱり「居心地が良いメディア」を目指す必要があると思うんです。居心地がいいメディアであれば、ユーザーはいつかファンになってくれるはずです。「このサイト好きだし、読みやすいな」と、気付かないうちに居心地の良さを感じていただくことが大事です。

居心地がいいメディアって何かというと、読者の体験を阻害せず、コンテンツに集中できる環境を作ることです。だって、ユーザーは広告を見に来ているわけではないですからね。

そうするとそのうちファンも増え、サイト滞在時間も延びます。当たり前の話ですが、収益をキープしながら実現するのは本当に難しい。でも、これが僕の考える「居心地が良いメディア」です。

池田氏:
具体的なポイントとして、一つ目は広告枠を少なくすること。収益が同じだけ出せるなら、みんな広告枠を減らしたいはずです。読みやすいポジションに必要最小限の広告を設置すべきです。

そして、広告設置目的の過度なページネーションはしないこと。

やっぱり、ユーザーが読みやすいようにちゃんとデザインした方がいいんです。簡単に言ってしまってごめんなさい。現実的にすぐにできないのはわかってます(笑)。

池田氏:
次に、海外の事例を見てみましょう。例えばグローバル版の「Forbes」。記事がずっと縦に続いていますよね。「Healthline」という有名な健康系のサイトもそうです。グローバルで何億というユーザーが利用していますが、記事がずっと縦に続いています。つまり横に飛ばない。

日本だと「横に横に」とページを飛ばして、インタースティシャル広告を挟むタイミングを作ったり、広告設置するスペースを作ることが多いですが、グローバルの有名なサイトは縦に記事が流れていくのが主流です。そして、次の良い感じの記事が自然と表示される。これがグローバルの大手メディアではこのようなサイト構成が多く見られます。
つまり、流れの中で関連記事を読んでもらう、本当の意味での「レコメンド」をやって回遊を促しています。その結果、当然ながらサイトの滞在時間が延びるわけです。

例えば、TikTokやInstagram、Facebookといったプラットフォームはみんな縦スクロールですよね。ユーザーはもう縦方向に動くのに慣れているんです。

それをわざわざWebサイトで横スクロールにするのは、ユーザーの慣習的にも不自然なUXだと思うのです。だから、縦スクロールにして広告効果が高い一部の広告だけに絞り、単価を上げていく方向を目指すほうが自然だと思います。

またもや正論っぽいことばかりで申し訳ありません。なかなか難しいことだとは分かっていますが、やっぱり重要だと思うんです。

これから起こりうること

池田氏:
次に、これから起こりうることについても話します。パブリッシャーの皆さん、残念ですが、これからはさらに厳しい状況になっていくと思います。

クッキーレスの流れが一時的にペンディングになったとしても、このままの広告体験が続く限り、広告予算は大手プラットフォーマーに偏重していき、運用型広告の収益は減り続けると思います。

更には広告収益のためだけに作られたサイトであるMFA(Made-for-Advertising)が増え続けるとオープンインターネットのメディアに誰も広告出稿したくなくなります。Googleさんも最近になってやっと広告密度を見てアラートを出すなどの対策を進めています。

したがって、当たり前の流れとしてオープンインターネット領域においても広告出稿先の選択と集中がどんどん加速していくでしょう。格差社会に拍車がかかるのです。

そうなると、純広やPMPなど、自社のデータを含めたアセットを活用して売上をカバーしたくなります。

最近、「キュレーション」という言葉もよく聞きますよね。先日、Googleさんから「GAMでキュレーションをやるよ」と発表があったように自分たちのアセットをうまく活用して、能動的にアピールしていく必要性が高まってくると感じています。

あと、純広やPMPを営業するときの「あるある」なのですが、自分たちのメディアを広告主に営業するとき自分たちのサイトが広告が多くて見せるのが恥ずかしいってことありませんか?その場でインターステシャル広告がドーンって出てきたらジーザスですよね?

やはり、客人を招くときは、部屋を掃除しておく必要があります。やっぱり「綺麗な家」が求められるんですよ。まあ、僕の家も散らかってますが...(笑)

池田氏:
そして、次に注目すべきは「アテンション(Attention)」です。これ、来年のキーワードの一つになると思っています。

アテンションって何かというと、皆さんが良く知るビューアビリティ(広告が表示される可能性の高さ)とは違います。

ビューアビリティが高ければ全て良いわけではありません。例えば、オーバーレイ広告はほぼ100%ビューアブルです。でも、実際にユーザーがそれを見ているかどうかは別問題ですよね。多くの場合、ユーザーは全く見ていない。

一方、アテンションは「実際に人が広告をしっかり見たかどうか」を明らかにする指標です。オーバーレイ広告が見られていなければ、それは「見ていない」と評価されます。

これからの時代、広告主は「しっかり見られる広告」にだけ投資をする意識に変わっていくと思います。すぐにはそうならないかもしれませんが、来年あたりからこういった意識が高まっていくでしょう。

僕はこれはとても良いことだと思っています。広告主が「見られる広告にしかお金を払わない」というスタンスになれば、広告枠は自然と減っていきますよね。だから、今の状態は徐々に是正されていくと僕は考えています。ですので、皆さん、より早く動きましょう!、という話です。

AIを信じて全てを委ねよう

池田氏:
はい、ちょっとBrowsiの話に戻りますが、急に営業っぽくなっちゃうかもしれません。でも、Browsiの本当の魅力について話したいんです。僕は「AIを信じて全てを委ねよう」と考えています。今ある広告の配置、果たして本当に最適ですか?平均的なデータや、これまでの慣例に基づいて決めていませんか?

ユーザーはみんな、それぞれ違った読み方をしています。Webサイトの広告配置は、新聞や雑誌の時代からの固定概念にまだ縛られている部分もあるかと思います。昔のように「ここは広告スペース」と決まっている場所に当てはめているだけではもったいない。Webサイトのレイアウトは自由です。ある意味、縦方向にどんどん流れていくことができるんだから、広告の位置はもっと自由でいいはずです。

なので、理想はすべての既存広告を撤廃し、AIに委ねることです。Browsiに限らなくても良いんですが、AIに任せた方が最適解を見つけられる。これは、僕が本当に思っていることです。
AI、AI言ってますが、そんなに信じて良いのか、疑っている方も多いのではないでしょうか?でも、AIってスゴくないですか?いや、マジで。

私は英語のお仕事も多いのですが、全部ChatGPTに翻訳してもらってますし、セッションの企画、記事原稿なども全部最初にAIにお願いしています。何ならこの記事もAIがよろしくドラフトを作ってくれることでしょう。もう、信じていいんですよ、AIを信じましょう(笑)。

池田氏:
さて、収益を維持しつつ、サイトの価値を高める話に戻ります。これなんだっけ、そうそう。普通、現在のBrowsiの使い方で多いのは、皆さんのWebサイトをイメージしてください。ここに広告枠がありますよね。その枠をそのまま残した状態で、プラスアルファでBrowsiを使って広告を増やす。これが現状、よく皆さんがやっているやり方です。

みんな怖いですよね。今の収益が下がるのは嫌だと感じる。だから、一旦既存の広告枠を残して、そこを担保したうえで広告を増やしてみる。その結果どうなるか?当然ですが、広告がめちゃくちゃ増えます。

僕が提案したいのは、それとは違うやり方です。今ある広告枠をBrowsiに任せる形に切り替えるんです。既存の広告枠だけを使い、それをAIで最適化する。これが本来のBrowsiの強みです。

ちなみに、今日登壇しているゲームエイトの田中さんがこの両方のパターン、つまり「広告枠を増やすパターン」と「すべてをBrowsiに任せるパターン」の両方にチャレンジしてくれました。

その結果については、僕もまだちゃんと見ていないんですが、この後の対談セッションで詳しく聞いていきます。

居心地と収益はトレードオフ?

池田氏:
居心地の良いメディアを作るために、収益とのトレードオフの懸念があることは理解しています。サイトを綺麗にすべき、それも誰もがわかっています。でも、やった結果、短期的には収益が下がるのは怖いですよね。

ただ、長期的に見れば、サイト滞在時間や回遊率が上がることで、広告単価も上がり、最終的には収益も上がると僕は考えています。これが短期間ではわからないんです。2週間とか1ヶ月、3ヶ月では結果が見えないかもしれない。半年から1年くらいのスパンで見るべき話だと思います。

なので、まずは一部のカテゴリーや小規模なサイトで中長期のテストをやってみることをお勧めします。Browsiでは、ABテストが簡単にできるので、例えば今回のゲームエイトさんのように、異なるパターンを同時に試すことが可能です。

Browsiなら管理画面で瞬時に広告数をコントロールできる

池田氏:
次に、話題の「広告密度」フィーバーについてです。先ほども少し触れましたが、最近、Googleさんから「あなたのところ広告が多すぎる」というアラートが届いていると良く聞きます。

実際に来ているところはありますか?あ、手を挙げている人がいますね。結構多いですね。これは本当に「フィーバー」ですね(笑)。でも、このフィーバーって、ある意味、僕が言っている理想の世界を、強制的に実現するためのトリガーを引いてくれたんじゃないかなと思っています。
聞いた話では、このアラートを消すためには2回の審査チャンスがあるそうです。2回も申請できるからって、1回目を軽く考えて「とりあえず出してみよう」みたいに対応するのは危険らしいです。

1回目に失敗して、背水の陣の2回目となり、それに失敗すると広告が1ヶ月間?本当に停止するそうです。怖いですねー。収益を増やそうとして広告を増やして、収益が全部なくなる。本末転倒を地で行く熱いストーリーです。

これ、ピロリ菌の除去治療に似ています。ピロリ菌って、1回目で除去できず、2回目で失敗するともう除去不能らしいんです。この「広告密度」フィーバーも同じで、1回目から、というより普段から、しっかり取り組むことが大切なんです。

余談ですが「広告密度」フィーバーについて、「どっちやねん!」とツッコミたくなるお気持ち、良くわかります。Googleさんも最近ワイルドにインターステシャルやオファーウォールといった麻薬系広告フォーマットを積極投入しているのに、「はい、やり過ぎ!止めちゃうよ〜♡」って...
Googleさん、今日はここにはいないかな?いて欲しいけど(笑)。

池田氏:
さて、そんな「広告密度」フィーバーを想定して作られた機能ではありませんが、Browsiのすごい機能についてお話しします。

Browsiの管理画面で広告枠の最大表示数を一瞬で調整することができるんです。例えば、広告を最大10枠と設定していたのを「3枠」と入力してボタンを押すだけで設定が変わる。

ただ、これを悪用しないでくださいね。審査のために広告を減らし、通過した後でまた増やした場合、どうなるかはまだ誰も経験していないのでわかりません。場合によっては「一発レッドカード」になるかもしれません。なので、正しく使ってください。

あと、ChromeとSafariで広告の構成が違う場合、それぞれ別々に制御することもできます。ブラウザごとに違う設定を適用できるのも、このBrowsiの便利な機能だと思います。こういった柔軟性の高さは本当にすごいと感じています。

改善事例とメッセージ

池田氏:
さて、改善事例についてお話しします。喋りすぎちゃってますね(笑)。事前に2社が実施したケースを紹介します。すべての広告枠をBrowsiに任せたパターンでの実績で、RPM(1,000ページビューあたりの収益)などがどう変わったかというデータです。

まず、ある女性向けメディアでは、RPMが10%上昇しました。そして、広告枠の数は40%削減されました。これ、すごくないですか?今まで11.8枠あったのが7.1枠に減ったんです。それでいて収益は上がる。最高ですよね。
さらに、CLS(コアウェブバイタルの指標の一つで、ページの視覚的安定性を示す指標)も32%改善されました。これも良い結果ですよね。

もう一つの事例は、記事系メディアです。こちらはRPMが5%上がりましたが、広告枠の減少幅は微妙な差でした。そしてUX(ユーザー体験)への影響も短期間のテストということもあってまだわかりません。

このように、少し良い結果が出始めていることもお伝えしておきます。

池田氏:
最後になりましたが、僕たちは「良い世界を作りたい」と本気で思っています。短期的には収益アップにつながらないかもしれませんが、最終的には居心地が良いメディアには幸せが訪れると信じています。

だからこそ、みんなでこういった世界を作っていきたいと思っています。このプレゼンのまとめとして、僕の想いをお伝えします。

では、次の対談セッションに移りたいと思います。皆さん、イントロが異常に長くなりましたが、これで一通りインプットができたと思います。ありがとうございました!

Q1 自社サイトの広告についての改善点

池田氏:
はい、お待たせしました。それでは、最初の質問です。「自社サイトの広告について、改善したいと思っていることは何ですか?」という質問になります。

田中さん、ゲームエイトという自社のサイトを運営している中で、本当はこうしたい、ああしたかったっていろいろな思いがあると思うんです。それを教えてもらえますか?

田中氏:
はい、そうですね。おそらくこの会場にもメディア運営をされている会社の方がいらっしゃると思いますが、どの会社も年々(YoY)で予算を積み上げられているんじゃないかと思います。会社から「もっと売上を上げてくれ」と言われるわけです。

ただ、正直に言うと、今の日本市場の状況はそこまで良いとは思えません。それでも売上を上げなければいけないんです。

そういう中で、池田さんがさっきおっしゃっていた「やっちゃいけない例」かもしれませんが、既存の広告枠に加えてBrowsiを使ってさらに広告を増やすということを試しました。また、Browsiだけに任せるパターンも試しました。
結果として、弊社のサイトでは広告枠がかなり増えてしまいました。正直、枠数を減らしたい。でも、売上は上げたい。このジレンマを抱えているメディア運営者は、この場にいる方々の中にも多いんじゃないかと思います。
弊社の現状としては、広告枠が増えすぎてしまっている点が一つの大きな悩みです。

池田氏:
それは、Browsiを導入する前から「広告枠を減らしたい」と思っていたのか、それともBrowsiを導入してからそう思うようになったのか、どちらですか?つまり、Browsiを導入したら広告が増えてやべーってなったってことかを知りたいです。

田中氏:
導入前から、他のサイトと比べてうちは広告枠が多いなと感じていました。少しサイトの作りについても触れると、弊社ではニュース系のメディアとは違い、ページネーションを使っていません。記事が長いときは長く、短いときは短い。コンテンツによって記事の長さがばらついているんです。

その結果、マネタイズできる部分とできない部分が混在してしまい、全体的にバランスが悪い状態になっています。それが現在抱えているもう一つの悩みですね。

池田氏:
そっか、現在は広告枠が固定されているので記事が短い場合でも長い記事と同じように広告配置されてしまうケースがあるのですね。それはバランスが悪い...


広告枠を減らしたいと思っているけど、結局増えてしまうというジレンマ。これ、悩んでいる人は多いですよね。みんなそうじゃないですか?
さっき僕が「広告を増やすBrowsiの使い方はダメ」と言いましたけど、それって正論の暴力なだけで、自分が同じ立場だったら、きっとそうしていると思います。

ちなみに山田さん、もともと某メディアにいましたよね?その時はどう思っていたんですか?

山田氏:
はい。Browsiを実際に前職のメディアで活用した時の話なんですが、当時「改善したい」と思う部分がいくつかありました。

まず、もともと自社のコンテンツには広告がそれほど入っていなかったので、広告を挿入できる余地がかなりありました。「もう少し広告を増やしてもUX的には問題ないだろう」と考えていました。

ただ、ページごとに構成がバラバラで、教育系のメディアだったので、例えば「この学校にはこのコンテンツがあるけど、別の学校にはない」みたいな感じで、広告枠もガチャガチャでした。そういう状況をどう整理して最適化するかが大きな課題でした。
そのために自社開発を試みたこともあったのですが、バグを引き起こしたり、仕様が曖昧なまま放置されて謎の広告が表示されたりと、色々と問題が起きました。そこで、すべての広告管理をBrowsiに切り替えました。

結果として、広告の総数は減りましたが、ROI(投資対効果)は100~150%程度向上しました。なので、全体的にはうまくいったと思います。

池田氏:
なるほど。さっき話した良い事例として、そのケースも紹介すればよかったですね。すごいなぁ。

Q2/Q3 Browsiを使った取り組みの内容とその結果

池田氏:
それでは次の質問です。「具体的に何をやったのか?」という点について話を聞きたいと思います。あ、これは既に聞いてますね。既存の広告枠を残しつつBrowsiを使って広告を増やしたパターン(Aパターン)と、すべてをBrowsiに任せたパターン(Bパターン)。この2つを試して比較したんですもんね。それでは結果はどうだったのでしょうか?

田中氏:
結果として、RPMは「増額のみ(A)」の場合で数十%前半台(※)アップしました。そして、「すべてをBrowsiに任せた場合(B)」では数十%後半台(※)に大幅増加しました。


ただ、総入れ替えの方(B)は、もともとPrebid(広告オークションの仕組み)を導入していなかったなど、前提条件が異なっていました。そのため、結果として大幅に増えたように見えますが、これはもともと手つかずな部分もあって改善が大きかったです。たとえば、コンテンツの中に「マネタイズできる部分」と「できない部分」があり、それらをBrowsiで最適化した結果、ありがたいことに、このような数字が出せたと思っています。
(※)当日の参加者のみに公開となります。

池田氏:
なるほど。良い結果ですね。数字だけ見ると何が起こったのかわかりにくいですが、リアルな結果としては納得感があります。つまり、元々あまり広告が入っていなかったエリアにBrowsiを導入して効率化したことで大幅に増加したということですね。なるほど、前提条件が異なるから、単純比較はできないと(笑)。

山田氏:
そうですね。厳密には参考にはならないかもしれません。

池田氏:
いやいや、でも嘘がない分、話としては面白いですよ。こういうリアルなケースが大事です。ところで、広告枠の数についてはどう評価すればいいんでしょう?

田中氏:
広告枠数についてですが、「増枠のみ」の場合、既存枠に加えてBrowsiを導入しているので、枠数が絶対に増えてしまいます。その結果、平均で数枠(※)増えました。
(※)当日の参加者のみに公開となります。

一方で、「総入れ替え」のパターンについては、弊社のサイトの設計に関係しています。弊社では、記事の長さに関わらず、広告枠の上限を決めているんです。例えば、どんなに長い記事でも「広告枠は10個まで」と設定している場合、10枠以上は表示されません。
その結果、記事の下部ではマネタイズが十分にできていない状況がありました。しかし、Browsiを導入することで、ページ下部のマネタイズも可能になり、結果的に収益が大幅に増加しました。つまり、広告枠も適切な範囲で増やされた形です。

池田氏:
なるほどですね。単純に「総入れ替えしたら広告が増えた」と思われるかもしれませんが、そういう話ではないわけですね。

田中氏:
そうですね。適切な場所に、適切な広告枠が配置された結果、収益が増えたということです。

池田氏:
ちなみに、田中さんの感覚的にはどうですか?「広告枠が増えたな」と思うことはありますか?それとも、「これなら良いんじゃないか」と思えるレベルでしたか?運営者として、ユーザーに迷惑をかけていないと感じるか、それとも少し「やりすぎたな」と思うか、どちらでしょう?

田中氏:
「増枠のみ」の場合は、正直「増えたな」と思います。それが当たり前だとも感じています。ただ、それが池田さんがおっしゃっていた「広告枠が多すぎる媒体」に該当してしまうので、反省しています。


一方で、「総入れ替え」の方については、適切な場所に適切な広告が入っているという認識です。例えば、極微増(※)というデータになってますが、これはもともとマネタイズできていなかった部分に広告を配置した結果です。記事の長さに対して適正な広告枠数になったと思っています。なので、「総入れ替え」に関しては、記事の長さに対して特に広告が増えたという印象は持っていません。
(※)当日の参加者のみに公開となります。

山田氏:
ここで一つ補足させてもらいます。AIを使って広告枠を増やしているという点についてですが、私たち運営者はサイトをかなり細かくチェックしますよね。つまり、自分のサイトをじっくり見るんです。


その結果、BrowsiのAIが「このユーザーはエンゲージメントが高い」「離脱しないだろう」と判断して、多くの広告を表示することがあります。しかし、一般のユーザーに関しては、私たち運営者が思っているほど多くの広告が表示されているわけではないと思います。

池田氏:
なるほど。ということは、例えばFLUXさんとかfluctさんの担当者は、担当するサイトをよく見るから、その人には広告がたくさん出ているということですね?そういうことなんだ。すごいな、AIって(笑)。

池田氏:
ところで、この「平均PV(ページビュー)がマイナス極微%(※)」という結果ですが、これはどういう意味ですか?全然わからないんだけど。

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田中氏:
Browsiを使ったテスト結果で、左が「既存広告+増枠」、右が「総入れ替え」のパターンです。その結果として、ユーザーに対してUIやUX(ユーザー体験)が大きく阻害されているわけではないと考えています。


時期的な要因もいろいろと影響していると思いますが、最終的なデータではPVが極微%(※)減少しました。ただ、この差はそれほど大きなものではないと捉えています。
(※)当日の参加者のみに公開となります。

池田氏:
全体のPV数が、導入前後で少し減少したということですね?

田中氏:
はい、減りました。ただ、これは僕たちのメディアの特性にもよります。例えば皆さん、ゲームをやるかどうかわかりませんが、今だと「ドラクエⅢ」や「ポケモンカード」のアプリが出たときはアクセス数が一気に伸びるんですよ。でも、このデータはそういったタイミングの前のものなので、ちょうど時期的に冷え込んでいた可能性もあります。

池田氏:
なるほど。仮に「ドラクエⅢ」のリリースタイミングで導入前後を比較していたら、それはそれで参考にならないわけですね。

田中氏:
そうなんです。だから、今回のデータはタイミング的に一部の影響があったと思います。ただ、平均値を取った結果がマイナス極微%(※)であれば、Browsiを導入したことでPVが増えたとか減ったとか、そういった影響はほとんどなかったと見ていいと思います。
(※)当日の参加者のみに公開となります。

池田氏:
なるほど、ほぼ影響がないという点が面白いですね。さっきのアテンションの話と同様ですが、僕が思うに、もうユーザーが広告に慣れてしまって、視界には入っていても気にしていない可能性が高いですね。だから正直、広告枠を増やしても意外と関係ないかもしれない(笑)。

ちなみに、滞在時間が導入前後でどう変化したか、あるいは回遊率がどうだったかなど、そういった指標がもしわかれば嬉しいなと思っていたんですが、何かデータはありますか?

田中氏:
滞在時間や回遊率についてですが、先日別件で調査したところ、Browsiを導入したことで、ペーパーパーセッション(1セッションあたりのPV数)やPV数に関してはほとんど差がありませんでした。また、広告枠が増えたことによる影響についても、最初の広告読み込み時間に大きな変化はなく、それほど影響はなかったという報告を受けています。

池田氏:
なるほどですね。でも、一部のエリアだけで個別にテストをして、その部分だけ居心地が良くなっても、サイト全体に対して一律に効果が出るとは限らないわけですよね。でも、このテスト結果はリアルで興味深いですね。

いきなり全枠をAIに委ねるというのは現実的には厳しいと思うので、まず影響が少ない部分で「総入れ替え」を試したのは良い判断だと思います。あまりマネタイズができていなかった箇所に手を入れた、というわけですもんね。

いやー、良いですね。広告枠が減ってサイトの見栄えが良くなり、なおかつ収益も上がるのであれば素晴らしい。今日、新聞社の方とかいらっしゃいます?確か、いらっしゃいますよね。数社エントリーがあったと記憶しています。あ、いたいた(笑)。
いわゆる「オールドメディア」と言うと少し失礼かもしれませんが、紙媒体の慣習が色濃く残る業界な皆さまが、こうして固定された広告枠をAIに委ねて柔軟に運用してくれると、業界変わるな〜。まさにイノベーションじゃないですか?ぜひ導入を検討してくださいね!(笑)

Q4 Browsiの良いところ/改善して欲しい点

池田氏:
さて、次の質問に行きます。「実際にBrowsiを使ってみて気づいた良い点や、改善してほしい点はありますか?」、「Asaf! This question is for you! 」(来日しているBrowsi CEOのアサフに叫ぶ)

田中氏:
Browsiを使ってみて気づいた良い点ですが、さっきの話とも少し重なるんですが、僕らは広告の入れ方、つまり広告枠の数を最初から固定して運用していました。例えば記事が長いコンテンツであっても、「広告は10個まで」という設定にしていたんです。
そのため、記事の下部にまで到達するユーザーがいても、設定上10枠で終了するので、それ以上は広告が表示されない形でした。ですが、Browsiを導入したことで、記事の下部にも適切な位置に広告を表示できるようになり、マネタイズが可能になりました。


結果として、広告枠の数は増えましたが、収益を上げることができたので、これは良い事例だと感じています。

池田氏:
なるほど。「必要な広告枠」が増えたわけですね。以前は、下部には広告を入れなくても良いとしていた箇所に、実際にユーザーが訪れているのであれば、広告を表示することができた、と。良いポイントですね。

田中氏:
例えば、弊社のページで言うと、「パズドラ」や「原神」といった人気の長寿タイトルのページは特に記事が長いんです。その場合、広告枠を10個や11個に固定していると、記事の下部に到達したユーザーには広告を全く表示できないことがありました。

Browsiを使うことで、そうした下部のエリアにも広告を表示できるようになったので、これまでマネタイズできていなかった部分を補うことができました。結果的に、Browsiを導入して本当に良かったと思っています。

池田氏:
山田さんも前職時代の経験からでも良いので、意見を聞かせてください。

山田氏:
僕が言って良いのかどうかわかりませんが、Browsiって非常に強力なツールですが、使いこなすのが難しい部分があるんです。いろいろな設定バーや数字の調整が必要で、それをパートナーさんに頑張って対応してもらっている状況です。

ただ、本当に理想を言えば、パブリッシャーさんがもっと簡単に使いこなして、自由にカスタマイズできるようになると良いと思っています。例えば、設定そのものをAIに任せたり、AIが最適なおすすめの設定を提案してくれるような仕組みがあれば、さらに使いやすくなるのではないかと思っています。

池田氏:
いいアイデアですね。Browsi の中の人の意見としても、素晴らしい提案です。ちなみに、念のために言いますが、あなたの会社のツールなので、ぜひ実現してくださいね(笑)。

それでは、改善点とは別に、何か「ここは不満だな」と思うデイスりもいただけますか?

田中氏:
ディスりたい部分は特にありません。ただ、良かった点がもう一つあります。

池田氏:
まだ褒めるんですか!?(笑)

田中氏:
褒めるポイント、まだまだありますよ!例えば、広告枠についてなんですが、従来だと「ここに広告枠を作ってほしい」といった調整を開発チームに依頼するのが手間でした。でも、Browsiを導入すると、設定上で簡単に広告枠を追加・変更できるので、そうしたやり取りのコミュニケーションコストが大幅に削減されました。これが本当に助かっています。

池田氏:
それは面白いですね。確かに、編集部や開発チームに「広告枠を増やしたい」と頼むのは手間ですし、調整も大変ですよね。でもBrowsiを使えば、AIに任せるだけで済む、と。例えば、田中さんが売上に困ってこっそり設定をいじって、広告枠の上限を10個から100個に変える、なんてこともできるわけですね(笑)。

田中氏:
いやいや、そんなやばいことはしていませんよ(笑)。

池田氏:
でも、瞬時に枠の調整ができるのは便利ですね。調整の手間がなくなって運用がスムーズになったわけですもんね。

田中氏:
本当にそうです。特に、記事が長いコンテンツについては、これまで広告枠を十分に設置できていなかったんですが、開発チームに依頼せずに対応できるのは本当にありがたかったです。ディスりたい点を挙げるなら…正直、特に思いつきませんね。

池田氏:
そうなんですね。ところで、ごめんなさい、ウーロンハイがなくなっちゃったんで、ちょっと頼んでおきますね。(古澤)守くん、ウーロンハイ2つお願いします。
いや〜、しかし、褒めすぎですね、面白くない。これ仕込みとかじゃないですからね(笑)。とにかく、Browsiを導入して良かったってことになりました(笑)。

田中氏:
はい、本当にありがとうございました!

Q5 Browsiを使ってさらに収益を上げる方法

池田氏:
次の質問です。「Browsiを使ってさらに収益を上げる方法」についてですが、これは山田さんにぜひ聞きたいですね。山田さんは前職時代からBrowsiを使いこなしていて、今はBrowsiの中の人だから、きっと裏技的な方法とかも知ってるんじゃないかと思います。ぜひ教えてください。

山田氏:
これはちょっとマニアックな機能の話になりますので、Browsiを使ったことがない方には少しわかりにくいかもしれません。ただ、できるだけわかりやすく説明しますね。今日お伝えしたいポイントは3つあります。

山田氏:
まず1つ目です。Browsiには「ビューアビリティプリディクター(Viewability Predictor)」という機能があります。この機能は、広告枠やリクエストごとにビューアビリティ(どれだけ視認される可能性が高いか)を予測し、その情報をGAM(Google Ad Manager)にKey Valueとして送るものです。
これを活用すると、たとえば「ビューアビリティが高い広告枠」には高いUPR(統一価格設定:フロアプライス)を設定することができます。また、ビューアビリティが高い枠だけを純広告(PMP)として販売する、といった取り組みも可能になります。これは、広告主さんにとっても価値の高い広告枠を提供できるためメリットがあります。

今日の話の中で「これからはアテンションがより重要になる」とお話がありました。ただ、現時点ではまだ多くの広告主さんがビューアビリティを重要な指標として広告を購入しています。そのため、ビューアビリティプリディクターの活用はまだ非常に意義があると思います。

また、Browsiではアテンションについても取り組みを始めており、Browsiの基準でアテンションを数値化し、それをレポートとして提供する仕組みがあります。今のところ、このデータをどう活用するかは具体的に決まっていませんが、将来的にはアテンションを基準にした広告配信が進むのではないかと思っています。現在はビューアビリティプリディクターを中心に活用していますが、Browsiには収益を予め予測して配信に活かせる「レベニュープレディレクター(Revenue Predictor)」のような新しい機能もあって、アテンションの活用と並行し、今後さらに発展していくのではないでしょうか。

すみません、なんだか営業っぽい話になってしまいました。(笑)

池田氏:
なるほど、少し難しいですが、要はビューアビリティが高い広告枠と低い広告枠では、広告の価値が違う。高いビューアビリティの枠には高いフロアプライスを設定し、低い枠にはそれに応じた価格設定を行う。これをBrowsiのビューアビリティプリディクターの数値を見ながら調整できる、というわけですね。

来場質問者:
Key Valueの値は、0か1で送られてくるんですか?

山田氏:
いいえ、10%刻みで送られます。たとえば、0から10のレンジ、10から20のレンジ、といった形で分けて送られる仕組みになっています。

来場質問者:
その場合、実際に「見られる/見られない」という確定的な数値ではなく、「見られる可能性が高い/低い」といった予測値を段階的に分けている、という認識でいいですか?

山田氏:
おっしゃる通りです。サイトによって予測の精度に若干の違いが出る可能性はありますが、データが十分に蓄積されれば、ほとんど外れることはないと考えています。それはぜひお伝えしておきたいポイントです。

来場質問者:
ありがとうございます。

池田氏:
正直、何のことか全くわかりませんが(笑)、なんだかすごそうな話ですね。こちらこそ、ありがとうございます!

ちなみに、このビューアビリティが将来的にアテンションにも対応する可能性がある、という話でしたよね?それは間違いなくやったほうがいいと思います。

正直、オーバーレイ広告のビューアビリティを元にフロアプライスを調整しても意味ないですよね。やっぱり「しっかり見られること」が大事ですから、この方向性は非常に期待しています。では、次に進みましょう。

Ad Density Threshold(広告密度制限)

山田氏:
次は非常にホットな話題なので、急遽追加しました。先ほど池田さんも「広告密度がやばい」とおっしゃっていましたが、実はBrowsi側で広告密度の制限をかけることができます。

現在、多くのパブリッシャーさんでは、広告の間隔を「1画面空けましょう」とか「600ピクセル空けましょう」といった制御で広告密度が高くなりすぎないよう設定されていると思います。ただ、この機能では、そうした間隔のルールを撤廃して、「広告がページ全体の30%以内に収める」「20%以内に収める」といった具合に、密度自体を基準に設定することが可能です。

Browsiは広告を挿入できる余地を非常に多く見つけ出すことができますが、すべてを挿入するわけではなく、広告密度を超えない範囲で広告を配置するよう設定できます。これがこの機能の大きな特徴です。

池田氏:
本当ですか、それ。すごいですね。Googleさんが定めた広告密度の基準ってありますよね。その閾値を超えた場合、それ以上広告を出さないように設定できるんですか?となると、もう瞬時に切り替えられるわけで、他の対応とかいらなくなりますよね。これだけで解決しそう。

山田氏:
そうなんです。もしページ全体の広告枠をBrowsiで管理していただいていれば、Googleから警告が来た際、「広告密度が30%を超えています」と言われても、すぐに「じゃあ28%にしよう」「25%に抑えよう」といった形で瞬時に切り替えることができます。これで問題は解決です。

池田氏:
それなら警告が来ても安心ですね。ただ、もし閾値を設定したのに、それでもアウトになったら、それはそれで気まずいですが(笑)。いやでも、こんなことができるなんて、本当にすごいですね。

コストを下げる裏技

山田氏:
これが最後の話題になりますが、今回は収益を増やすというよりもコストを削減するための取り組みについての事例をお話しします。

Browsiでは、リフレッシュ(広告の再リクエスト)をかけた後に、Browsiが持つデマンドを利用することができるんです。これによりBrowsi側で上がった売り上げをBrowsiの利用料金と相殺する、という形が取れるんです。これを使うと、売り上げのトップラインはリフレッシュをかけなかった場合と同じくらいに収まります。つまり、売り上げ自体は下がるんですが、それでもBrowsiの利用料が高くて使えないという場合には、ある程度コストを削減する選択肢として活用できる、という話です。

池田氏:
なるほどね。そういうことか。要するにBrowsiの利用料を上手に相殺できる方法があるよ、ということですね。これって結構リアルでいい話ですね。例えば、来期の予算を確保するまでBrowsiを使うのを我慢しなきゃいけない、という人がいたら、この方法を使えばその問題を緩和できるというわけですね。いや、さすがBrowsiプロパー社員、リアル(笑)。

Q6 広告枠が減ると純広告・PMPが売りやすくなるのか?

池田氏:
さて、最後の話題にいきましょう。広告枠が減ると純広告・PMPが売りやすくなるのか?、という話です。ゲームエイトさんは特にゲームクライアントの予算が大きいので、こういう話は強いんじゃないかと思います。広告枠が減ることで居心地が良くなると、どう変わると思いますか?まあ、良くなるに決まってますよね。これ、もはや質問じゃないかも。なんだこれ(笑)。

田中氏:
おっしゃる通りだと思います。やはり広告枠が多いと、池田さんがおっしゃっていた「アテンション」という指標が下がる原因にもなると思うんです。目移りする広告が多すぎると、1枠あたりの広告の価値が下がると考えています。

うちの課題の一つでもあるのですが、広告が多すぎる問題に直結していて、広告枠を減らすことで枠の価値が上がるのは間違いありません。その結果、純広告(PMP)としての価値が上がり、マネタイズに繋げやすくなると考えています。なので、僕らとしては広告枠を減らし、1枠の価値を上げてマネタイズをしていきたいと思っています。

池田氏:
本当にその通りですよね。私たちは「安売りしません」って胸を張って言えるようなメディアを目指すしたいですよね。「そんな簡単に買えると思わないでください」っていう気概を持つくらいがちょうどいい。広告枠の数が少ないと希少価値が上がりますし、これはまるでビットコインみたいなものです(笑)。

さて、これが最後の質問だったそうです。山田さん、最後に一言お願いします。入社してどうだったかとか、思いの丈を語ってください。

山田氏:
僕がBrowsiに入社する前、実はBrowsiのイベントに登壇したことがありまして、そのときはパブリッシャーの目線からBrowsiについて語っていましたが、今、中の人として登壇しているのは不思議な気持ちです。とてもやりがいのあるエキサイティングな仕事なので、ぜひ一緒に働きたい方はご連絡ください。営業系とテック系のメンバーを大募集しています!(笑)

池田氏:
山田さん、切実なメッセージをありがとうございます。
さて、これでセッションは終了ですが、何か質問がある方はぜひどうぞ。

会場からの質問


来場質問者:

今、外資系の広告事業者にいて、前職はアドベリフィケーション事業をやっている会社にいました。ビューアビリティをターゲティングに活用する場合、Key ValueをGAMに送って、高いCPMのPMPを組んで運用しているのですが、さっきお話にあったビューアビリティの機能は、デフォルトのパッケージに含まれているものなのでしょうか?それとも別費用なのでしょうか?

山田氏:
デフォルトのパッケージに含まれております。

来場質問者:
某老舗ニュースメディアを運営している者です。我々はいくつかの生活ニュースサイトも運営しておりまして、ライトなニュースを提供しているサイトもあります。現時点ではBrowsiは導入していませんが、広告枠数の問題には先ほど触れられたように我々も困っています。

広告枠を減らすと収益が問題になることが懸念で、先ほどのプレゼンで2つのページを比較した結果がありましたが、元々たくさん広告を入れていたところと、総入れ替えしたところで、上部の広告枠の収益(CPM)の影響がどうだったのか気になります。我々も上部の枠が収益の中心になっていますので、何か参考になる情報があれば教えてください。

田中氏:
うちの場合、Browsiを導入させていただいた結果、上部の枠に関しては純広告で販売できていたものが、売りづらくなるというデメリットがありました。たとえば、広告枠が1~10まであるとすると、11個目、21個目などは1~10のローテーションみたいになっています。つまり、1つ目の広告枠で純広告が売れると、同じ広告が11個目や21個目にも表示されることになります。この点が、正直Asafさんがいらっしゃる前で言いづらいですが、売りづらくなった理由です(笑)。

池田氏:
お、やっとディスってくれた。内容を良く理解できてないけど(笑)。

山田氏:
補足させていただきますと、Browsiでは純広告を特定の場所に必ず表示する設定が可能です。また、私の前職での経験からお話しすると、Browsiを導入したことで上部の枠の売上が下がるかどうかを気にされる場合がありますが、上部の枠に関しては変化がありませんでした。なぜなら、当時Browsiを導入した際には、上部の枠より上にはBrowsiを配置していなかったからです。それ以上の場所に配置すれば、確かに売上が下がる可能性はあります。

そのときは、下部の広告がほとんど表示されていない状態でした。Browsiを導入したことで、下部の無駄なインプレッションが減り、結果として広告数が減ったように見えましたが、サイト全体のRPMが上がりました。そのため、インプレッションが減ったとしても、売上は全体的に確保できた、という事例があります。

池田氏:
ありがとうございます。参考になりましたか?もう(導入を)決めましたか?(笑)

というわけで、少し時間をオーバーしましたが、「アテンション」という言葉だけは覚えて帰ってくださいね。

いずれ「しっかり見られる広告」にだけ広告が配信され、見られない広告には無駄な投資をしない時代がやってくるはずです。

もちろん、アテンションにはクリエイティブが重要ですなんですが、これはパブリッシャー側ではどうにもできない部分です。ですので、我々にできることとして広告枠をまずは整理整頓して、これからの難局を乗り切ろうじゃありませんか。このセッションがその一助になればうれしいです。

それでは、田中さん、山田さんに拍手をお願いします。ありがとうございました。


Browsiについてのお問い合わせは browsi@globaliver.com まで。


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