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【ネタバレ注意】『蜻ェ繧上█縺溷サ█搗』を勝手に小説化してみた 1/2

※柄シャツ男さんの"オダ君は最強"写真集『蜻ェ繧上█縺溷サ█搗』に対し、かなり独自の解釈をし、捏造しています※
※まだ写真集を見ていない方はネタバレにご注意ください※

柄シャツ男リターンズ作品
"オダ君は最強"写真集
『蜻ェ繧上█縺溷サ█搗』
通常版発売中
BASE


「おぉぉおいトクガワあ!」
「ハイ?」
「どこまで行くんだよこれ、っつーか道合ってんのか?」
「もうすぐなはずですよ、もうバテたんですか、オダ君」
若い男2人が連なって歩いている。少し前を歩くのは黒いパーカーに黒ぶちメガネをかけた“トクガワ”。大学でオカルト研究部に入り積極的に活動している。後ろから追いかけるのはグレーのジャケットに丸いサングラスをかけた“オダ”。ただのフリーターだがバイトリーダーを任されているらしい。人ならざぬものが“見える”者同士で小学生の頃からの付き合いだ。
「バテたってお前、こんな道2時間も歩いてたら誰でもバテるだろ!」
2人が歩いているのは何百何千の真っすぐな杉の木が鬱蒼と生えている山道で、まだかろうじてコンクリートで舗装されているがたっぷりと落ち葉が覆っており、時折足を取られ滑り落ちそうになる。真昼のはずなのに高い位置で生い茂る葉が日の光を遮ってひどく薄暗く、とても楽しいハイキングとは言えない様子だ。
「そんなジャケット着てくるからじゃないですか」
険しくなっていく道をパーカーのポケットに手を突っ込みながら飄々と登っていくトクガワ。
「これは俺の正装なの」
「正装?」
「神社に行くんだろ。縁結びの神様の」
「ああ…そんな風に言いましたっけ」
「はあ?」
オダは話しながらいつの間にか道の舗装が終わり地面を歩いていることに気づく。木の根がぼこぼことはみ出してきているせいで道がどんどんと狭まっていく。こんなところ滅多に人がこねえんじゃないか?とやっと自分のいる場所のおかしさに思い至ったとき。
「今日の目的はこれです」
トクガワが足を止め振り向き、自身のスマートフォンをオダに見せる。
黒背景に赤字で「オカルト研究会」と題されたサイトには血で赤く染まったテディベアの写真の下に、ある心霊現象について詳しく書かれていた。
「はああ!?またオカ研!?ピチピチギャルとの縁結びをお願いするんじゃなかったのかよ!?」
「まあ、ある意味そうですから」
「ある意味ってなんだよある意味って」
「そんなことより着きましたよ、たぶんあれです」
トクガワが親指で指す先にはどう見ても朽ちかけている神社のような建物があった。
「おおれはぜってえ行かねえからな!!お前人のこと騙すのもいい加減にしろよ!!」
木にしがみつきながら叫ぶオダの声が山中に響く。
「帰ってもいいですけど…ひとりで大丈夫ですかね」
そう言うやいなやトクガワはくるりと向きを変えすたすたと奥へ向かっていってしまう。どこからかギャア!ギャア!と鳥の鳴き声が聞こえてくる。
「いやだからなんでいつも俺を呼ぶんだよ‥ちょっと…おい・・・まてよ!!!」
この場でひとりになる恐怖が勝ったオダは迷う暇もなく慌ててトクガワの背中に着いていくしかなかった。

建物に近づいてみると現れたのは立派な鳥居だった。やはりこの先は神社につながっているようだ。
「クマのぬいぐるみを持つ少女が現れる、か…とくに出現条件は書いてないな」
鳥居の手前にある大きな切り株に寄りかかりながらスマホを見てぶつぶつひとりごとを言うトクガワ。その彼を追い越し鳥居付近をウロウロしながら「なんかここ、意外とでかそうな神社だなあ」としげしげ眺めるオダ。
「オダ君、とりあえずこのクマ探してください」
切り株に肘を置きながら拡大したぬいぐるみの写真をオダに見せるトクガワはどこか余裕のある表情を浮かべている。
「なんっでおれが探すんだよ!?あとそのムカつく顔やめろ!」
一方オダは恐怖でへっぴり腰のまま思いつく限りの文句をわあわあと言っている。

「だいたい、こんな何年も誰も来てないような場所にポンとぬいぐるみなんかあるわけねえだろ」オダは気味の悪い写真から目を離すように背を向けて鳥居の奥を覗こうとする。「そうですね、参ったな」とトクガワは再び目をスマホにやった瞬間ヒヤ‥と空気が変わったのを感じた。「オダくn…」トクガワがオダに声をかけようと視線を移したとき

「あれ」

ぽつん、とトクガワが呟く。
スマホの画面の文章を今一度読み直す。

“白いワンピース”

“長い黒髪”

一致する。

「あれそれもしかして」
ゾワゾワゾワと鳥肌が泡立つ。

“クマのぬいぐるみ”

「あ?なに?」
オダがトクガワの声に反応して振り向こうとする

その背後にびっったりとくっついている、この世のものではない、ソレ。


「オダ君の後ろにいます、白いワンピースの女の子」


その言葉が発せられたのと同時に後ろを振り向くオダがソレを視認する。途端に恐怖で顔が歪み叫び声をあげようとしたとき

『い っ ショ に アソ ぼ ウ』

真っ白なワンピースから真っ白な腕がすうっと伸び静かにしかし力強くオダの胸をどん、と押す。バランスを崩したオダが「ギャーーーーーッッッ!!!」と叫びながら右足で鳥居を踏み越えた瞬間

ばつん、と何かが途切れる音がした

「ァァァァァァ!!!ッッッ…………あ…?」
叫び続けていたオダは、目の前にいた女の子もその奥にいたトクガワも消えていることに気が付いた。よくよく目を凝らしても忽然と消えている。明らかに幽霊の類だった女の子が消えるのはまだわかるが、トクガワもいなくなっていることに激しい動揺を覚え慌てて辺りを見渡す。ぐるりとその場で回ってみてもその姿はなく、不安ばかりが積みあがっていく。
「トクガワ……まじでどこ行ったんだよ…?」

「消えた…?」
一方その頃トクガワもさっきまでオダがいた場所を見ながら首を傾げていた。
「鳥居の中へ入った瞬間霊とともに消えた、ということは鳥居に何か仕掛けが…?」
そう思い自身も鳥居をくぐってみる。が、何も起きない。オダの姿も見えない。恐らく霊に触られ押し込まれることが条件なんだろう、と経験上から仮説を立てる。しかし依然としてオダの行方はまったくわからない。何か手掛かりになるものはないだろうかと思考を巡らせたまま敷地の奥の方へ入っていくことにした。


つづく

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