サッカー選手のJones骨折・早期発見・予防のためのメディカルリハビリテーション
普段は栃木県の病院で理学療法士として整形外科・スポーツを中心に、現場のコーチとドクターと連携を取りながら、競技復帰を目指しリハビリを行っています。外部活動として高校サッカー部のトレーナーをしております。また、個人として「かけっこ教室」・「フィジカルトレーニング」指導を行っております。医療と現場を繋げられるような、現場で役立つメディカルの情報を主に発信できればと思います。
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皆様、こんにちは!
PITTOCKROOM MEDICAL TEAMメンバーの安江です。
ピッチでの傷害予防をアップデートし、怪我からのリハビリ期間をパフォーマンスup期間へと変革するというvisionを掲げ、サッカーに関わる全ての人へ、より良いものを届けられるように記事を書いていきます!
皆様、早速ですがJones骨折がどんなケガか知っていますか?
選手や指導者の中にはJones骨折の存在を知らない方も多いと思います!
今回はサッカー選手に多いJones骨折について,少しでも知って頂き予防に役立てて頂ければと思います!よろしくお願いします!
Jones骨折
Jones骨折は足の小指側の第5中足骨近位部に起こる疲労骨折です!
歴代の日本代表である小野伸二選手・香川真司選手なども発症したことのある骨折です。
第5中足骨近位部は血流が乏しいため,Jones骨折は治りにくく,偽関節(骨折部の骨の癒合が起こらず,異常な可動性がみられる状態)になりやすいと言われています。
また,再発しやすく手術が推奨されることが多いケガの1つです。
Jones骨折(疲労骨折)になるまでの流れ
疲労骨折は1回の強い力で生じる外傷性の骨折とは違い,同じ部位に軽い外力が繰り返されることにより発生する骨折です。
骨の微細な損傷の時点(不全骨折)であれば修復可能ですが,微細損傷の蓄積で局所的に骨量が減ると修復不能な完全骨折となります。
不全骨折の状態でサッカーをプレーし続けると,通常では骨折しないようなジャンプでの着地や方向転換時に応力が集中し完全骨折になってしまうことがあります。
完全骨折の前の不全骨折の時点で発見できればサッカーを中止せずに治療ができます。
また不全骨折の状態では痛みがでない(無症候性)ことが多いのが,Jones骨折の問題です。
そのため、日本国内では2009年よりドクターやトレーナーを中心にJones骨折研究会が発足され,Jones骨折の早期発見・予防を目的にJones骨折検診が行われています。
Jones骨折研究会HP
https://saita0617.wixsite.com/jones/blank-c4nz
Jones骨折検診では1303名2606足のうち,エコー検査陽性は138名158足であった.不全骨折は24名25足に認め,不全骨折の発生頻度は1.8%であった.不全骨折の選手の中で圧痛を認めた選手は少数であり,圧痛は不全骨折の指標にはならなかった.
Jones骨折検診では不全骨折は一定数存在することが分かります。
これらの情報だけでもJones骨折の予防の重要性が理解できますね!!
Jones骨折の疫学
(※1)高校サッカー選手での疫学調査では1年間で407例中5例にJones骨折があったと報告
(※2)Jリーグ選手における調査では日本人選手136例における既往は15.4%と報告.外国人選手の既往は3.9%と報告
(※3)プロサッカー選手において若い年齢ほどJones骨折を発生しやすく過度なトレーニングが危険因子として挙げられると報告
高校生年代から発症がみられ,外国人に比べ日本人の選手に多いことがわかります。
私のサポートしている高校のチームでもJones骨折は3年間で1~2名程度発症しています。高校生年代くらいから注意していきたいケガですね。
Jones骨折発生の危険因子
予防とリハビリを考える上では発生の危険因子を理解することはとても重要になってきます。
(※4)身体的な危険因子としては後足部の内反傾向やcavus foot(甲高)による足部外側荷重傾向があると報告
(※5)中足部の内転角の増加が危険因子として報告
(※6)日本人サッカー選手のJones骨折の危険因子とて股関節内旋可動域が小さいと報告
上記以外の報告でも下記の図のような報告があります。
内因性と外因性の要因に分けられ、赤い字で記載されている部分は指導者やメディカルスタッフによって介入可能な部分です!!
中学生→高校→大学などカテゴリーが変わり,練習量の増加や硬い人工芝での練習が開始になった際には注意が必要なケガですね。覚えておきましょう。
足部の機能とパフォーマンス
ここで簡単にJones骨折による足部の機能とパフォーマンスの影響について説明します。
joint by joint theoryでは足部はStability(安定性の関節)jointであり、一番下で身体を支える機能が必要とされます。
そのため,Jones骨折により身体の土台である足部機能が低下するとパフォーマンスに影響を及ぼすことが考えられます。
現場で出来るセルフチェック
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