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Aaron Frazer『Into the Blue』のこと、「氷菓」と「小市民シリーズ」のこと
Aaron Frazerの2ndアルバム『Into the Blue』を聴いた。僕は山育ちなので海に憧れがあるのでジャケットの時点でかなり好きなのだけど、アルバムを通しても楽しかった。
ヒップホップっぽいアプローチでソウルをやってるという印象。マルチインストゥルメンタリストなのでやろうと思えば何でもできるのだろうけど、バンドの方はDurand Jones & the Indicationsでやっているので、できるだけ個人的な、あまり多くない人数で作り上げたい動機に基づいて作られたのだと思う。失恋をきっかけにブルックリンからロサンゼルスに移住して制作されたとのこと。アメリカの土地勘がないので僕には東海岸と西海岸の音楽性の違いはよくわからないが、日本で言えば北海道から福岡に移住するようなものなので、そういうノリは破天荒でおもしろい。
「Time Will Tell」や「Into the Blue」という名前の曲から宇多田ヒカルっぽさを思い出したというか、やはり一昔前のR&Bっぽい雰囲気が漂っていて、良くも悪くも新しさはあまり感じない。いつかどこかで聴いたことのあるようなメロディーやリズムを、Aaron本人を慰安するために用いていると思う。それが回り回って遠い島国の地方の片隅の僕の部屋を彩り、楽しい気持ちにさせてくれる。素敵。
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Prime Videoのd-アニメチャンネルで残していた「氷菓」を完走して、その後に録画した「小市民シリーズ」の1話目を見た。両作品とも原作は米澤穂信のものだが、制作会社も放送の枠も異なる。
「氷菓」は2012年に京都アニメーションが制作したもので、僕は多分5回くらいは通して見ていると思う。高校生活を送る上で出会う小さな謎を、省エネ主義を掲げる主人公折木が、ヒロインである千反田えるに焚き付けられて解決していく物語だ。謎解きもさることながら高校生ならではの空気感や葛藤が細かく描写されているのも良い。京アニが手がけただけあって映像は文句なく、というか今見てもちょっと頭のおかしい作り込みの作品だと思う。見ている人はもれなく千反田えるに恋するだろうし、12年経った今見てもかわいくて困った。
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「小市民シリーズ」は今年の夏クールに放送が始まった作品で、制作はラパントラック。「氷菓」ほどではないものの美術はしっかりしているし、アニメーションもどこか軽やかで今っぽいアニメとして仕上がっていると思った。こちらも男子高校生の小鳩と女子高生の小左内が高校生活の小さな謎を解いていくもののように思えたが(原作未読)、「氷菓」が田舎を舞台にした物語なのに対して、「小市民」はそれよりは都会のように見えた。
小鳩には小市民として生きるという目的があり、その点において小左内と共謀関係を結んでいる。だけど人並外れた推理力を持ち合わせている。「氷菓」同様に主人公たちに欲がないと言うか、平穏を求めつつ何らかの出来事に巻き込まれるのが米澤穂信らしい作品に思えた。来週以降もとても楽しみ。
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あとはフジロックの配信が決定して喜んだり、家の高齢者の普段とは違う行動に振り回されたり、そんな1日でした。