【脚本家】日髙勝郎に15の質問【ピタ】
【プロフィール】
東京都新宿区出身
早稲田大学社会科学部卒
アニメ・ドラマ・映画等脚本のほか、ゲームアプリや漫画原作も手掛けヒット作を生み出し続けている。役者活動で培ったライブ感覚を武器に、脚本に血の通った“生きたセリフ”を 落とし込む生粋の「ドラマメイカー」。
Q1. 名前(ペンネーム)を教えてください。
(ペンネームの方は由来を教えてください)
日高勝郎、本名です。
ペンネームにするタイミングを逃し続け、ずいぶん長い月日が経っちゃいました。
今でも機会があればと、虎視眈々とタイミングを狙ってます。
Q2. 脚本家を目指したきっかけは何ですか?
「騙されて」というのが正直なところです。
役者時代、映画のオーディションと聞かされ送り込まれた先が実は本読み(脚本の打ち合わせ)の席でして。
所属していた事務所が制作会社との繋がりを求め、僕を脚本家と偽り送り込んだ…というのが真相だったんですが(もちろん、のちにそこは辞めました)、とはいえ制作会社に迷惑をかけるわけにもいかず、急ごしらえで書き方を学びながら1シリーズを書き上げ、結果として脚本家デビューしちゃった感じです。
「じゃあ来週までにプロットを」と言われ、「プロットってなんすか?」と聞き返した時の静寂は今も忘れられません^^;
Q3. 得意なジャンルは?(コメディ、ラブストーリー、S Fなど)
この質問が一番困っちゃう…。まずはその世界に入り込んで好きになるところから始めるんで、ジャンルに好き嫌いという概念がないというか…。
過去作の評判などを踏まえ、聞かれた時には一応『ハードボイルドコメディー』と答えるようにしています。基本コメディ色でありながら、時に熱く、決める時は粋に決める…といった作品は得手なほうかもしれません。
Q4. 脚本を書く上で最も大切にしていることは?
登場人物たちが作品の中でちゃんと生きているか、そこを一番大事に見ていると思います。登場人物ひとりひとりが、その場その場でそれぞれの性格に準じた行動をしているか。口を開いた時に自然な言葉が出ているか。
僕の場合は役者としての感覚が基本になっているので、各人物の目線に立ち、状況や他のキャラクター含め違和感を感じるところがないかを常にチェックしている気がします。
そして、そんな登場人物たちが最も躍動する状況・構成・環境作りが出来ているか…色々ありますが、その辺りを一番大切に考えていると思います。
Q5. 登場人物を作り上げる際のアプローチ方法は?
何を大事に想い生きている人物なのかを考えます。
愛の為?
金の為?
他人からの評価を得る為?
自分へのご褒美のシュークリームの為?
最初にどんなことの為に行動する人物なのかを決め、立体化させていく感じです。
どんなサブキャラでも平面的なキャラクターではなくちゃんと人間として成立するように、「清濁併せ持った」人物に立体化させていく感じです。
Q6. 創作の際、どんな時にアイデアが降りてきますか?
いつでも。
アイデアに関しては、どんな時でもジャカジャカ出て来るほうなんですよね。
PCに向かっている時はもちろん、ご飯食べてる時も、スーパーで買い物してる時も、近所のおばさんの愚痴を聞いてる時も、何だったら子供の使いかけの消しゴムを眺めている時も…。集中力がないことが功を奏してるのかもしれない。
むしろ出過ぎるアイデアを取捨選択したりまとめることのほうが苦手です。それとは別ですが、ストライクなワードが出てくるまでに時間がかかることはしょっちゅうあります。こういう場面に適した、もっとベストなワードがあるはずだよなぁ…とか。
そこに一番時間が食われてるかもしれない。
そういう時はシャワーを浴びるとお湯と一緒によく出てきますね、ベストワード。
Q7. 執筆時のこだわりや習慣はありますか?
ずっとやめようと思っているし何十年も脱却することを願ってるんですけど、結局執筆のお供に手に取ってしまうのがタバコ。こう文字にしているだけでも本当に悔しい!
今月いっぱいでついにやめるぞ、と今は思ってます。
あと、コーヒー。
Q8. 執筆のモチベーションを上げる方法は?
むしろ僕が聞きたいかも。
どんなにアイデアがあろうと、どんなにワクワクしていようと、いざ始めようとするとどうしても億劫になっちゃう。
書き始めちゃえば、どんどん楽しくなって書いていっちゃうんですけどね。
無理やりにでも、一文字目を書き始めることじゃないかしら。
Q9. Writer's blockを乗り越えるための自分なりの方法は?
しまった、ほぼ前の質問と同じ答えだ。
とにかくデスクに座り、PCに手を置く…それしか無いっすね。
Q10. 執筆を仕事にして、最も幸せなことは?
やっぱり、面白いと言ってもらえた時ですかね。
自分の「面白い」が誰かに伝わった瞬間でもありますし。
自分が書いたものが、観たり読んだりした人の人生に一瞬でも寄り添えたならこんなにも嬉しいことはないです。
ちょっとした支えになれたり、ふとした瞬間に登場人物やその言葉を思い出してもらえたりしたなら、もう泣いて喜びます。
Q11. 好きな作家や影響を受けた作品は?
漫画だと、『究極超人あ~る』『ろくでないBLUES』『MASTERキートン』がバイブルです。
あとはいわゆる物語より、歌の歌詞などに影響を受けることがかなり多いです。
細野晴臣、大江千里、荒井由実…とか。
何だ、その発想!?どうしてその言葉が出てくるんだ!?
なんて悶絶しつつ着想を得たりしています。
Q12.これまでに携わった作品の中で、最も思い入れのある作品とその理由は?
もちろんどの作品も思い入れがありますが、完成度という面で考えると『誰ガ為のアルケミスト』という作品の第2章が浮かびます。
WEBゲームなんですが、どこかで読めたりするのかな…わからない^^;
ハードボイルドを気取るもカッコつかないガンマンが主人公で、スチームパンクの世界を舞台に繰り広げるアクションコメディです。
流れ者の主人公が様々なトラブルに巻き込まれながら、人々の凝り固まった固定観念をガチャガチャ掻き回しつつ軽快にバトルを繰り広げてゆく。
目の前の脅威に白旗を上げる人々に「本当の悪は諦めることに慣れ切ったあんたらの心だ」と言い放ち、絶望的な闘いに臨む主人公。
やがて放たれる一発の銃弾…迫る巨悪が、そして人々の怠惰な慣習が撃ち砕かれ、止まっていたその国の時間が再び動き出す――といった感じのお話でした。
コメディとアクションで軽快なリズムを保ちつつ、問題提起も入れ込み最後まで爽快に進む物語に仕上げられた点。
そして最後に放つ一発の弾丸にすべての伏線の結末を集約させ、未来の希望へと繋がるカタルシスを導けた点などから、自分的には非常に高い完成度に仕上がったな…と。
それ以上の作品を生み出すべく、日々奮闘しています。
Q13. 趣味や仕事以外の関心事は?
ドライブにキャンプ、音楽活動に釣り、映画にパチスロ、純喫茶巡りに各地の商店街探訪…なかなか時間は取れないですが、遊びの方向性は広いですね。
謎解き・脱出ゲームも中毒なほどに好きです。
Q14. 今後挑戦してみたいジャンルや題材は?
日本全国に題材が山ほど眠っていると思ってまして、あまり取り沙汰されていない各地のオンタイムの姿を物語にして繋いでゆけないかと試行錯誤中です。
Q15. 将来の目標や夢は?
Q14の企画を実現させ、ライフワークのように出来たらな…と。
あと表現方法の話になりますが、小説にも挑戦してみたいなと最近考えています。
脚本家、日高勝郎に関するお問い合わせはこちらまで
E-mail:info-pita@pita-inc.com