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【脚本家】米内山陽子に15の質問【ピタ】

【プロフィール】
広島県三原市出身。
1993年より演劇活動を開始。2008年に出産。
2009年より劇作を中心に活動復帰。
2012年に同学年女性四人で演劇ユニット・チタキヨを結成。作・演出を担当している
現在は脚本のみならず、演出、舞台手話指導、舞台手話通訳など活動の幅を広げている。
現代を生きる人々のみじめでみっともなくて、しかし愛しい生き様を執拗に描いている。

Q1.    名前(ペンネーム)を教えてください。
 (ペンネームの方は由来を教えてください)

米内山陽子です。
結婚前の本名です。

Q2.    脚本家を目指したきっかけは何ですか?

高校の演劇部で、脚本を書き始めたことです。
それまでの人生でいちばん褒められたので、そこから目標になりました。

演劇ユニット・チタキヨのメンバーと

Q3.    得意なジャンルは?(コメディ、ラブストーリー、S Fなど)

どのジャンルにおいても欠かせない、「人と人の間に起こる関係性の変化」を書くのが好きです。

Q4.脚本を書く上で最も大切にしていることは?

・〆切を守ること。
昔、けらえいこさんのエッセイ漫画で「〆切を守ることも原稿料に入ってるんだ」という言葉に触れて、ある種の真実を感じて胸に留めています。
・登場人物を構成の奴隷にしないこと。
作家の都合で動かす登場人物からはどんどん人間味が失われて、駒になってしまいます。登場人物の衝動や感情に嘘をつかないようにしたいです。
・どんな小さな違和感からも目を逸らさず考えること。
上の項と重なるのですが、作者の都合が垣間見えた瞬間、言いようのない気持ち悪さを感じることがあります。
脚本の時点で感じた違和感は、各セクションを経るにつけ拡大していき、取り返しのつかない違和感に発展します。
脚本の段階で小さな気持ち悪さは全部潰しておくこと。言語化できなくてもとにかく「引っかかっていること」を放っておかないこと。
・せりふは核心の縁取りをするように。
「好きだ」と言わなくても気持ちが伝わるように、
「気持ちのいい朝だ」と言わなくてもそれがわかるように、
伝えたい事象の周辺を丁寧に描くことで、核心が浮き彫りになるイメージでせりふやト書きを考えます。
・登場人物は行動で物語ること。
これも上の項と重なるのですが「何を言うか・やるか」も大切ですが、「何を言わないか・やらないか」も同じくらい大切です。
言動の余白からお客さんはたくさんのことを読み取ってくれるので、語りすぎず、リアクションや間や行動で登場人物を象っていけたらいいなと思っています。
・大切なことをひとつだけ決める。
書き進めているとどのシーンも大切になるですが、その作品の中で本当に見せたいものをひとつだけ決めます。
全てを大事にすることは、全部大事じゃないのと同じです。
もちろん、だからといって他を疎かにするというのは違います。
見せたいもののために泣く泣く削る勇気が必要だと考えています。
そのためには、作品の本質を自分なりに掴んでいないとなりません。
逆に言えば「これだ!」と思うものがひとつでもあれば、作品を書き進めていくことが出来ます。

演劇の開演準備

Q5.    登場人物を作り上げる際のアプローチ方法は?

何が許せない人なのか、ざっくりとした生育歴を考えます。
一面的な人物にならないよう、その登場人物が抱えそうな矛盾の種も仕込みます。
その上で、ラストに向けてのゴールも決めます。考えが変わる、関係が変わる、など、変化があることが大前提で、もし何も変わらないとしても、それは何故かを描けるように作り込みます。
当て書き(想定のキャストが決まっている状態で書き出すこと)の場合、加えて「この人が何をしたら面白いか、納得できるか」を考えます。

Q6.    創作の際、どんな時にアイデアが降りてきますか?

友人とのお喋りのなかでふっと湧いてくることが多いです。
お風呂の中で急に過去を思い出した時やニュースを見ていて湧くことも多いです。
概ね、怒りや遣る瀬なさをなんとかしたい!という動機が多いです。

Q7.    執筆時のこだわりや習慣はありますか?

ルイボスティーをたっぷり用意しておく。
ラムネは切らさない。
同じ音楽を1曲リピート(長くなると飽きて変えたりもします)

舞台稽古の演出中

Q8.    執筆のモチベーションを上げる方法は?

「やる気になってからやる」のではなくて、
「やっていたらやる気になる」。
というわけで、とにかくワープロソフトを立ち上げて出鱈目でも文字を打って、「書く体」にしていくと、やる気が出てきます。

Q9.    Writer's blockを乗り越えるための自分なりの方法は?

誰かに相談したり、お喋りしたりすることで乗り越えます。
同業者の仕事の話や、友人達とのとりとめのないお喋りで、新しい視点や思いもよらない考え方に出会います。
脚本は「人を描く」ものだと信じているので、一人の頭で悩まないほうがいいと思っています。
どうしても書けない時は、過去作を読み返したりします。
「書き切ったことがあるんだ!」ということを自分に言い聞かせるために

Q10. 執筆を仕事にして、最も幸せなことは?

作品が誰かに届いたと感じられる時。
打ち合わせに参加している方や、放送や本番を見てくださる方々に、一行でも、一言でも、届いたと感じられる時が幸せです。

音楽ライブの手話通訳

Q11. 好きな作家や影響を受けた作品は?

先輩脚本家で尊敬する方々はたくさんいらっしゃいます。
向田邦子さん、大石静さん、森下佳子さん、藤本有紀さん、野木亜紀子さん、渡辺あやさん、篠﨑絵里子さん、小林靖子さん、岡田麿里さん、柿原優子さん、横手美智子さん、飯島早苗さん、秋元松代さん、如月小春さん……
順不同です。まだまだたくさんいらっしゃいます。
挙げたらきりがないほど!

Q12. 印象に残っている言葉、セリフは?

Take your broken heart, make it into art.
──受けた傷を、新しい作品に──
スター・ウオーズシリーズでレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーの言葉です。
2017年ゴールデングローブ賞でこの言葉を引用したメリル・ストリープのスピーチが素晴らしいので、是非全編ご覧になってください。
誰かの傷を癒やすために、自分の傷と向き合うこと。
誰かの傷口を広げる作品を作らないこと。
これまでに触れた多くの作品に、慰められ、勇気づけられました。
わたしの関わる作品も、そうであるように努めます。

Q13. 趣味や仕事以外の関心事は?

親しい人達とお酒を飲むこと。
冬になると生牡蠣をたくさん食べる会を毎年行っています。
伊勢丹に行って、服や化粧品を眺めて(そうは買えないお値段なので)、地下でパン買って帰るのが好きです。
御殿場のアウトレットで2万歩くらい歩き回るのも好きです。
息子と食事に行ってじっくり話すのもとても楽しいです。
特段の趣味があるわけでもないので、そうした日常のちょっとしたことが癒しです。

Q14. 今後挑戦してみたいジャンルや題材は?

クライムサスペンス。
観るのがとても好きなので、挑戦してみたいです。
そしてなんと言っても朝ドラや大河ドラマ!
長い時間をかけて描く物語に挑戦したいとずっと思っています。

よなよなエールを飲むよないやまようこ

Q15. 将来の目標や夢は?

一生書き続けること。
私の筆が少しでも世界平和の一助になることを信じて、
常に新しく、
常に前線で、
たくさん傷を負いながらでも、書いていきたいです。

脚本家、米内山陽子に関するお問い合わせはこちらまで
E-mail:info-pita@pita-inc.com


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