コンサルタントとして育つとは?
1.はじめに
正直、永遠のテーマです。今後、数カ月もしないうちに考えは変わるでしょう。一方で、成長に拘るのは理由があります。私自身、この仕事の喜び・面白さは成長にある。と感じ、コンサルタント業を続けてきました。その様な背景で、以下の駄文にお目こぼしと、ご容赦を頂ければと思います。
2.「自分で育つ」と「育てられる」の違いとは?
いきなり核心です。本稿の結論は、「自分で育つ」型の人がコンサル業界では生き残る確率が高い。ということです。申し訳ないですが言い切ります。また、「自分で育つ」型の人は、コンサル業から転出後も、事業会社やベンチャー、更には起業されても活躍される方が多いです。つまりは、受け身ではなく、自ら行動を起こせる人。こういう人がコンサル会社が求める人材像とご理解を頂ける。そんな内容になれば幸いです。
なぜ、このような思いに至ったか。
それは、新卒や転職の方と会話していて、「コンサルタントは成長できる」、「コンサルタントは育つ環境である」。その様な言葉を聞きます。なるほど、その点は同意します。
一方で、そのニュアンスに、危うさを感じます。つまり、「育てて貰える」のか「自分で育つ」のか。ここに大きな隔たり、ややもすると不幸を生む真因が隠れている様に思います。この認識ギャップを埋めたい。これが本稿の趣旨になります。
3.「育てて貰える」型に、どういう不幸が待っているのか?
「育てて貰える」型は、マニュアルを最高水準で遂行する事を前提としています。指示をして頂ければ、その通りに動きます。という特性を持ちます。良く言われる、答えがある問題を解く事のプロフェショナルです。確かに、この思考で輝く人もいます。但し、コンサルティングの現場では不適格な能力特性です。
ご存じの通り、企業はその成り立ちから事業運営、働く方々の心持ち。会社ごとに異なります。よって、外形的に拡販能力向上が必要である。又は、間接部門の働き方改革で生産性を向上すべきである。等と言っても、その企業に適用する処方箋は、企業ごとにカスタマイズされたものになります。
お気づきの通り、企業の個別の問題を捉え、カスタマイズしたソリューション。解決策をご提案する。つまり、問いと答え。この両面を置かれた企業の状況を踏まえて、導き出す。この力が必要とされます。言われた事は出来ても、少しでも状況が変わると、思考停止してしまう。この様な人は、コンサルティングの業務特性には合わない。ということです。
言葉を濁さず言うと、仕事から逃げる人は、「育てて貰える」型の人です。自分で考える事を放棄しているので、業務指示が少しでも不足すると、業務が停滞してしまいます。所謂、受け身型の業務遂行になる為、成長速度も遅く、同じタイミングで入社した人がプロモートする中で、自分だけ置き去りになり、組織に居場所が無くなってしまう。そんな現実があります。
補足:これはコンサル会社の明と暗です。アップオアアウトの風潮は薄れたとは言え、プロフェッショナル組織でパフォーム出来ない人をいつまでも囲っているかというと難しい状況があると思います。プロ野球にも1軍と2軍。そして戦力外通告がある様に、プロとして生活するとは、一面その様な側面がある点は認識すべきかと思います。
4.「自分で育つ」型は万能?
では、「自分で育つ」型の人はどうでしょうか。このタイプの人は、目的から必要な目標を設定する能力を有しています。つまり、何が求められているのか、何を達成すべきなのか。その目標達成の為には、何をどの水準まで、引き上げる事が求められるのか。ここから思考がスタートします。
更には、この思考を自分自身にも適用できます。自らが足りていない能力は何か。その為に、どの能力をどこまで鍛える必要があるのか。自らをアップデートする思考回路を有しています。
このタイプの人は、自分を客観視できます。指示された事に応えられない。そこで思考停止せず、不足する能力を特定し、補います。そして、手段を選びません。身近な先輩(自らの能力を伸ばしてくれる前提)に色々と質問・相談をします。自分がアサインして欲しいPJを常に公言します。自分が出来る事をアピールする機会には、自ら立候補して組織内の人脈を広げます。
ここまで読んで、いやいやそれはおべっか使いじゃないですか。と拒否反応を示された方も要るのでは無いでしょうか。確かに、一面気持ち悪いかもしれませんね。
但し、コンサルタントは、お客様の成果を実現できるなら、(法律と倫理に反しない限り)手段は選びません。使える手段は全て使います。コンサルタントなる、第3者だからこそ組織に揺らぎを起こせるのです。融通無碍に振舞える。これもコンサルタントが成長し、お客様に貢献する中で、必要な要素であると考えます。
一方で、「自分で育つ」型の人に対する懸念は、自己流に走り過ぎて、自社/他社の批判に走り始めるパターンです。これは大変な不幸です。避難を浴びた人が、非難をした人を受け容れる事は容易には実現しません。組織で孤立します。唯我独尊になっていないか。出来過ぎるが故に組織の和を乱していないか。その点は留意が必要になります。
5.まとめに変えて
本稿の趣旨は、「育てて貰える」からコンサルに行こう。「育てて貰える」から年収アップ。そんな短絡的な思考(本稿を読まれる方は賢明な方なので私自身が発信方法を見直すべきかもしれませんが)を少しでも、緩和出来ればと思い記述しました。
異論・反論はあると思います。私自身、今でこそ、何事からも盗んで、学びに繋げようと思える様になりましたが、「育てて貰える」型の心理状況が全く無かったかと言うと嘘になります。一方で、「自分で育つ」と少しでも拘りがあったので、プロフィールにある様なキャリアを経てきました。
正解はありません。自分自身の問いを設定し自分なりの答えを見出す。これがコンサルタント業の特性です。本稿が今後、コンサルタント業を目指す方の何かしらの意思決定の一助になりましたら幸いです。