伸びる人と伸び悩む人(思考編)
1.はじめに
コンサルタントとして、伸びる人。伸び悩む人。その違いは何でしょうか?
どういう要素で、差が付くのでしょうか。私自身、10数年この仕事を続ける中で、多くの挫折感を味わってきました。コンサルタントの職業柄、新卒者も転職者も、自らの成長パターンを構築するまでに、時間を浪費してしまう事実があります。
私と同じ轍を踏む人を、少しでも救いたい。
なんて、大げさですが。コンサルタントとして早期に活躍できる。その為の秘訣は何か。この永遠の問いに、少しでも新たな視点を提供できたら。そんな想いです。上から目線で、気に障る表現もあるかもしれませんが、そう感じた言葉が、今一番自分が目を逸らしている事実かもしれません。
想定はコンサルタント1年目~3年目です。(転職者も含みます)
2.伸びる人はここが違う5つの特徴(思考編)
5つの特徴について、私なりの考えを記述していきます。
①目的から手段を考える
②不足情報を考える
③前提転換で考える
④主張と根拠で考える
⑤ストーリーで考える
①目的から手段を考える
伸びる人は、常に必要性から考えます。必要性とは、目的達成の為に求められる事は何か。この視点を外す事がありません。当初クリアだった論点も、情報収集し、データにまみれる内に、作業を終える事が目的に転化し始めます。その際に、一歩立ち止まって、そもそも何を求められているのか。今行っている分析や資料作成は本当に、必要なのか。
伸びる人は、こういう思考ができます。先輩の指示が曖昧な時も、お客様の要望がぼやけている時も、そもそも何を達成することが、お客様に取って最も重要なのか。この思考が出来る人は、物事を進める筋道を容易に描くことが出来ます。例え最初は拙い仮説でも、経験を積むごとに、核心を突いた骨太の仮説になります。
②不足情報を考える
①の目的思考が徹底していると、不足情報が気になります。コンサルタントに依頼が来る状況は、お客様だけでは意思決定できない。行動できない状況です。得てして情報の不足や、データはあるが分析を通じた可視化不足で、判断できない状況です。
その際に、目的から考えて、意思決定すべき論点を定め、その為に不足している情報は何か。その情報をどのソースから取得するかを考えます。インタビューや有料レポート、現場リサーチなど、不足する情報を新たに取得する方法を考えます。物理的に取得が困難な場合は、皆さん馴染みの深い、フェルミ推定です。一定のロジックを組んで、前提を複数置いて、この幅の中には入る。または、この3つのシナリオ別にオプション設定する。など、データを作りだします。
③前提転換で考える
その上で、常識を疑います。お客様が認識している制約や前提の中で、戦略方針や施策立案を行っても、所詮同じ土俵。お客様もどこかで聞いたアイデアです。それではお客様も満足しません。
その時に、卓越した人は前提や制約から転換します。そもそも、このルールは必要なのか。従来の業界慣習は、他業界の非常識では無いか。今まで商売に必須と考えて来たサービスが、実は赤字の温床に陥っていないか。発想転換し、思い切った発想をします。そんな事、やっちゃダメだよ。でも、なんでダメなの?根本から問い直します。
④主張と根拠で考える
あとは、馴染み深い論理思考です。しかし、若手コンサルで、主張を胸を張って喋る人って以外と少数派。多くは、根拠データの説明に終始する。伸びる人は、主張を語る。こうすべき。と、推奨があります。
皆さん、居酒屋に行くと今日のオススメは?とか聞くと思いますが、コンサルタントの立場で、胸を張ってオススメを提案した経験。どれぐらいありますか?それも、味と鮮度に全責任を負う自信を持って。
真に主張できる人は、考え抜いた人です。お客様のどんな反論にも答えるだけの根拠データを持つ。大切な事は、自分の意見を主張すること。失敗も勿論するけど、大いに学びを得る。主張せず失敗もしないと何も学びがありません。
⑤ストーリーで考える
その上で、コンサルタントのいくら良い主張も、お客様に理解して頂けなければ価値にはなりません。お客様にご理解頂く上では、ストーリーでお伝えすることがポイントになります。
無味乾燥な数字の羅列を説明して、こうあるべきと主張しても、お客様の理解は進みません。なぜ、今、この戦略を取るべきなのか。世の中の変化、お客様の変化、競合の変化。会社を取り巻く変化を踏まえ、企業として目指すべき方針を提示します。
3.終わりに変えて
本稿は、コンサルタント職についたものの、何か上手く行かない。最近スランプに陥っている。仕事が楽しく感じない。そんな状況の方に対して、少しでも気持ちや行動を変えるヒントになればと思い記述しました。
一方で、ここまで完璧にできる訳ない。そんな感想を持たれた方も要るのではないでしょうか。私も事実同感です。この仕事を相応に長くやってきましたが、全てを完璧に遂行出来ているかと言うと、正直出来ていません。一方で、こういうレファレンスがある事で、自分自身を振り返るモノサシを提供できるのではないか。そんな背景で本章を書きました。
初心に帰る。そんな心持で、今の私なりの考えです。強制も押し付けでもありません。気づきを得る。その為の情報になれば。そんな思いです。