繰り返す物語
『ボクが幸せになる為にこの物語に終止符を』
気が付いたら"私"は"ボク"に成っていて。
神々しく輝く純白色の美しい花と
ボクと「あの子」の思い出が
ぎゅうぎゅうに敷き詰められた
棺桶の中で眠っていた。
ボクが起きたことに気が付いた「あの子」は
幸せそうな顔で手を伸ばし"ボク"を
軽々としかし丁寧に抱き抱える。
「あの子」は少し哀しそうな顔で
「ごめんね」
と謝罪してくるのに
"ボク"は何も応えられない。
何もすることが出来ない。
なぜなら「あの子」の魔法で拘束され
人形の様になっているから。
"ボク"は泣いてる「あの子」に
何もすることが出来ないまま、
そのまま「あの子」に抱き抱えられ
思い出の場所だったであろう教会を後にした。
ーーーー
空はおびただしい数の
「神」 と「悪魔」が壮絶な闘いを繰り広げ
地では国や地域全ての
「人」 と「魔法士/魔法使い」
がたくさんの死者を出しながら戦っている。
メラメラと焼き尽くす炎が
ブクブクと沈みゆく水が
ギラギラと貫く雷が
こちらに飛んでくるもの全て
「あの子」が颯爽といなす。
ーーーー
ソレは一瞬の出来事だった。
いつしか音は止み静寂に包まれた。
「あの子」はこの世の頂点に成ってしまった。
人を、魔法使いを、魔法士を
神をも殺した「あの子」を
脅かすものなど
何も無い。
嗚呼、なんでこんな事になったんだろう。
初めて会ったあの日のように
ポツリ、ポツリと降り始めた雨の中
「あの子」は"ボク"の頬を撫で
そして
世界を滅ぼした