オラ、グラベルさ行ぐだぁ!2020
もはや、だいぶ前の事になりますが(お約束)
9月の4連休に青森の白神ラインを走って来ました。
青森の白神ラインは、知る人ぞ知る全長約46kmにも及ぶ未舗装区間が続く(一部舗装路)れっきとした国道(酷道)となっております。
前回の宮城県加美町の神グラベルを走破した我々が新たに目をつけたのがこの白神(酷道)ラインであります。
もはや、我々のグラベル中枢神経は完全に麻痺した状態となり、日々新たなグラベルを求め続けてしまうグラベル依存症(グラ中)となってしまったのです。
前回の東北のオレゴンこと、加美町の神グラベルを走破した直後に友人I氏から次の指令が下されたのです。
「次、ここ(白神ライン)走るから、リサーチ宜しく!」とのLINEが入り、慌ててネットで現地の情報を漁る。
やはり、どのジャンルにも先駆者と言う者は存在する訳でして、既にこのロング酷道を自転車で走破しblogにその詳細がアップされていたのです。
調べてみると、青森県弘前市から車で30分の西目屋村という場所にANMONと言うアウトドア施設があり、そこから程近い場所が弘前側の白神ライン入口となっているとの事でした。
そこから約46kmのグラベル区間を抜けて日本海側へと続く極上の酷道ルートとなっているのです。
まさに我々グラ中には垂水もののコンテンツとなっているのです。
しかし、このblogの主さんは北東北を自転車でロングツーリングしながら、白神ラインを越えて日本海側に出てそこから南下して行くと言うルートを辿っていたのです。
我々は、車で青森までトランポして白神ラインを走って日本海を見て戻ってくる行って来いライドなので、46kmにも及ぶグラベル区間をもう一度走って戻って来なければならないと言うSMプレイの様な様相を呈している訳です。
単純に、片道46kmのグラベル区間+日本海までの舗装路十数キロとなるので、往復110kmのボリュームとなる訳です。
我々の脚力や戻り時の体力、当日の天候等を考慮すると片道3時間弱、往復で6時間強になるのではと推察しました。
blogの主さんも諸々の機材トラブル含めてグラベル区間を抜けるのに3時間半を擁しており、これは一筋縄ではいかない予感が漂っておりました。
しかも、時期的に熊の出没リスクが相当に高まっている訳です。
東北地方の、特に北東北における熊の出没情報が1番多い時期は、冬眠前に餌を掻き集めるこの9〜10月がダントツで多いと言うデータがあります。
夕暮れの薄暗い時間帯に熊にでも出没しようものなら、オラ地獄さ行ぐだぁ!となってしまうのです。
なんとしても、日没前の17時くらいにはスタート地点に戻らなくてはなりません。
と言う訳で、前置きが長くなりましたが、我々の酷道グラベルトリップ第二弾、白神(酷道)ライングラベルツアーが幕を開けたのです。
前日にI氏のクルマで弘前市に前泊し、朝8時にスタート地点のANMONを出発。
道中は一切補給が出来ないため、補給食や水を入念に準備して臨んだ。
出たしは順調。
路面は加美町グラベル以上に引き締まったコンディションで非常に走り易い。
まず最初に、津軽峠で一本目のピークを迎える。
なんと、驚く事にバス停が設けてあるのだ。
流石は国道(酷道)
しかも時刻表は往路復路ともに1日1本。
まさに演歌の大御所、吉幾三の珠玉の名曲「オラ東京さ行ぐだぁ」の歌詞の一文、「バスは1日一度きり!」そのものである。
それ以降、我々の合言葉は「オラグラベルさ行ぐだぁ!」となったのは言うまでもない。
しかし、この津軽峠を越えたあたりから徐々にその酷道としての本当の顔が姿を現し始めるのであった。
津軽峠を越えてすぐに下り区間に入るのだが、路面が徐々にガレ始めてくるのである。
さらには、粘着質な泥を含んだマディー区間も多くなり、我々のタイヤにはその泥が蓄積されて行くのであった。
道中、極上の渓流沿いに面した区間に入り、思わずI氏が呟く
「これ、もはやコロラドだよ」
その渓流の風景を目の当たりにして出た率直な感想である。
まさに、その辺でグリズリーがトラウトを狩っていてもおかしくはないロケーションなのであった。
その風景から、東北のコロラドと名付けられたのは言うまでもない。
そして、それ以降我々の合言葉は「オラ、コロラドさ行ぐだぁ!」に変わったのである。
宮城県加美町が東北のオレゴンならば、青森県白神ラインは東北のコロラドか。
途中、分岐点らしき物があり案内板が設置されていたのだが、案内板を見る限り白神ラインの正規ルートとされるを進むと確実に日没までには戻って来れなさそうな予感が漂っていた。
時間も途中遊び過ぎたため、押し気味であった。
距離的には6割強の辺り。
I氏の、「この分岐点を右に行っても日本海には辿り着けるはずだ!」と言う力強い言葉と共に我々は分岐点を右に進む決断をした。
この決断が後々に大きく影響してくるのであった。
分岐点を右に進むと程なくして未舗装路区間が終わりを告げる。
おそらく約30kmは未舗装路区間を走って来た我々の合言葉は、この時点で「オラ、やっぱ舗装路が好ぎだぁ!」となってのは言うまでもない。
それくらい、舗装路の偉大さを噛み締めるライドとなった。
極上の渓流区間を抜けて里に出ると、そこには長閑な田園風景が待っていた。
向かうは日本海!
この時、我々の合言葉は「オラ、日本海さ行ぐだぁ!」となったのは言うまでもない。
田園地帯を9km程走ると、そこには日本海が広がっていた。
なんとリサーチ不足ではあったが、かの有名な秋田犬の「わさお」が住んでいた地域である事が判明した。
海沿いの食堂に立ち寄り遅い昼食を取る。
もはやここで何か食べなければこの先一切の補給が出来ない為、エネルギー切れは必至なのである。
なるべくカロリーの高い物を食べ帰りのエネルギーを補充する。
ボリューミーなカツカレーを食し、戻りのルートへ備える。
この時点で時間は14時前。
予定よりも1時間押しくらい。
まずは、分岐点の案内板までの登りルートである。
途中までは舗装路であるが、後半は未舗装路の上り区間。
しかもそこそこなガレ具合。
ダンシングすると後輪がスリップする為、まさに苦行の様なヒルクライムとなるのである。
これがこの白神ライン行って来いライドのキツい点なのである。
もはや補給で得たエネルギーを使い果たしたのでは無いかと思うくらい必死の登坂で分岐点にたどり着く。
ここから目指すは、99%が未舗装路区間である津軽峠である。
走っていて思ったのは、予想外に車の往来が多い事だ。
流石に国道(酷道)だけあって、車はそこそこ走っているのであった。
これに関しては、吉幾三の「オラ東京さ行ぐだぁ!」の歌詞、「クルマもそれほど走すってねぇ!」は当てはまらない様だ。
I氏曰く、この車の通行量が熊に対する牽制となっているのだろうと言うのだ。
まさに自動熊避けとでも言うべきか。
そんな事を考えながら、淡々とガレたグラベルの登りをこなして行くのであった。
そして、いつしか我々の合言葉は「オラ、津軽峠さ越えるだぁ!」に変わっていた。
そして必死の酷道クライムをこなして、遂には津軽峠のピークまで辿り着いた。
時刻は16時半くらいか。
日も東に傾いていた。
もうすぐ日没。
最後の補給食を食べてエネルギーを補給すると、あとは津軽峠を下るのみ。
ここからは、なにかアドレナリンの様なものが全開となったのか、奇声にも近い声を上げてグラベルの下りをダウンヒルして行くのであった。
9月末の青森の山中は流石に肌寒い。
もはやテンションのみで押し通すしか方法がなかったのであろう。
しかし、その下り区間はこれまでの苦行のような登りを一切忘れさせてくれるご褒美区間となったのは言うまでもない。
そして、我々の合言葉は「オラ、やっぱ下りが好ぎだぁ!」となったのも言うまでもない。
17時半過ぎに無事にゴールであるANMONに到着した。
帰りの道中に町営の温泉で汗を流し魂の洗濯をした。
こうして、我々の「オラ、グラベルさ行ぐだぁ!ツアー2020」が幕を下ろしたのであった。
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