外資系証券マンになろう!
『オープンワーク』調べによる23年就活生による注目企業ランキングを見るとなんと 東大生のランキングの3分の1がコンサルティング会社でほとんどが外資系コンサル 。コンサル人気は早慶でも見られるようだ。
日本のエリート予備軍は長い期間働く気なんてないね 笑
驚くことに外資系証券は東大生の中にある ゴールドマン1社だけ。
あれ?外資系証券って少し前と飛ぶ鳥を落とす勢いではなかった?丸の内OL飲み会したい会社ランキングだけだった?
もともと即戦力が必要、人の入れ替えが激しいので新卒を大量採用して研修を全員に等しく行うよりも少数精鋭が基本的な考えなので仕方ないこと。それでも社内の未来のため、新陳代謝のためにも新卒採用は重要。
僕の時代にそんな選択肢はほぼなかったから、今の大学生は羨ましい。
そこで今回はどうすれば晴れて外資系証券マンになれるかについて書こうと思う。
なんといっても3年前まで某外資系証券でシニアな立場にいたわけだから、もちろん採用活動にも絡んでいた。
もし将来この業界に就職もしくは転職を考えている方、お子様に外資系証券で働いてほしいと考えている読者の方がいたら是非参考にして欲しい。
という僕自身は思いっきりドメスティック証券会社からキャリアをスタートしたこと自己紹介で書いた通り 笑
■日本での就活?海外からの就活?
まず新卒入社だけど、 正直非常に狭い門 。
外資系証券ってまだギリギリ
流行りだし、聞こえも良い。
給料だってとてつもなく高いイメージが先行しているし(実際に入社1年目ではとてつもなく高い、今だと1000万円に限りなく近づいている)、芸能人と結婚する相手としてワイドショーを賑わすこともある
とにかく記念受験も含めて志願者が多い、というか倍率が高い。
そこを勝ち抜くだけでも一苦労
コア志願者は外資系企業を狙ってバキバキに準備してきた学生が多いから難易度は相当に高い。
基本プロセスは以下の通り国内と海外の採用試験を同時に行う。
日系大学新卒 :多分最難関。僕がいた会社は一応外資系.comや外資就活ドットコムなどに募集を出していた。そこで応募を募り就職説明会、筆記試験からの書類選考。筆記試験は英語と一般教養。筆記試験は及第点とれれば問題ないので書類選考のほうが重要。
それから面接になるけど面接は大体3段階。
英語面接もあり語学がしょぼいとかなり厳しい。
基本東京、京都、一橋や早慶中心にピックアップするが、最近は幾分大学の範囲は広げる傾向。例えば上智やICUの候補者が面接まで残ると評価が上がってくるのは英語コミュニケーション能力が高いのが理由だった。
あと履歴書に気になる経験がある学生はいつも話題になってたな。例えば体育会で主将をやっていただとかすでに会社を起業しているだとか何かのコミュニティでリーダーシップを発揮している等のストーリーは面接官が面接で突っ込み易いし話が盛り上がる可能性が高い。学生も得意分野で面接が進められるから上手く行く可能性が高い。
僕の時代ならVBAでマクロを書けますとか、ピアノ弾く様にkey touchできるのでスピード誰にも負けません、また最後に採用した方は漁業やってて船のれて英語話せる頭キレのあるナイスガイで印象深い。
今ならPython書けます、コーディング出来ますが具体的な実証例を合わせて話ができたりすればかなり良いと思う。
意外に学生時代投資サークルでいくら儲けたとかはNG、だってそんな職務にすぐつけるかわからないし、つけたとしてもやり方違うし、個人で努力した勉強したと言われても、そうですか、凄いですねで終わってしまうし、何人か見て来たけれど今はハマらないと思う。
ただ付け焼刃の内容はすぐにばれるので要注意。候補者のアタマも良いがこっちも悪くない。
海外大学新卒 :志願者の大多数がここに属する。ボストンキャリアフォーラム等に出向いてめぼしい学生を青田買いする、もしくは履歴書ベースにオンライン面接。面接は3回くらい。
https://careerforum.net/ja/event/bos/ (ボストンキャリアフォーラム)
ボストンキャリアフォーラムへの出張がコスト削減でなくなってからは応募された候補者のレジュメから良さそうな候補者をピックアップ。その際のポイントは
GPA4以上
バイリンガル (この場合英語以外にどの言葉が話せるかがポイント)
であることや
大学時代勉強以外で力を入れていること
等がピックアップされるための要素。
まああまり他の就職活動プロセスと変わらない。でも基本IVY Leaugueが好き
国内新卒と逆で日本語での面接もあり日本語力がないと厳しくなる。外資系証券とはいえ日本で働くとなるとやはり最低限の日本語力は必要だ。
しかし非常に高い潜在的能力や個性のある候補者は香港採用の道も探る点はやはり外資系。もちろん日本で修行してロンドンやNYに転勤という道もある。この点では日本採用よりも有利なのかな?
上記の面接を通った国内外の学生が東京で行われる最終説明会でついに集合。
■ 東京での最終説明会
ここでは各部門のヘッドクラス社員による部門の説明や小グループディスカッションが行われる。実はそのディスカッションにオブザーバーとして参加している中堅&若手社員も含めて社員がそれぞれ各学生のスコアリングをする。
主に学生が希望している部門の基礎知識の有無、グループディスカッションでの立ち振る舞い、社員への話し方や態度など様々な角度から採点される。どちらかというと定性評価が重視されている。
以前ある学生(某米国大学女性)が圧倒的なリーダーシップや知識を披露し高評価だったが、ある社員の“立ち話での態度が悪い”という一言で落とされたことがあった。
馴れ馴れしかったらしい
圧倒的な評価がされている候補者以外は、 最大公約数的定性評価値が高い学生がセレクション される傾向が高かった。簡単に言うと 『自己アピールを複数言語で上手く出来る“いいやつ”』 、これがポイント。特にマーケット部門はそういう人間が好まれた。IBDだと頭が良い気合い入ってるやつかな?
もちろんこの段階まで来ると基本的に成績の良い優秀な学生が残っているから後はキャラクター勝負となる。
ここで選ばれると懇親会と呼ばれるディナーに招待され晴れてインターンの権利が獲得 できることになる。ここまで来るのは大体8-10倍の倍率だろうか?書類選考から考えると天文学的数字。
それでも米系外資大手証券に比べれば欧州系証券はまだ低いかもしれないが、まだインターンの権利であって、内定ではない。
■インターン
採用活動でのインターンシップ(以降インターン)は既に日本企業でも一般的になっているから特に目新しいトピックではないけれど、とにかく外資系証券のインターンはより実践的だし重要性が高い。(会社によって違います)
そもそもインターンに参加する学生に対して 交通費を出したり(もちろん海外の学生には往復の航空券)、インターン期間中の宿泊費支給は当然のこと(会社に近くの高級サービスアパートメント)、まだ学生なのにとんでもなく高い時給が支払われたり(年収でいうと700万円くらい!) とにかく将来の幹部社員(この時点ではまだチャンスがあるだけ)への投資が半端ない。それだけ採用に真剣だということの表れである。
インターン期間は5-6週間、これは他社より長いかもしれない
各部門のヘッドがここまでの採用プロセスで気になる学生をある程度絞り込み、学生の希望部署と照らし合わせ、相思相愛であればその部署でインターンをスタート。そうでなければ他部署でスタートし途中でローテーションするという流れ。
OJTで若手社員がメンターになり学生にその部署の仕事を、雑用等を通して教育する。ここまではどこにでもあるインターンだが、2週間位たつと恒例のイベントが始まる。
それは社員の前でのプレゼンテーションである。
A社の場合は、週3日3人ずつ最大1分で株式に関するテーマを各自選んで自由なスタイルでプレゼンする。
例えば
ソフトバンクグループ株は買い推奨(アナリストの推奨にそった)
高速取引について
など。
さらにインターン最終段階には各自最大3分で 最終プレゼン が待っている。このプレゼンの成否は最終的な採用結果に大きく影響を与えるので非常に重要だった。
プレゼンにはオーディエンスである社員は外人と日本人が混ざっており、学生は何語でプレゼンするのか?そもそも株式知識が少ない中テーマを選ばないといけないのにプレゼンの後社員から容赦ない質問攻撃が始まるし、それが日本語であったり英語であったり。しどろもどろになる学生もいた。また日中のOJTとは別にプレゼンの準備をしないといけないし準備時間も必要だ。
完全にブラック状態
ただこのプレゼンは学生のポテンシャルや期間中の成長を見られるとても良いプログラムだった。
基本的に 海外学生はプレゼン能力が既に高い 。多分学校の授業にプレゼン能力を鍛えるプログラムが採用されていたからだろう。これは非常に有利だ。
別に外資系証券に限らずこの能力は今の社会で生き抜くためになくてはならない。石ころをダイヤモンドだと誇張して言うことが重要だとは思わないが、伝えたいことを明確に相手に伝えさらに好感を持たれる能力は重要である。残念ながら一般的に日本の学生はこの部分では若干劣後していたと思う。
ただ考え方を変えると、日本の学生はより急激な成長カーブを見せることができる訳だから全く悪い話でもない。最初は上手くプレゼンできなくてもコーチングを受けて上手くなっていく 上昇カーブを見せられれば最終的に完璧でなくても成長した証、ポテンシャル は見せられる。一方海外の学生は最初から上手く行っていたら伸びしろを他で見せる必要があり別の要素で勝負する必要がある。
社員はこの成長カーブを見逃さないようにそれぞれのプレゼンをスコアリングする。それはプレゼンが上手い下手だけでなく、内容、構成や質疑応答の総合評価。
ある学生は自信のある日本語でプレゼンを続け、途中の回に英語でプレゼンにチャレンジしたり、その逆も然り。OJTで学んでいない分野のテーマにチャレンジしたり。
こういう細かい努力が社員はみんな大好きだ。
最終面接が終わると幹部社員のスコアリング、各部署の人員構成などを鑑みて内定者を決めることになる。
ここから先は社員サイドは本当に辛い作業。
真剣なインターンプロセスであればあるほど各学生の努力も知っているし、会社に対する情熱も十分に伝わっており、毎年あまり気分よくこの作業を進められなかった。当然合否の発表はある期間僕がしなくてはならなかったからなおさらだ。
合格しなかった学生には特に本人の強みについてできるだけ話すようにして他社で優秀な人材になれるように最後のコーチングをした。幸いなことに入社できなかったが他社で頑張っている話を聞くこともたびたびあり良かったと思ったことが何度かあった。
最初に
日本のエリート予備軍は長い期間働く気なんてないね
と書いたが、それが悪いことでは全くない。キャリアの積み重ねは会社を変えることで可能ではある。
ただ 外資系証券には若いうちはできるだけ長く在籍して欲しい 。頑張っている姿を見せれば会社はとにかくその社員に投資してくれる。3年ごとに部署を変わるだとかジョブローテーションが頻繁にあるわけではないので、みっちりキャリアの基盤を作ることができる。そうすることで外資系証券に属すること、した経験のメリットをマキシマイズできるような輝かしい未来やチャンスが巡ってくる。転職はそのあとでも遅くない。
50歳を超えている僕が振り返ると外資系証券に長くいたメリットは人生の第4コーナーに差し掛かった今大きなアドバンテージとして表れていると思う。