人生で初めての刺繍は悪戦苦闘の連続だったし超ヘタクソだけど超かわいい
あるミュージカルを見た。
生バンド。生歌。高揚。そして余韻。
主人公の目玉が飛び出ている。
タイトルロゴはかわいい。
「刺繍ワッペンを作らなくては。」
唐突に確信した。
刺繍など、したことも、いつかしたいと思ったこともない。
天啓と呼ぶには小規模すぎる。
わたし「刺繍針とふつうの針と何が違うの」
母「穴がでかい」
わたし「へぇ~」
このレベルだった。
■狙った場所に針を出すのはムズい
刺繍系ユーチューバーの手際は鮮やかだ。
見るとやるでは大違いって言葉もある。本当にそう。
布の裏側から針を刺す。
狙った場所とは数センチ離れたところから針の先端が顔を出す。
一旦ひっこめて、再び刺す。
先ほどより少し近づいた。
再度微調整。
まだ数ミリズレている。
ヌワー。
オモテから刺すのはとても簡単だ。
線に沿って刺すのみ。
できた刺繍は、どういうわけかガタガタしている。
ヌワー。
■蛍光色の糸マジでしんどい
パンフレットではCMYKの呪いによりくすみカラーになってしまったロゴだが、ホームページのバキバキのRGBカラーが本来だろうと考え、蛍光グリーンの刺繍糸を注文した。
ポリエステル100%
一般の刺繍糸は綿100%
化繊の糸はとんでもなく扱いづらい。
初心者には過酷だ。ただし発色は最高に良い。
■初心者が色んなことをやりたがる
舞台作品への愛が強すぎたがゆえのやつです。
目玉を飛び出させたい。これは最初から決めていた。
どうやって?
目玉の作り方は?
仕様が不明のままのスタート。
結果として最高の出来になったので良かったよね。
超かわいいよね。
細かい試作と失敗はたくさんしたよね。
■基礎から始めなかったのが良かった
簡単なテキストからコツコツ修行した方が、おそらく作品の仕上がりは良かっただろう。だけれどわたしは、練習で嫌になって挫折する性格なのだった。
いきなり本番。
技術はないけど、これが作りたい!という熱量だけで突き進んだ。
舞台作品への愛が強すぎたがゆえのやつです。
刺繍という、まるっきり新しいことをやったのはなんか良くて、なんというか、ゼロからスタートして試行錯誤しながら、ジャンジャンバリバリ成長しているのを感じた。
大人になるとあまり出会わなくなる感覚でもある。
■ゼロからなんかやるのはメンタルにめちゃくちゃ良い(諸説ある)
子どもの頃は、ちまちま何か作ったり、
時間を忘れて絵を描いたりが好きだったはずなのに、
大人になりおばさんになるにつれ、
億劫やめんどうが先に立つようになってた。
純粋に楽しむことを忘れていた。
刺繍はヘタクソで当たり前と思えたのが良かったと思う。
見栄などなく、気持ちはリラックスして、糸と格闘していた。
「まるっきり初めてのこと」をやるのってすごくキモチイイよ。
おしまい。