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サクッとかじれるショートショート

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自作のショートショート小説集。コメディ寄りです。
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2023年11月の記事一覧

10秒で倒す | ショートショート

「10秒で全員倒す」 「ふはは、この10人は精鋭だぞ?10秒後に倒れているのはお前の方ではないか?」 「1」 「一撃でやられないようにせいぜい気をつけ…どこに消えた?!」 「2」 「に、逃げたのか?!いや、どこかに隠れて不意打ちを狙っているはずだ。気をつけろ!」 「3!」 「さ、三人が一度にやられただと?!」 「4!!」 「集合して防御を固めろ!このままでは一人ずつやられていくぞ!」 「5…」 「5人倒されてしまったが、どうやらその技はかなり体に負荷がか

戦国時代の自動操縦(ショートショート)

戦国時代。 戦のために近くの村の働き手の男たちが兵として徴用され、残された村には女性と子供、老人しかいなくなってしまうということがよくありました。 その村も近くで大きな戦があり、男たちは兵として徴用されてしまいました。 戦は激しく、徴用された者のほとんどが帰ってきませんでした。 村には田畑はあっても耕せる者がおらず、このままでは年貢を納めるどころか残った村人が冬を超える分の食料すら確保することができません。 もう別の村に引っ越すしかないかと諦めかけていたある日、高齢の陰

親切な暗殺(ショートショート)

ガシャンッ!! ガラスが割れた音がしたと思ったら首根っこを掴まれて床に引き倒され、背中に誰かが覆いかぶさってきた。 次の瞬間、耳をつんざくような爆発音が起こり、熱風が襲いかかる。 何者かによって執務室に爆弾が投げ込まれたらしい。 今も背中で守ってくれている者がいなければ、気づく間もなく吹き飛んでいただろう。 私を狙ったのであろうこの爆破はT国によるものと思われる。 軍の参謀を担っている私を暗殺することで戦争を短期決着させる目論見だったのだろう。 「このまま死んだ方がこ

ごはん杖(ショートショート)

「ごはんが食べたい…」 遭難してかれこれ2日経った。 4日間かけてのソロ縦走登山。 その1日目に崖を滑り落ちて荷物を失い、足もくじいて動けなくなってしまった。 手元にあるのは水の入ったペットボトル、圏外のスマホとトレッキング用の杖のみ。 空腹で意識が朦朧としてきた中、ふとスマホを見るとメールが届いていた。 今はまた圏外になっているが、一時的に電波がつながったらしい。 メールは自宅で待つ娘からで「ご飯が食べられない状況になったら杖の持ち手を開けてみてね♪」とある。 こち

忍者ラブレター(ショートショート)

「昨日ラブレター届けに行ったんでしょ?どうだった?」 「う~ん、ダメだったわ…。」 仕事帰りにカフェで話す二人の女性。 「試験でやったとおり潜入して机に手紙を置いてみたんだけど、部屋に戻ってきた彼が手紙を見つけた途端に震え上がって読まずに捨てられちゃったわ。」 「急に自分の机の上にラブレターが現れたらそうなるわね。」 「本当にこんな方法が結婚につながるのかしら…」 二人はこの3ヶ月間一緒に受講した婚活セミナーを振り返る。 「幸せは闘って手に入れろ」というアグレッ