好きなものを作ればいいという無責任
「そもそもなんでこんなゲームジャンルを選んだんですか?だってそうでしょう?いくらこういった作品を作ったところで企業は誰もあなたのことを評価しませんよ?なぜこれでいいと思ったんですか?」
これは先日訪問した専門学校で講演を実施した後に行った作品講評会で実際に学生さんが作ったゲーム作品を見て(あまりにもズレていて酷かったので)思わず私自身が口にしてしまった言葉です。
学生さんからはこんな答えが返ってきました。
「先生からは“君が好きなものを作ればいい”と言われたんですけど」
それを聞いて思わず教室の端にいた先生をギラッと睨んで「なんて無責任な」とこれまた言葉にしてしまいました。
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この時にその学生さんたちが作っていたゲーム作品は2Dベースのテキストアドベンチャーとシューティングゲームだったのです。
ハッキリと言いますが、この手の作品をいくら作ったところで(先ほども言いましたが)どのゲーム企業だって評価はしてくれませんよ。
無駄です。
いくら頑張って作ったところで徒労に終わってしまいます。
なぜならば、というか、冷静に現在のゲーム市場におけるゲームソフト売上ランキングを見てみてくださいよ。
それが日本国内市場であれ世界市場であれ明白です。
ほとんどのランクインタイトルは3Dアクションゲームなんです。
ゲーム市場をそれだけ3Dアクションゲームが席巻しているということは、それだけ市場があるということです。
現在のゲーム市場は3Dアクションゲームで出来ているんです。
だったら、これから勉強して近い将来ゲーム企業に応募して採用されるためにやるべき行動は、しっかりと3Dアクションゲームを作成することが出来る能力を示すことなんです。
明白なんですよ。
それを、便利な言葉で誤魔化すから残酷なことになっているんです。
「君がいいと思うことをやりなさい、好きなことを伸ばしたらいい」
非常に聞こえの良い言葉ですが、その実態は実に無責任で残酷な言葉なんですよ、これ。
私はなにも考えることも無く疑問も抱かずに私の前の前で目をキラキラさせながら「どうですか?私の作品の出来は?」と言ってくる学生さんがあまりにも不憫で泣きそうになりました。
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「自分が好きなことをやってその結果駄目だったんなら仕方が無いし納得できるし諦めもつきますよね、やるだけやったんだから」
まるで学校側の指導担当者がそう言っているように思えて、その会が終わった後はなかなかのブチ切れモードで教員の胸倉を掴む勢いで超絶説教しておきました。
「そんな無責任な教育しか出来ないんならやめちまえ!」
もちろん学生さんがいない場所でやりましたが。
もう怒りが頂点を通り越してなんか悲しくて虚しくて本当に悔しくて苦しかったです。
この『週刊少年松山洋』というブログ連載は業界人だけでなく結構な数の学校関係者の方々も見られているということを知っているので、あえてハッキリと言葉にしておきますが。
聞こえのいい言葉で生徒を見殺しにするのはやめてください。
つか、それはただの手抜きというだけでなくそれを遥かに凌駕する自分の保身に走った邪悪であり害悪ですよ。
教育者として教壇に立つ資格なんかありませんよ。
今すぐに辞めて他の仕事を探した方がいい。
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正直このまま具体的な学校名まで晒したい衝動にかられますが、ぶっちゃけこういったことをやっている学校はひとつやふたつではありません。
これまでにも幾度となく見てきたことです。
(その都度ブチきれてきましたがさすがにもう限界なのでこの場を借りてハッキリと言わせていただきました)
一応、全国にある現在の専門学校や大学の名誉の為に言っておきますが、なにも全部がこんな学校ってわけじゃないですからね。
むしろほとんどの学校がちゃんとしています。(当たり前)
ただ一部の学校においていまだこういった姿勢というか態度でズルく生徒と接しているクソ人間がいるということです。
だから私は今でも定期的に年間100回ほどの学校講演を繰り返し実施しています。
最近はオンラインだけでなく直接訪問して対面で講演を実施する機会も増えてきました。
たぶん(というか絶対に)これからも全国の学校を訪問して可能な限り少しでも業界志望者の合格率が上がるように努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。
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ここまでは業界を目指す学生さんや学校側に向けた話をしてきましたが、ここからはプロの視点の話をしておこうと思います。
プロの視点というか「では実際にプロの現場ではどうなの?好きなものを作っているんじゃないの?どうなの?」という意味の話です。
ゲーム業界のは様々な会社で活躍するプロゲームクリエイターやフリーのゲームクリエイターが存在していて、それらの有名人の多くがいろんなインタビューなどの記事で実に奔放な発言をされていると思います。
おかげで「実際どうなの?」という部分がある意味で見えにくくなってしまっているとも思いますので、勝手ながら私が代弁する形でここでハッキリと言葉にしておきますね。
好きなものを作ればいいという無責任
-プロの場合-
まず最初にハッキリと宣言しておきますね。
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