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情報は出した人間に一番集まる
「松山さん、というかサイバーコネクトツー全体?ってなんかいつも色々と情報発信しているイメージがあるんですけど、まぁ実際の話たくさん情報発信されてますよね?インタビュー記事とかSNSを中心とした会社自体のニュースというか常に何かしらのトピックを会社全体で発信しているじゃないですか?それってどういう戦略なんですか?だって他のゲーム開発会社と比較しても異常に多いと思うんですよ?どういう考えでそれを実践されてるのか聞かせてもらっていいですか?」
こんな質問をいただきました。
これはたまたま交流会でお会いした役者(声優)さんから話しかけられてその場でふと聞かれた感じの質問でした。
“あ、ウチが色々やってるのを普段から見てくれてるんですね、嬉しいです、ありがとうございます”
素直にそう答えつつお礼を言ってちょっとだけそのまま雑談しました。
確かにサイバーコネクトツーはゲーム開発会社として考えると異常なほど情報発信をしている会社だと思います。
公式ツイッターやSNSでの情報発信というだけでなく、学校講演や専門学校の制作展へのクリエイターの参加や登壇もやっていますし、その最たるものがCEDEC(ゲーム業界の技術勉強会)だと思いますし勿論毎年数十人規模で福岡&東京のスタッフが参加して登壇したり受講したりしています。
定期的に週刊ファミ通でもニュース記事や新しい取り組みなども含めて掲載していただいてますし、他ゲームメディアでも同様です。
あとは私自身が声高らかに日々色んな情報や思っていること感じていることも含めてツイートしたり情報発信しています。(私個人のアカウントでだいたい毎月のツイッターのインプレッションは400万くらいです)
冒頭の質問に正式にお答えしておくと
“はい、完全に明確な意思と信念をもって会社全体で情報発信しています”
ということになります。
理由はズバリ!
“情報は出した人間にこそ一番多く集まるからです”
そもそもゲーム業界はもともと閉鎖的な業界です。これは機密情報を数多く扱っているということと各社の(開発者の)引き抜き防止策がエスカレートしていった結果だと私は感じています。
その結果今でも会社によってはスタッフに名刺すら与えていないメーカーも存在しますし、ルールとして社員のSNSを禁止しているところもあります。
弊社はもちろん逆です。
入社時に必ず名刺は全員に支給しますし、SNSも積極的にやって情報発信をするように促しています。
(スタッフのそれぞれのツイッターアカウントには“サイバーコネクトツー所属”ということがわかるようにプロフィール欄やアカウント名に記載させています。“どうせやるなら会社の看板くらい背負ってやれよ、こそこそすんな、みっともない”って伝えています)
毎週の朝礼の最後に『今日のプレゼンター』という1分間のスピーチをスタッフに持ち回りでやらせているのも同じ理由です。
“スタッフ一人ずつがいざという時に表に出て立ってキチンと人前で話せるようになってもらうためです”
(もちろん本来そういった人前に立って話すのが苦手な人間が多く集まる業界であることはわかっていますし、みんなやはり得意では無くて毎週ドキドキしながら“自分に順番が回って来ませんように”なんて思っているスタッフがいることも知っています。が、“だからこそ”とも思ってこの20年くらい実施している社内施策です。もちろん人には向き不向きが必ずありますので無理強いして表に立たせるようなことはしませんが、会社全体の姿勢として“そうであれ”というメッセージと、ある意味の向き不向きを同時に判断する場でもあります)
話を戻しますが。
クリエイターって生き物はやっぱり負けず嫌いなんです。
“与えられっぱなしでは黙ってられない生き物なのです”
「ふーん、サイバーさんってそんな取り組みやってんすね、へー、けどウチだって負けてないですよ?実は社内でこんなこともやってるんですよ」
こんな感じである種の挑発に乗せられたかのように絡んでこられる会社さんだっていらっしゃいます。(もちろんこれも狙い通り)
結局はそういう性格なんですよ、クリエイターって。
けど誰かに挑発でもされないと動かないのもクリエイターなんです。
だから、ウチはもう割り切って“最初の一歩はウチが踏み出そう、それが絶対にベストだし一番カッコいいから”という考えで異常なまでの情報発信を行うという社風があるのです。
だいたい宣伝&広報スタッフだけで8名もいるゲーム開発会社なんて他に無いと思います。
これからも全社一丸となって情報発信や交流会なども含めてより積極的に活動をしていきますよ。
だって、現に。
“情報は出した人間にこそ一番多く集まっているんだから”
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さてここからの後半戦は『とはいえ何も弊害が出ないわけでは無いですよ?』という同時に生まれるリスクの話をしておこうと思います。
『呪術廻戦』には“術式の開示”という概念があって、自分の能力を相手に開示・宣言することで制約を生み出して術式そのものの威力を向上させるという考え方があります。
『HUNTER×HUNTER』における“制約と誓約”に近いかもしれません。
何でも無条件・無傷で行動できるほど甘くはありません。
大きい力には必ずリスクが伴うように。
“行き過ぎた情報発信のリスクとは何か?”
それを紹介しておこうと思います。
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情報発信における領域展開のリスク
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