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0804(01)

花火が上がるよ。もうすぐ。
河川敷に向って、たくさんの人が歩いている。屋台が並び、浴衣が躍る。辺りはだんだんと帳を下ろしていく。日が沈み、月が昇れば、爆音とともに夜空に打ちあがる。毎年毎年変わらないこの景色。毎年毎年変わらず同じ花火を見られる退屈がどれだけ特別なことか、理解するときはいつも『今更』だ。部屋まで聞こえる音だけ聞いていようと思ったけど、この先花火を見るたび君のことを思い出すだろうから、今日は思い出にちょっと反抗してみる。

今日は、別の子と花火を見るよ。



ちょっと罪悪感がある僕にとっては、水面に映る花火の方が綺麗だね。ぼんやりとした輝きぐらいがちょうどいい。曖昧な光の境界が、なんとなくの美しさを見せてくるが、打ちあがる音は僕の足元から頭まで一発一発はっきりと突き抜けてゆく。身体が揺れる。心が揺れる。瞳の裏が濡れてきちゃうよ。思ったよりも胸の奥がぐるぐる回る。もっと純粋に、酒でも飲みながら純粋に花火を楽しめたら、どれだけいいだろう、なんて、橋の柵にもたれかかりながら思う。

花火から始まる恋なんて、もうまっぴらだからね。



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