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記事一覧
【薄い本】タイムカプセル
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『10年後のぼくへ
ぼくは今、11才です。10年後のぼくに質問です。
今、何をしていますか?ちゃんとプロのサッカー選手になっていますか?小野といな本といっしょにグラウンドに立っていますか?
まあ仮にだめだったとしても、サラリーマンになって会社につとめていることでしょう。
たぶんしょうやとずっと遊んでいると思うけど、20才を越えているなら、2人でお酒とか飲んでいますか?
【薄い本】バレンタインイベント
ふたりでぺろりとスパゲッティを平らげる。
冷蔵庫に残っていた辛子明太子を使った、たらこクリームスパゲッティ。こいつ、ひょっとしてあたしより料理のスキル高いんじゃないか。ちょっぴり悔しさを覚えながら食器をキッチンへ運んだ。
料理を作ってもらった分、洗い物はあたしの仕事。ササっと済ませ、冷蔵庫からチョコレートを取り出す。彼はというと、こたつに入って携帯のゲームをしている。彼の目の前に、どんっとチョコ
【#同じテーマで小説を書こう】Das Spiegelzimmer
Das Spiegelzimmer(ダス・シュピーゲルツィマー)
『鏡の部屋』
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目が覚めると、鏡の部屋にいた。
前後左右、天井も床も全て鏡。
右を向くと、俺と目が合う。ずっと遠くまで、向かい合う俺と俺が無限に続いている。見渡す限り俺がいる。俺が腕をあげると、俺が一斉に手をあげる。
素足でひたひたと、目の前の鏡に歩きだす。鏡越しにそっと自分に触れる。冷たい。ずっと右向きに横たわっていたの
メイド・ハンド・メイド
整った顔立ち
可愛らしいメイド服
『これからよろしくお願いします!ご主人様!』
ある日突然やってきたメイドは、私の足元でハツラツとした笑顔を私に向けた。
・・・
は?私の世話?メイド?え、小さ・・・ていうかなんなのこの生物は?
見た目は人間そのものだが、とにかく小さく、頭から足まで15cm程度しかない。
『あなたは誰?なぜ私のところに来たの?』
『私はハンド・メイド。ご主人様のお世話
【薄い本】Rote Stöckelschuhe (後編)
Ein Mensch nicht von einem Wolkenkratzer herunterspringen, ohne sich zu verletzen oder zu Tode zu kommen.
※こちらは【後編】になります。必ず【前編】からお読みください。
・・・
飛べない。飛べない。飛べ、ない。
何故?あれだけ待ち望んだ瞬間だ。何故飛べない。
飛ぼうとした。しかし、ど
【薄い本】Rote Stöckelschuhe (前編)
Rote Stöckelschuhe(ローテ・シュテッケルシューエ)
『赤いハイヒール』
・・・
冷たい風が頬を撫でる。いつもはうっとうしい夜風も、今日ばかりは私に味方しているようだ。
ここはとあるビルの上。見知らぬ誰かの残業の明りが私をほんのり照らしている。身なりをきちんと整え、深く深呼吸をする。
今日は25歳の誕生日。私は今、人生において大きな一歩を踏み出そうとしている。大きな、大きな、最
【薄い本】Eine kleine Nachtmusik
Eine kleine Nachtmusik (アイネ・クライネ・ナハトムジーク)
『小さな夜の歌』
・・・
『セミってさ、昼しか鳴かないらしいよ。夜はどこかで寝てるのかなぁ。』
彼女が急にそんなことを言い出した。既に夜の帳は下りている。夜風で揺れるカーテンの間から、気だるげなネオンが見え隠れする。彼女の服を脱がせ、ブラジャーのホックに指を掛けたところだった。
『なんで急にセミが出てくんだ
【薄い本】Schadenfreude
Schadenfreude (シャーデンフロイデ)
『人の不幸は蜜の味』
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カーテンの隙間から見えるのは太陽ではなく、どこまでも続く曇り空。鈍い光が、隣の女を照らしている。
隣にいるのが彼女だったら、気持ちも空も晴れたかもしれない。だがそんな純粋な心など、とうの昔に学校のロッカーに置いてきた。
『ねえ、飲み物。なんか無いの。』
いつの間に目覚めたのか、女がのそのそと動き出す。顔は美人