見出し画像

きっかけ

個人事業を始めて6年

6年前には想像もしなかった
数百名のお客さんに謝罪し
事業を全て停止した。

申し訳ない気持ちと
想いが溢れる仕事をやめる
感じたことのない辛さとで
しばらく毎日引きずった。

久しぶりに
ランニングをする気持ちになれたのは
2ヶ月経ってからだった。

梅雨の合間の晴れた日。
川沿いの長く伸びる一本道
広い川を贅沢に見れる景色に癒されながら
心地よく走った。

心拍と呼吸が速くなり
生きているのを実感する。
雨上がりで澄んだ空気が鼻腔を往復するのが清々しい。

「これくらいでいいかな」
とスピードを落とし始めたとき

昔、フルマラソンを走ったときの情景が浮かんだ

...

低体温症の人が多発するほど
寒さに厳しい雨も降る日だった

ゴールまでまだ半分にも及ばないところで膝が痛くなり、歩き始めた

寒すぎて早くゴールしたいけど
脚がいうこと聞かない
手も冷たすぎて感覚がない
後ろから走ってくる人にどんどん抜かれていく

ただひたすら前を向いてゴールに向かって歩くしかなかった

自分との戦いか..
そう思いながら一歩一歩
びっこを引きながら進んでいると

「大丈夫かー?!もうひと息だぞー!」
後ろから走ってきたおっちゃんが
両手でグーしながら微笑み
颯爽と走っていった

当時20歳くらいでへばっていた私に比べて
おっちゃんは60代くらいに見えたが
マラソンに慣れたような足取りだった

見知らぬ人から急に声をかけられ驚いた私は
一瞬目を合わせただけで全く反応しきれなかった

励ましてくれたんだ
と気づいたのはおっちゃんが去って数秒後だった

ほぼ無視したような状態だろう
そのあと口角が上がったけれど
おっちゃんはすぐ去ったし
寒すぎて引き攣りニコリとするのも数秒かかった

でも心が温まるのはすぐにわかった

お礼を言いたいと思ったときにはもう
おっちゃんは遠く見えなくなった

おっちゃんみたいな人は1人じゃなかった

「がんばろうね!」
と優しく背中を触れ声をかけてくれたお姉さんもいた

給水所では
地元のおばちゃんが
目元が垂れた優しい笑顔で
「がんばってるね、もう少しよ!」と
声をかけてくれた

普段はそんな声出さなそうな風貌の奥様も
「あともう少しでゴールよ!いけいけー!」
とメガホンを叩きながら応援してくれた

もう歩くのも辛いのに
応援のたびに足が軽くなった

もはや運動会という勢いで
はちまきを巻いた小学生たちが
「フレー!フレー!」と
扇子を振りかざし
大声で応援する真横を通るときには
なぜか走れた

ミニスカで黄色いポンポンをフリフリする
高校のチアダンス部は
20人くらい列になって
ランナーたちに手を差し出し
笑顔でハイタッチしてくれた
そのあとも痛みが軽くなった

スタート付近では
多くの視線と
声援を浴びるのが恥ずかしく
早く過ぎ去りたい思いだったけど

きつくなってきたときには
逆にそれを求めていた

中盤を超えたとき
一人で寒い中、雨の中、
山と雑木林と一本道しか見えない田舎道
道端に誰もいない
応援の声も聞こえない
周りを走る人も全くいない
本当にしんどかった

とんでもなく重い脚
膝の痛みなのか寒さの痛みなのか
膝から下はほとんど感覚がなくて
よくわからない
とにかく重い

よりによって最後の最後で究極の坂道
もう走ってゴールなんて

絶対無理!!

と思ったのに

終盤の応援にも
本当にパワーをもらい
走ってゴールテープを切れた

...

ふとそんな10年以上も前の情景が蘇った


「応援ってものすごい力だな〜」
夕方の暖かい日差しが長い影を作り
川沿いをゆっくり歩き始めた

そういえば
よく世間は人生をマラソンに例える

調子のいいときは足取りが軽く
よろしくないときは足取りが重い

急に雨が降ったり
トラブルに遭って
足を止めなきゃいけないときもある

近くの人が転んだら足を止めて逆走したり
伴走するときは相手のペースに合わせたり..

心身の健康、仕事、家族、介護、出産、転居、天災、人間関係、、

人生のさまざまなシーンで
誰でもペースが落ちたり
ストップする時期がある

そんなときに
隣で肩を支え、励まし、応援してくれる存在があるとどうだろう

一度立ち止まると
一歩踏み出すのに大きなエネルギーがいる

でも
ほんのわずかな応援を感じるだけで
そのエネルギーを半分以下に抑えられるかもしれない

...

あれ?

そんなものを作っていきたい

そんな存在を生み出していきたい..!!!!

...

長く伸びた影を横目に
川沿いをふたたび走り始めた

そうだ!これだ!!

さっきよりもスピードアップして
息も鼓動もどんどん上がっていく
思いっきり川沿いを走り抜け
浮かんだ言葉を忘れぬよう
猛スピードでメモした

体を喜ばすアクションのきっかけになる場所
日々励まし、応援しながら伴走する存在


これを形にしよう!!

今まで運動習慣のアシストをしてきて
最大の難関に感じていたのは
【続けること】だった

ほそぼそと続けられるよう
合言葉という名のPointを用いて
日常の動きがトレーニングになることを
伝えてみたり

価値観や意識、知識が変わると
自然と続くのではないかと
運動の価値、面白さを伝えてみたり

模索してきた

20代はとにかく必死だった
机上のエビデンスにもこだわりは大きかった

30代になり
出産を経て
初めてたるむとはこういうことか!と経験し
子育てで自分の時間が作りにくいこと
人のお世話を毎日するというのは
こんなにもエネルギーが要るのかということ

心身の介助が必要な方と生活している人
妊娠について悩んでいる人
その他想像のつかない範囲でも
日々生きるのが辛い人がたくさんいること

約30年経験して
よりリアルな実態がわかるようになった

長い人生でストップしたり
うまくいかないことは必ずある

だからこそそばで励ましたり
エールを送る存在は
これからの人生
とても意味を成すと思う


この日の決心から
新しい形に向かって黙々と準備をしています


10月にオープンします

一生使える体へ

内容の詳細やお試し方法はSNSでまたお知らせします。

今回は決心に至ったきっかけを忘れないよう記したく綴りました。

そして誰かのアクションのきっかけにもなればと応援をこめて..

パーソナルトレーニング、凛、姿勢動作分析講座をご活用いただいた皆様、ご迷惑おかけして申し訳ありません..

10月からの再開、再び同じことにならぬよう、バランス調整をしながら進んで参ります。


ご覧いただきありがとうございます!

今日も身体を喜ばせていきましょう♪

Hiromi

いいなと思ったら応援しよう!

一生使える体へ|Hiromi@理学療法士
「一生使える体へ」をコンセプトに今後も情報発信、活動に努めます。本や勉強、イベント会場費用など活動のために使わせていただきます。サポートしていただけるととても嬉しいです。ありがとうございます。