ルーンクエスト用背景設定:ジャーストの子ら氏族
来年に計画しているルーンクエスト・セッションないしキャンペーンの背景設定を書きつけていきます。
“黒熊”ジャーストの子ら氏族(”Black Bear”Jarstorings)は嵐と川と深く結びついており、彼らの始祖である”黒熊”ジャーストの遺産を体現している。ジャーストは、厳格で妥協を許さないオーランスのルーン王であった。ジャーストの伝説によると、彼はエンギジ支流沿いの荒野へと旅立ち、そこで川の精霊たちと名誉ある契約を結び、自らの民を守り繁栄をもたらしたという。
ジャーストの子ら氏族の個性の主たる特徴:
建国伝説:
大熊の力を備えた強力なルーン王であったジャーストは、荒々しく未開の土地に勇敢に立ち向かい、嵐の猛威と川の流れの間で均衡を保った。
交渉と腕力を駆使して、彼は地元の川の精霊(エンギジの子孫または親族)の支持を得て、彼らと熊と川の同盟を結んだ。
この同盟により、川は生命と豊饒をもたらし、氏族は神聖な水を混沌や汚染から守る。
文化的特徴:
ジャーストの子ら氏族は、オーランスの威光と川の恵みに対する忠誠心で知られる。黒熊をシンボルとして肌に刻む勇敢な戦士であり、土地の賢明な管理者でもあった。
彼らはエンギジの末裔たる川の精霊たちを神聖な協力者として崇め、しばしば彼らを儀式や季節の祝祭に参加させた。
一族は交渉と誓約を非常に重視し、それは彼らの創始者が永続的な絆を築く能力を反映している。
儀式の慣習:
彼らの最も神聖な儀式は、ジャーストが川の精霊と交わした契約を再現するもので、嵐と水の結束を象徴する。
エンギジの支流の精霊への供物は、工芸品、高級食品、または儀式的な流血(通常は家畜から)であることが多い。
ジャーストの遺産:
ジャーストは、オーランスの雷と風を操り、氏族の地位を確かなものにした聡明で勇敢な指導者として記憶されている。
彼の誓約遵守と同盟締結能力は、ジャーストの子ら族のリーダーシップの理想と見なされている。
ジャーストの子ら氏族の領地は、こうした二面性を反映しており、なだらかな丘、森林、肥沃な大地が神聖な川によって潤されている。ただし、彼らの領土の沼地や荒野は、彼らの創始者が遠ざけようと誓った混沌を今も絶えず思い起こさせるのである。
オーステッド - 名誉の館/Oathstead
エンギジ支流ソルフィント川沿いに建設された氏族の中心地。氏族の館とその周りに設けられた集落のどちらも指す。以下は前者の館の記述である。
シンボリズム:
オーステッドは、誓約が交わされ、強化され、記憶される神聖な空間を象徴する。これは、ジャーストが川の精霊との契約に忠実であり、混沌から土地を守るという誓いを守るという彼の決意を表している。
また、オーステッドという名前は、氏族の者たちが互いに誓いを守り、先祖の理想に献身するという名誉を体現している。
デザインと特徴:
オーステッドの宴の広間は壮大で、宴会、儀式、集会の開催を目的として設計されており、何世代にもわたって一族が誓った神聖な誓約を称えることに重点が置かれている。
壁には彫刻されたシンボルとして嵐のルーン文字、黒い大熊、川の精霊、稲妻が飾られ、高い暖炉は常に燃え続け、ジャーストリングの誓約の永遠の炎を表している。
木製の像として黒い大熊と川の精霊が目立つように置かれており、それぞれの像は誓約のシンボルを握っている。
黒い大熊は森と守護と川の精霊は流れる水と清浄をそれぞれ象徴している。
儀式と意義:
毎年、嵐の季節になると、氏族はオーステッドに集まり、オーランスと大熊、そして川の精霊への神聖な誓いを新たにする。この儀式は、オーランスのルーン王(=族長)が司り、祈願、生け贄、誓約の儀式を含む。
また、この広間は、他の氏族の指導者や使者との誓約を交わす会議の場としても使用され、神々の監視の下、協定や条約が締結される。
氏族のアイデンティティ:
オーステッドは単に集まる場所であるだけでなく、ジャーストの子ら氏族にとって結束の象徴であり、彼らの祖先とのつながり、開拓者の精神、そして熊と川の名のもとに交わされた誓約の永続的な力を思い起こさせる場所である。
その名称は、戦いにおいても平和においても、揺るぎない忠誠心と約束を守るという氏族の評判を強調している。
あらゆる意味で、オーステッドは英雄ジャーストの遺産を体現している。すなわち、神聖な約束、名誉、保護の場であり、一族がその土地、神々、そして先祖への誓いを新たにする場所である。
“黒熊”ジャーストの子ら氏族は、ディナコリ部族に参加している。
ディナコリ部族とジャーストの子ら氏族の近年史
1602年:ルナーによるディナコリの征服
ヘロングリーンの陥落:
サーター王国を滅ぼしたルナー帝国はディナコリ部族を征服し、ヘロングリーンを含む主要な場所の支配権を掌握した。
オーランス崇拝の禁止が施行され、帝国の兵士やスパイによって施行され、オーランスの寺院は冒涜されたり、ルナーの神々への改宗を強制されたりした。
ジャーストの子ら氏族への試練:
ジャーストの子ら氏族は、オーランス人戦士の集団であり、神聖な誓約の管理者であったため、ルナーへの抵抗運動に参加した。
彼らは、川の精霊との契約を守らなければならないため、その儀式をルナーから隠さなければならなかった。
氏族の中には、後にサーター自由軍やカリル・スターブロウなどのオーランス人反乱グループに参加する者もいた。
氏族の生活への影響:
ルナーの課税と土地収用により、ディナコリ部族の農業と貿易経済は混乱した。
オーランス信仰禁令により、氏族は精神的に弱体化し、オーランスや大熊ではなく、アーナールダや川の精霊への信仰に頼らざるを得なくなった。あるいは、隠された寺院での非合法な崇拝を続けることになった。
1613年:カリル・スターブロウの乱
部族内の粛清:
ケルドン部族の女王カリルがコリマー、クルブレア等の大部族を糾合して反帝国蜂起。ジャーストの子ら氏族の一部は反乱軍に参加した。
ディナコリ部族はルナーの討伐軍に協力し、反対する人びとは投獄、追放された。
1622年:風の停止
オーランスとアーナールダの死:
南方ヴォルサクシの都市ホワイトウォールの陥落により、風と大地の魔術が停止する。「大いなる冬」による死者多数。
1623年:反撃の狼煙
凍土の戦い:
ルナー帝国軍の敗北。「大いなる冬」終わる。
追放されていた伝統派の人びとが部族に戻り始める。
1625年:ルナー支配の崩壊(現在)
ボールドホームの惨事:
1625年、真のドラゴンがボールドホームのルナー軍を壊滅させたことにより、ルナー現地政府は壊滅的な打撃を受ける。
ルナーの占領崩壊により、ディナコリ部族の土地に権力の空白が生じ、混沌が生じるとともに、地元の氏族が再び独立を主張するチャンスが発生する。
オーランス崇拝の復活:
ジャーストの子ら氏族やその他のディナコリ参加氏族において伝統的なオーランス崇拝が復活する。
ジャーストの子ら氏族の神凪であるオーヴァルドは、オーランスとエンギジに対して土地を祝福しルナーの汚染を浄化するよう祈願し、復活の儀式を主導する。
氏族は古い寺院を修復し、儀式のサイクルを再構築し、川の精霊との神聖な契約を再確立する。
部族復興におけるジャーストの子らの役割
伝統の守護者
占領下において、ジャーストの子らはヒーロークエストや神話といった神聖な知識をルナーから秘匿して守った。
1625年以降、彼らは伝統的な精神的指導者として台頭し、ディナコリ部族の民が自分たちのアイデンティティを取り戻し、オーランスと再びつながるよう導く。
抵抗と報復:
氏族の一部は、ゲリラ戦でルナーと戦ったか、カリル・スターブロウの反乱に加わったことがある。
また、他の者は、自らの技能を駆使してルナーの支配を弱体化させつつ、自らの民を守るために、スパイや使節として行動したことがある。
儀式の再生:
ジャーストの子ら氏族は、ルナーの腐敗から土地を浄化するヒーロークエストを行い、大熊の神話と川の精霊に呼びかけて、神聖な水のバランスを回復させる。
この神事には、ルナー族がもたらした混沌を追放し、ジャーストの子らとエンギジの支流との間の協定を再確認することが含まれるだろう。
ルナー占領後の時代における課題
混沌の汚染:
ルナー帝国の占領は、土地、河川、沼地に混沌の汚染を残した可能性があり、継続的な浄化努力が必要である。
ジャーストの子ら氏族はエンギジ支流の守護者として、この精神的・物理的な危険に立ち向かわなければならない。おそらくはオーランスが混沌と戦う神話を呼び起こすことになるだろう。
政治的分裂:
ルナーの支配の崩壊により、ディナコリ部族の支配権を争う氏族間の緊張が高まる。
ジャーストの子ら氏族は、名誉と契約に対する彼らの評判を用いて、団結を再構築するために強力な部族内同盟を推進するだろう。
信仰の回復:
寺院の再建と信仰の復興は、占領中に新しい信仰を採用したルナー支持派からの抵抗に直面する可能性がある。
ディナコリ部族でオーランスの信仰が再び盛んになるよう、交渉と腕力が必要となるだろう。
外部からの脅威:
ルナーが残した権力の空白は、東方の荒野から混沌カルト、山賊、獣人を招き入れ、ディナコリ部族の復興を危険にさらす可能性がある。
ジャーストの子ら氏族の戦闘およびヒーロークエストにおける技能は、この不確実な時代における頼りになるだろう。
黒熊氏族の重要人物
族長 “嵐の盾の”ヴェンハール/Venharl Stormshield(オーランス、オデイラ)
神巫 “白き巻毛の”オーヴァルド/Orvald Whitebraid(オーランス、エンギジ)
癒し手 “緑の花弁の”ソラスタ/Sorasta Greenbloom(チャラーナ・アローイ)
法の司 “鉄の羽根の”ブロニル/Bronil Ironquill(ランカー・マイ)
女祭 “雨の司”エランダ/ Erlanda Rainkeeper (アーナールダ、ヘラー)
近侍長 “黒き斧の”オルトッシ/Ortossi Blackaxe(オーランス)
(つづく)