ヴァンパイア:ザ・マスカレード『ニューオリンズ・クロニクル』(2)ケイティフ・コネクション
"公子"アントニオより、麻薬ミッドナイトの追跡調査を命じられた血盟。マルディ・グラの翌晩、目覚めた彼らは人間を装う生活をしつつ、指示をこなすことに。
シーン1:刑事の接触
治安の悪い地区で夜間警備員を務めているムスタファ。出勤先に突然、熱血警官マッシュとともにニューオリンズ市警のジェームズ・パターソン刑事がやってくる。
昨晩の騒動を起こしたケイティフのケイレブは、売春宿で三名の娼婦を惨殺した容疑で警察に追われているというのだ。フレンチ・クォーターでケイレブを連行したことから、ムスタファは路上で尋問を受けることになってしまう。
警察に目をつけられるのは、マスカレードの掟を危機にさらすことになる。にわかに警戒を強める血盟。
シーン2:狂乱と悪霊
一方、ロジェは昨晩、ケイレブをかくまった自分所有のマンションに車で向かっていた。ところが、現地にはパトカーが何台も集まっており、野次馬が群れている状況。なんでも、棟内で男が暴れており、けが人も出ているとのこと。事実、何かが壊れる音がマンション内から響いている。
ロジェの連絡で駆けつけたムスタファが、身を隠すパワーを駆使してマンションに潜入。ぐしゃぐしゃに壊された廊下で、不気味な緑色の燐光を放ちながら暴虐の限りをつくすケイレブと遭遇する。
明らかに狂乱しているケイレブの剛力に壁まで追い詰められたムスタファは、やむなく拳銃を発砲。その後ひるんで逃げだそうとしたケイレブを打ち倒して休眠に追い込んだものの、すぐさま退避しなければ警察の突入は必至の状況に。
ケイレブをかついで非常階段から出ようとしたムスタファは、すでに死骸同然のはずのケイレブから異様な声を聞く。それは、ケイレブに取り憑いていた女の怨霊だった。悪霊は、力を失ったケイレブの身体から出ると、ムスタファを威嚇しながら霧のように消え去った。
一方、建物外で様子をうかがっていたロジェは、野次馬の中に、叛徒に与する女吸血鬼、ミニストリー(セト人)のマノンの姿を発見する。彼女は見物に来たというが、明らかにケイレブの暴走を見に来ている。彼女の真意を確かめる暇もないまま、ムスタファとロジェは休眠したケイレブをロジェの高級車に押し込んで、少し離れたところにあるモーテルまで脱出した。
シーン3:セント・ロホ地区
アイザックは、ミッドナイトにハマった息子を案じる老母から話を聞くと、ハリケーンで破壊されて以来、非常に危険なエリアになっているダウンタウン隣の地区セント・ロホに向かった。ケイレブに疑いがかかっている事件について調べようとしたのが、その地区には「イエロー・キング」という名のカルト・ギャングが居着いており、アイザックの前に立ちふさがる。
カルトの幹部として現れたのは、マノンの子であるアザーカ。ミニストリーの縄張りに立ち入らないよう警告する彼女だがしかし、不思議にも協力的で、アイザックに麻薬ミッドナイトが犠牲者に悪霊を憑かせる力があることをひそかに伝えるのだった。
シーン4:モーテルの密談
マンションで負傷したムスタファが血を補充するために狩りに出ている間、場末のモーテルで休眠したケイレブと二人で残されたロジェは、持ち前の不可視のものを見通すパワーを用いて、奇行ばかりのこのケイティフを調査。すると驚くべきことが判明した。ケイレブの身体には霊的な穴があいており、そこに超自然的な存在、たとえば霊魂などが容易に入り込めるようになっていたのである。おそらくこれがミッドナイトを摂取した悪影響なのだろう。状況を危険と感じたロジェは、ケイレブの死せる心臓に杭を打ち込んだ。
時はまもなく夜明け近く。眠っている人間たちの家に入り込んで血をすすったムスタファが戻ると、今後のケイレブの処遇について血盟は相談。とにもかくにも、ここに置いておくわけにはいかない。ひとまずは、アイザックの教団が所有する地下駐車場に隠すことに。ケイレブの杭を打たれた死骸は、ロジェの高級車のトランクに入れて運ぶことになったが、怒りをたぎらせたムスタファの乱暴な扱いのせいで車は半壊。周りの目をも引いてしまう。さきほど、マンションの部屋も壊されたロジェは散々である。
シーン5:公子と魔術師
翌晩、血盟は再びカビルドの広間でアントニオに謁見することになった。今度は“公子”のそばに控えているのは、トレメールのニューオリンズ祭儀所を仕切る強力な魔術師ナイジェル。アントニオの子でもある。
血盟が状況を説明する前に、ナイジェルは一昨晩あずかったミッドナイトの黒い粉末について、熱っぽく話し始める。それはやはり魔術的な素材が使われている薬物で、なかなか成分が判明しないとのこと。そこでアイザックがミニストリーと関係するヴードゥー魔術師について話すと、ナイジェルは欣喜雀躍。これで調査が進むという。
しゃべりすぎるナイジェルをたしなめながら、アントニオはケイレブの処遇について血盟に問う。一案としてアイザックは叛徒側に泳がせることで情報が得られないかと申し出たが、これは血盟の他の二人と公子自身によって却下された。結局、ケイレブはナイジェルに引き渡され、「検体」として調査対象になることに決した。
血盟は引き続きミッドナイトの流通拠点の割り出しと壊滅を進めることになる。
(つづく)
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