オタマジャクシの物語:プラックスの神話

*これはルーンクエストの背景世界グローランサを題材に、ぴろきが創作したお話です。公式設定にはありませんのでご注意ください。

遥か昔、曙がまだ訪れる前の頃、人々は恐ろしい疫病の精霊たちに苦しめられていました。その精霊たちは闇にまぎれて野営に忍び込み、熱病や衰弱、死をもたらしました。祈祷師たちは悪霊と戦う術を持っていましたが、封じ込めに苦戦していました。

ある日、若く謙虚な祈祷師であった"長鼻の"タドリクは、解決策を求めて精霊界へ旅立ちました。彼は治癒の精霊たちに助けを懇願しました。しかし、病の精霊たちの力は強く、彼の呼びかけはなかなか届きませんでした。

疲れ果てたタドリクは、母なる河の女神ゾーラ・フェルの涙が満たされた聖なる池のほとりに座り込みました。水面を見つめると、浅瀬を泳ぐ小さな生き物、オタマジャクシたちが目に入りました。彼らは休むことなく動き回り、藻を食べ、水を浄化していました。タドリクはひらめきました。

彼は目を閉じると、再び精霊界へ入り、今度はオタマジャクシの精霊を探しました。その精霊たちは、小さく、控えめでしたが、強い意志と生命の力を持っていました。オタマジャクシの精霊たちはタドリクにこう告げました。

「私たちはゾーラ・フェルの子供たち。命をたたえる水から生まれました。私たちは小さな存在ですが、心は勇敢で、浄化し変化をもたらすために絶え間なく働いています。もし私たちを生命のサイクルの一部として敬ってくれるなら、あなたを助けましょう。」

タドリクは彼らの祝福を受けると、現し世に戻りました。そして聖なる池から生きたオタマジャクシを集め、水の入った鉢に入れました。彼はオタマジャクシにささやき、病の精霊との戦いに加わってくれるよう祈りました。

病人に取り憑いていた病の精霊たちは、オタマジャクシの精霊に不意を打たれました。弱々しいと思って無視していたからです。悪霊にむらがったオタマジャクシの精霊たちは小さなあごで病気を少しずつ噛み取り、とうとう病の精霊たちは逃げ出しました。タドリクは、病人に力が戻るのを目の当たりにしてたいへん喜びました。

他の祈祷師たちもこの奇跡を目撃し、この方法を取り入れました。そしてプラックスでオタマジャクシは、病気との戦いにおける神聖な味方として崇められるようになったのです。

(了)

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