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エゴン・シーレ展

桜満開の上野公園にて、エゴン・シーレ展を見てきました。

世紀末を経て芸術の爛熟期を迎えたウィーンで活躍した画家。わずか28年という短い生涯の間に鮮烈な表現主義的作品を残し、美術の歴史に名を刻んだ。
最年少でウィーンの美術学校に入学も保守的な教育に満足できず、退学して新たな芸術集団を立ち上げる。当時の常識にとらわれない創作が社会の理解を得られずに逮捕されるなど、孤独と苦悩を抱えながら、ときに暴力的なまでの表現で人間の内面や性を生々しく描き出した。

エゴン・シーレ展公式

知識ゼロでも感じる圧倒的な才能

展示はシーレと同時代の画家の作品が14章にわたって並んでおり、知識ゼロでも彼が生きた時代の背景、何を考えたのかに思いを馳せられる秀逸な構成です。
まず心を掴まれたのは美術学校入学後に描いた「装飾的な背景の前に置かれた様式化された花」。描写力の高さに、クリムトなどから影響を受けた表現技巧が加わり、素人目に見て天才…!と思う作品。

内面に向き合い、形を与える

最も心を揺さぶられるのは、天才的な描写力とテクニックを駆使して、彼自身の内面を描いた自画像。誰もが、自分の中に感じているグロテスクな自分。それを天才が形にしてくれている。
それを多くの人が見て評価している、という事が、私小説がベストセラーになっている時に似た、安心感を与えてくれます。

美術館て不思議。

普通だったら誰にも言えないようなグロテスクな内面を描いた絵を前にして、上品そうなおばさまも、経験深そうなおじさまも、学生も、みんな普通の顔して見ている。
みんな何を思って見てるんだろう。シーレ、わかるよ、私も一緒、って思ってるのかな。

もうすぐ終了

会期は2023年4月9日まで。見れてよかった!

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