【UAMのマニアックな世界】①

はじめに

eVTOLの論文について、少しマニアックなところを紹介していきたいと思います。今は機体の開発がメインですが、離着陸場の場所の問題についても将来は重大な課題となると言われています。

今日扱うのはこの論文の一部の内容です。ミュンヘン工科大学の修士論文で、GISを使った地上インフラの場所についての研究となっています。

Dimas Numan Fadhil(2018)
「A GIS-based Analysis for Selecting Ground Infrastructure Locations for Urban Air Mobility 」

内容

前半では、地上インフラの考慮すべき要件についてまとめ、後半では、離着陸場を考える上での指標を提示した後、AHP-デルファイ法という方法を用いてこれらの指標を重み付けし、それをロサンゼルスとミュンヘンを対象にGISで分析することにより、需要があるとされる場所を推測しようと試みました。

まず、指標としては、

需要サイドとして
①人口密度
②所得の中央値
③オフィスの賃貸料金
④観光スポット
⑤空港と主要交通網
⑥年間支出交通費
⑦雇用密度
⑧長距離通勤

供給サイドとして
①既存インフラ
②既存のノイズ

制限サイドとして
①飛行禁止区域

が挙げられるということです。

これらの要素について3つのシナリオを考えて、重み付けを行った結果、需要のある場所が提示され、それを結論の一つとしてまとめています。

現在の状況において需要を予測する手法において導き出された結論は、以下のようになっています。
①主要交通結節点や国際空港
②太平洋岸沿いの高所得者が居住し、オフィスの価格が高い地域
③既存騒音が大きい地域付近の住宅地
④郊外の高所得者向け住宅地
⑤観光地

まとめ

このように、離着陸場は、初期においては需要のある場所を中心に選択されるとされ、具体的には、挙げられた5点が候補として考えることができます。

今後、この論文の残りの部分や、他のUAMの論文についても紹介していきたいと思います!

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