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大木ミノル監督最新作「妖怪剣客」レビュー
大木ミノル監督を初めて知ったのは、前作「力-TAROU」を観たときだ。
当時、大阪の劇団「シアターOM」の俳優たちが出演しているということで観に行ったのだが、低予算映画であるにも関わらず、全編VFX映画という衝撃は今も記憶に新しい。監督一人でCG処理を行っていたというのだから、もうヤバいよこの人、面白いと思ったものだ。
なんというか、いい意味でイカレている。私はそんなイカレている人間が大好きだったりする。
さて、あれから5年以上の歳月が経った。その間、大木監督とシアターOMで座頭市と柳生十兵衛が妖怪退治をするという映画を撮っているらしいという話はちょくちょく聞いてはいたが、なかなか完成しない。その間にもコロナだなんだと大阪に行くのを自粛する日々が続いていた。
そしてとうとう、その映画「妖怪剣客」が完成し、年末には試写会が行われ、漸く目にすることが出来たのだった。
内容は一言で言うなら、ザッツ・エンターテイメント! 時代劇であり、ホラーファンタジーであり、SFでもある。なんでもござれのワクワクハラハラドキドキな映画が完成していたのだ。
物語は徳川第三代征夷大将軍家光公の御代。
座頭の市は旅の途中で柳生十兵衛と出会う。だが、旗本と座頭では馬が合わない。さっさと別れて旅を続ける市だったが、腹が減っては動けない。そこを通りかかった若い男女に握り飯を恵んでもらう。その二人ことそ将来を誓い合った太郎丸と沙耶だった。
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太郎丸は実家に沙耶を連れて帰るものの、兄に今のままでは使用人たちの信用もないので家業は継がせられないと言われてしまう。だが、兄に頼まれた少々厄介な使いをやり遂げれば信用は回復するだろうと、島原の天草四郎の元へと向かう。ところが、いつまで経っても帰ってこない。心配になった沙耶は、たまたま訪ねてきた市と共に島原へと向かう。
一方十兵衛は自宅にて天草四郎の霊体を目の当たりにする。その直後、服部半蔵が家光の密命を十兵衛に告げる。それは、鬼が出るという村に向かい、鬼を退治してこいというものであった。
座頭と十兵衛、それぞれが別の理由で旅に出たはずが、何の因果か再会し、喧嘩しながら鬼退治。そんな中、沙耶が天草四郎にさらわれ、彼女を救うために二人は島原へ――。
まあ、なんというか出てくる出てくる妖怪がうじゃうじゃと出てくる。つか、鬼というより吸血鬼よな。かとおもったら、どでかい妖怪も出てくるわ、めちゃめちゃ強いヘビ女は出てくるわ、天草四郎なんて体術強過ぎやろっ。
おっと、これ以上はネタバレになるからやめておくか。とにかく面白い! この手のVFX映画としては低予算なのだが、それにしたって見ごたえあるし、映画ってのはエンターテイメントなんだって、これでもかってくらいに主張してくれちゃっている。さすが大木監督だわ。映画が本当に好きな人が作った映画と言える。
演じている役者さん達も素晴らしい。座頭市役は稲森誠さん。大阪のシアターOMという劇団で舞台版うしおととらでとら役を演じた大ベテランの役者さんだ。舞台でも座頭市を演じており、彼の演じる市はとてもユーモラスで人情味がある。私は彼の演じる市が大好きだ。
柳生十兵衛役は上野貴彦さん。シアターOMの舞台版シャーロック・ホームズシリーズではワトソン役を演じている。ワトソンのときは二枚目半のコミカルな演技だが、今回は一応二枚目役である。だが、市との絡みになるとそのクールな演技が少し崩れてくるのか、観てる側は思わず口元が緩んでしまう。なんとも魅力的な役者さんである。
そして、ヒロイン沙耶役の羽田野裕美さん。彼女はまだ新人の頃から知っている役者さんで、成長著しい若手の一人だ。舞台版うしおととらでは白面を演じ、シャーロックホームズシリーズではアイリーン・アドラーを演じている。そんな彼女が演じる沙耶は、清らかさとしなやかな強さを併せ持つ大和撫子な女性。さて、次はどんな役を演じてくれるのか、今後も楽しみな役者さんだ。
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ところでシアターセブンでは4月28日までの上映だが、もしお近くにお住いの方がいらしたら、是非観に行ってみて欲しい。絶対に後悔はしないはずだ。5月は19(金)20(土)26(金)27(土)、7月は14(金)15(土)16(日) に新世界・日劇シネマにて上映。
そして最後に、全国で上映されるように、皆さん是非応援よろしく!!
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