U.R.第一部 脱出編 【0」Captivity(捕らわれて)
(なんて馬鹿やってんだろ、私)
プルーことプルーデンス・ガーランドは下唇を噛みながら自らの愚かさを呪った。
二本の細い腕は後ろ手に縛られ、部屋の床に転がされている。やわらかい毛織物の感触がすることから、カーペットだか絨毯だかの敷物が敷いてあることはすぐに解った。薄暗くてよく解らないが、部屋の調度からして、ここは何処かのホテルの一室であることには違いなかった。
目の前にはプロムに誘ってくれた同じ高校のジョック(学校の人気者)の若者以外に数人、軽薄そうな男達が、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべてこちらを見ていた。
「へえ、なかなかの上玉じゃね?」
「だろ? コイツ、最初は結構警戒してたんだけどさ。ちょっとコイツの欲しそうなカードを切ってやったら、コロッと気が変わってさ。ほんっと、楽勝だったぜ」
「ああ、カードって例のエサか……。まあ、ある意味嘘じゃねえしなぁ」
「間違いなく地区から出られるしな」
男達は楽しげに笑っている。だが、この状況はタペンスにとって笑えるようなものではない。
「ちょっと、これってどういうことよっ! ワケ解んないんだけどっ!」
彼女は何とか身体を起こすと、男達を睨み付けて怒鳴った。すると、プロムのパートナーだった若者がニヤニヤと笑いながら彼女の目の前に跪き、彼女の顎を乱暴に掴んで上向かせた。
「ワケ、解ってんでしょ? この状況で今更だよね」
「……チャーリー、あんたって人は……」
プルーは憎々しげに若者の名を口にした。悔しいが彼のいうことは図星だった。男達の会話の内容と自分の状況を考えれば、どういうことなのか、小学生にだって解る。ただ、現実を認めたくなかった。悪い冗談だと思いたかっただけだ。
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