第61話『兵士達』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第61話
『兵士達』
イタッチとダッチは、地下通路で出会った兵士達の地下キャンプ地点に案内された。
辿り着いたのは地下鉄内で捨てられ放置された車両。運搬用なのだろう後ろには荷物を乗せられるようになっている。
だが、襲われた後があり、使用時に奴らに襲われて車両を放置することになったのだろう。それを兵士達が拠点として使っていた。
「お待たせした」
車両の中から迷彩服を着た二足歩行のワニが降りてきた。部隊の隊長なのだろう。他の隊員とは雰囲気が違う。
「あなた方が私の部下を救ってくれたんですか。感謝を申し上げます。私はゲイターと言います。よろしく」
握手を求めてくるゲイター。しかし、イタッチ達は握手を拒む。
「俺達は助けたわけじゃない。ゲイター、取り引きをしないか?」
「取り引きですか……」
ゲイターが尋ねるとイタッチは答える。
「俺達はこの先にあるお宝が欲しい。あのネズミを追い払うために協力しないか?」
「……あれを…………」
少し考えたゲイターだが、首を振る。
「いえ、お断りさせていただきます。私達は彼らの調査に来ただけなのです。これ以上の危険は犯せません」
「そうか」
取り引きは成立せず、用がなくなったイタッチ達はキャンプ場から離れようとする。
だが、そんなイタッチをゲイターは呼び止めた。
「お手伝いすることはできませんが、こちらをどうぞ」
渡されたのは一枚の地図。この地下鉄道の経路であるが、他にもいくつかの小さな抜け道がメモされていた。
「私達の持つ地図のコピーです。私達は一度撤退するのでこちらをどうぞ」
イタッチたちは地図を受け取り、調査隊から離れた。
地図を確認して最も地下深くにある路線を向けて出発する。
機械で掘られた穴や動物が掘ったような穴が何箇所もあり、それを使いながら先へ行く。
しばらく進むと、またしても道中で止まっている車両があった。しかし、それは路線から脱線しており、車両はひっくり返っている。
そしてその車両の奥にあるものを見て、イタッチは呟く。
「もうすぐ着くな」
イタッチと言葉を聞いたダッチが、イタッチの先にあるものを見るとそこにはさっきのフンよりも新しいフンが落ちていた。
「ここからは完全に奴の巣ってわけか」
「いや、奴らだ」
ダッチは首を傾げる。
「奴ら? そういえばあの軍隊も言ってたな」
「あのネズミは複数体いる。一匹の量じゃないからな」
「あんなのが何体もいるのかよ……」
イタッチとダッチはフンを避けて、奥を目指す。
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