第3話  【村の三人の少年 其の3】

 せかへい 外伝12


 著者:pirafu doria
 作画:pirafu doria


 第3話
 【村の三人の少年 其の3】

 次はパトとエスの練習試合である。

 パトは武器や武術の技量は二人よりも多い。扱える武器の多さもあれば、それ地形に合わせた戦い方も習っている。

 技術的な面を見れば、パトは二人に圧勝できる。しかし、

「試合開始!!」

 開始と同時にエスは突っ込む。ルンバの時と同じような戦い方だ。

 エスはルンバとパトの二人よりも運動能力が高く、それに戦闘における感も優れている。

 師匠であるマティルに教えられたのは、自分を信じて突っ込め! という戦い方である。エスの感は騎士にも匹敵するほどであり、その感を活かせば、不意打ちにも対応できると教えられた。

 突っ込んでくるエスに対して、パトは槍を深く構えた。

 真正面から正直に突っ込んでくるなら、それにカウンターを合わせるのみ。しかし、ルンバのように相手を観察する力はパトにはない。
 狙うのは初段を避けてからのカウンター。

 つまりはこの攻撃に成功するかどうかがパトの勝敗になる。

 エスが間合いに入る。

 エスの突き攻撃を避けて、パトは反撃しようとするが、エスはそれを予期してきたようで躱されてしまった。


 そしてパトの攻撃は当たらず、エスの次の攻撃でパトは負けた。

「勝負アリ!」

 パトとエスは武器を置く。

「よーし、俺の勝ちだな!!」

 エスは嬉しそうにはしゃぐ。

 そんな中、ルンバがパトに教える。

「パトは臨機応変に対応できないんだよ。作戦を立てるとそのようにしか動けない。それが通用しなくてもその場に応じて行動しないと」

「うーん、それは分かってるんだけどなぁ、なかなかそれができないんだ」

 パトと二人の違いは実戦の差である。パトは父親の村長の仕事を手伝っている。そのため村の中でも問題を解決したり、事務作業を行ったりが中心だ。

 それに対して、門番として仕事をしている二人は、村に近づいたモンスターの退治も行うことがある。
 そういう点でパトにはない応用力が二人にはあるのだ。

「よし、じゃあ、次は俺とやろう!」

 ルンバは槍を持って立ち上がる。そしてパトに近づくとパトを立たせて、パトの槍に槍を持たせた。

 今のところエスが一番で勝ち越している。だが、ここで負ければ、最下位が決まってしまう。

「おう、じゃあ、早速やるか!!」


 パトは槍を受け取ると、ルンバと距離をとってください構えた。

 ルンバも後ろに少し下がって、ちょうど良い距離に行くと、槍を構えて準備を始めた。

 エスは槍を置いて地面に座ると、手を叩いた。

「開始!!」


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