第120話『クレスを救え』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第120話
『クレスを救え』
クレスが透明になっていたタコに捕まり、イタッチはレオーネを捕らえた状態で動きを止める。
「おっと、動くなよ……。怪盗、お前の実力は未来の図書館で研究済みだ。なかなかの実力者のようだが、人質を取られちゃ、動けないだろう」
不気味な笑顔を浮かべるタコ。クレスは必死に暴れるが、触手が絡みついて、抜け出すことができない。
「助けて!! イタッチさん!!」
「待ってろ、今行く!!」
イタッチはクレスの元に駆け寄ろうとするが、倒れたレオーネがイタッチの足を掴んで阻止する。
「行かせるか、怪盗……」
「良くやった、レオーネ!!」
レオーネの抵抗にタコは賞賛の言葉を与えると、指先で頭上をなぞり、クレスが現れた時にあった穴を開いた。
「怪盗……。また会うことになれば、その時は我々が世界を征服する時だ。楽しみに待っているんだな!!」
タコはクレスを連れて穴の中に入り、姿を消した。
レオーネは二人を見送ると、イタッチの足を離して解放した。
「……ふふふ、怪盗……。これで俺達の夢が達成される……」
「何が目的なんだ」
「俺達は世界を作り変える。そのためにこの時代に来たんだ。そしてクレスを使い、歴史の改変を行う」
「何を変えるつもりだ」
「世界を混乱に陥れる。そのための未来の兵器を世に解き放つのさ。まず手始めに兵器が攻め込むのは、日本の東京。そしてそこから世界を侵略するのだ」
レオーネは寝っ転がった状態で、口を地面に向ける。
「俺の役目はここまでだ。このままここ一帯を巻き込み爆発する。時空の修正で俺のやったことはなくなるが、一瞬でもお前を倒せるならそれで満足だ!!」
「なにっ!?」
レオーネは地面にビームを放ち、爆発を起こす。その影響でレオーネ達を中心に、半径1メートル以上の距離が爆発に巻き込まれる。
大爆発の余波は周囲の建物を粉々に破壊し、あたり一面を砂と変えてしまった。その爆発をまともに喰らえば、イタッチの身体でさえ、無事で済むはずはなく……。
残された無線から、アンの呼びかけが響く。
「…………イタッチさん、イタッチさん!! 無事なんですか!? イタッチさん、返事してください!! イタッチさん!!!!」
ビル街の中で円形の砂漠が出来上がる。そこに残っているものは何一つなく。ただ一面を覆う砂景色が映る。
時空のホールを通り、クレスはタコと共にある施設を歩かされていた。
「クレス、お前が我々にとってどれだけ重要な存在か。自分で気づいているのか?」
二人の足音が施設内に響き渡る。自動で開閉される扉が開き、その先には……。