第64話『怪盗達の日常』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第64話
『怪盗達の日常』
「イタッチさん、例のもの届きましたか?」
アパートの部屋でちゃぶ台にパソコンを置き、操作をしているアンがイタチに尋ねる。
「いや、まだだな。そんなに楽しみなのか?」
「はい! 新型のパーツですからね。このパソコンに組み込めば今までの倍のスピードでハッキングできます」
イタチは下手に首を突っ込むことはせず、そのまま家事を進める。
しばらく時間が経ち、昼すぎ頃。
「アン、届いたぞ」
宅配が届き、イタチは荷物の入った箱をアンに渡した。
「やっとですね!!」
アンは箱を開けて中から小さなパーツを取り出した。
「これが新しいパーツか?」
「はい! 処理速度を早くして、ソフトを複数処理できるんです。そうすることで複数のシステムに入り込み、操れるんです」
話を聞いていたイタチは話半分に聞き、適当に納得する。
「ま、下手にやりすぎるなよ」
イタチはアンに留守番を頼み、夜ご飯に買い出しに行く。
川辺を歩いていると、釣りをしている老人がいた。
「マンティさん。調子はどうですか?」
話しかけると老人はイタチの方に顔を向ける。老人はカマキリの爺さんであり、鎌を器用に使い釣り竿に握っていた。
「……全然」
「そうですか。これから寒くなりますから、暗くなったら帰ったほうがいいですよ」
イタチは老人と別れ、橋を渡ると川の向こう側にあるスーパーで買い物をした。
帰りに爆破された喫茶店の修復具合を確認して、順調に進んでいるのを見ると、作業している人にスーパーで買った差し入れを渡し、それから帰った。
アパートに着き、扉を開けようとしていると隣の部屋の扉が開かれる。
「ん、イタッチか」
「ダッチ。これから出かけるのか?」
「ああ、四神の幹部会だ。ま、報告会みたいなものだがな」
「気をつけろよ」
「ふ、じゃあな」
ダッチを見送り、イタチは部屋に入る。
「お帰りなさい」
部屋ではパソコンのパーツをつけ終えたアンが試しに使ってみていた。
部屋中に道具やパーツが散らばっている。
イタチは道具などを踏まないように部屋の奥へ入り、冷蔵庫に買ってきたものをしまう。
「これからご飯作るから。完成するまでに片付けろよ」
「はーい」
イタチがご飯を作り終えると、部屋は綺麗に片付いていた。
アンは完成した料理を運ぶのを手伝う。
「今日のご飯は何ですか?」
「生姜焼きだ」
「おー、美味しそうです!!」
ご飯を食べ終え、イタチは新しくなったパソコンを借りてみる。
「本当に早くなってるな」
「はい。……それで何を調べてるんですか?」
「次に狙うお宝だ。なかなか面白そうなお宝を見つけたからな」