第86話『パインの森』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第86話
『パインの森』
「ダッチ!!」
「ああ、分かってる!!!!」
イタッチとダッチは、お互いの背中を預け合いながら、周囲を見渡す。
「イタッチ……。奴らはなんなのだ」
「お宝を守る。番人ってとこじゃないか? 来るぞ!!」
イタッチとダッチ。パインの森にあると言われるパイナップルビーを探して森に侵入していた。
お宝のある遺跡を目指して歩いていると、森の中から槍が飛んできて何者かに、二人は囲まれたのだった。
敵の攻撃を察知したイタッチは、折り紙の剣で槍を持って襲ってくる人物の攻撃を防ぐ。
「こいつは。猿か!!」
それは武器を持った猿。猿は槍を防がれると素早くイタッチから距離を取り森の中に姿を隠す。
これでは攻撃を防げても反撃することができない。
「この森から出ていけ〜」
さっきの猿の仲間だろう。森のどこからか、声が聞こえてくる。
「嫌だね。俺達はお宝を探しを手に入れに来たんだ」
「お宝……そうか。ならば尚更、通すわけにはいかない!!」
さっきの猿が姿を現し、それと同時にイタッチ達を囲むようにその仲間も現れる。
木材や石を加工して作った武器を持っており、どこかの部族といった衣装だ。
「我が家族達よ。このよそ者を追い出せ!!」
一斉に武器を持った集団が襲いかかる。数は十人程度、イタッチとダッチは剣や刀で応戦を始めた。
確かに強い相手だ。戦い慣れているし、土地の有利もある。
しかし、
「なんて……強さ、だ…………」
イタッチとダッチは無傷でその集団を制圧した。
ダッチは先ほどの猿に近づくと、見下ろすように睨みつける。
「宝のありかはどこだ」
「……言えない。消して行ってはいかんのだ」
「俺達は怪盗だ。そう言われても盗みに行くぜ」
倒れた猿は辛そうにしながらも、ダッチに手を伸ばすと、ダッチの片足を掴んだ。
「絶対に行くな。あそこは危険なんだ」
「危険?」
ダッチが足を払おうとすると、イタッチが止める。
「何か事情がありそうだな」
そしてイタッチは倒れた猿に手を伸ばして座らせた。
「おい、イタッチ!!」
「単純に盗まれるのが嫌だって感じじゃない。何か事情がある。トラップがあるかもしれないしな、話は聞いておいたほうがいいだろう」
イタッチは折り紙を折ると傷薬を作り、それを猿に塗る。すると、猿が感じていた痛みがスッと引いていく。
「今、何を!?」
「怪盗の技さ。さぁ、何があるのか教えてくれ」
イタッチは余った傷薬を猿の目の前に出す。
「教えてくれれば、そこに倒れてるお仲間を助けてやるよ」
その様子を見て、ダッチはやれやれと首を振った。