第19話 【メタルハート 19話 居合い】
メタルハート 19
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第19話
【メタルハート 19話 居合い】
ロウはダードゥと戦っていた。それも互角に張り合っていたのだ。
ダードゥの最初の攻撃を喰らうまではロウは自分であると認識している。
杖の仕込み刀による居合いの攻撃を喰らった後、ロウは倒れた。
あの攻撃は確かにやばかった。死んでいてもおかしくない。いや、死んでいただろう攻撃だ。
しかし、すぐに痛みはなくなった。それどころか血も止まり、傷口は塞がっている。
そして何も分からない間に、ダードゥと戦っていた。なぜ、何が起きたのか。
だが、ダードゥの攻撃を避けられていたのは確かだ。居合いではないとはいえ、ダードゥの攻撃のスピードは凄まじいほど速い。
通常であれば剣の動きなど見ることができない。だが、ロウには見えていた。そしてそれを躱していた。
どうしてそんなことができたのか。何が起きていたのか。自分でも理解できていない。
しかし、ロウはその光景を思い出して、自分でもできるかもしれないと考えた。
可能性はある。それは確かに自分の身体である。ダードゥと互角に戦っていた。剣の動き見えていたし、反撃もできていた。
違うのは誰が戦っていたかだ。だが、その存在は何者かわからない。それにまわせるわけにはいかない。
すぐ側には動けなくなったアイサがいる。彼女を巻き込むわけにはいかない。ならば、ここは自分の手で決着をつける。
それも素早く。
ロウはさっきの光景を真似するように、身体の力を抜いてゆっくりとダードゥに近づいてみる。
なんとなくさっきの感覚に近づくように、見様見真似でやってみる。
それを見たダードゥも警戒する。
ゆっくりと歩き、ロウは間合いに入った。
それと同時にダードゥの剣がロウに向かってくる。
見えている。先程の光景のように剣は見える。
だが、
ロウは身体は後ろに吹き飛んだ。
ダードゥの剣は頭を掠った。ダードゥの攻撃は見えたが、さっきのように接近戦での攻防戦はできなかった。ロウの判断が一瞬遅れてしまった。
だが、それでも遅れたが体もついてきた。だから、後ろに飛んで攻撃をギリギリで避けた。
顔には斜め線に傷がついている。
そこから血が垂れてきて口の中に入り、血の味がする。
さっきのように出血が止まることはない。
だが、見えはした。あとは感覚を掴むだけ……。
ロウは再びさっきの構えの真似をする。
何度でも何度でもやってやる。これがダードゥに勝つことができる最善の手だ。
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