第65話『ブルーイン美術館』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第65話
『ブルーイン美術館』
ブルーイン美術館。
そこに赤いマントを羽織ったイタチがやってきていた。
「なかなか綺麗な夜景じゃないか」
「あなたがブルーイン美術館のオーナー、ジーラスさんですね」
キリンのオーナーの元にフクロウの警官がやっていく。
「あなたは……?」
オーナーが尋ねるとフクロウは警察手帳を取り出して自己紹介をする。
「私はフクロウと申します。今回はイタッチからの予告状が届いたとのことで」
「はい。こちらです」
オーナーがフクロウ警部に予告状を手渡す。そこには確かにイタッチの文字で予告が書かれていた。
「ミストウォールを頂きに、今夜19時に参る。怪盗イタッチ。…………こちらのミストウォールと言うのは?」
「こちらです」
オーナーに案内されてフクロウ警部は美術館の奥へと入る。中に入ると立派な美術品の並び、何も入れられていないガラスケースが並んでいた。
「これは、まだ何もないんですか?」
「それがミストウォールです」
「これが!? 何もありませんが……?」
オーナーはガラスケースの前に立つと、ポケットから小さなライトを取り出して、それでガラスケースの中を照らした。
青い光が当てられて、ガラスケースの中に四角にキューブが薄らと映った。
「これが……」
「ミストウォールは特定の放射線に反応して姿を現します。多すぎても少なすぎても、その存在を確認することはできないんです」
「こんな不思議なものがこの世に存在していたなんて……」
「はい。だからこそ、これをダークマターと言う人もいます」
オーナーは照らすのをやめると、ライトをポケットにしまった。
「フクロウ殿。警備をお願いします」
「はい!! お任せください!!」
フクロウ警部達が美術館を包囲して、イタッチの侵入を阻む。
そんな中、一人の警官が走ってきた。
「はぁはぁ、遅れました。警部」
走ってきたネコ刑事。ネコ刑事はフクロウ警部に敬礼をする。
「いや、お前には他の現場を任せてたしな。よく来てくれた」
ネコ刑事はフクロウ警部の隣に立ち、警備に当たる。しかし、もう少しで予告の時間だというのに、ネコ刑事は落ち着かない様子だ。
「どうしたんだ?」
「それが……。急いで来たので、トイレに行けてなくて……」
「中にあるから行ってこい」
フクロウ警部に許可を貰い、ネコ刑事は中に入る。
ネコ刑事が居なくなり、しばらくすると時計が鳴って予告の時間になった。
しかし、イタッチは現れない。
「どうなってるんだ。奴はまだか……」