第62話『ネズミ達』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第62話
『ネズミ達』
坂を下り、梯子を取りてイタッチとダッチは最も深い路線へ辿り着いた。
「ここはホームか……。だが、普通のホームと違うな」
地下にある駅を見たダッチが周囲を見渡す。
ダッチの疑問にイタッチが答えた。
「ここは重役人の非常非難経路だった場所だ。だから非常時に篭れるようになってる」
ホームは狭いが設備はここで生活できそうなほどのものが揃っている。
だが、ネズミが漁っているため、かなり荒れてはいる。
「……来るぞ」
ホームの探索をしていたら、路線の暗闇から多数の足音が近づいてくる。
「イタッチ、どうする? 戦うか?」
「いや、数が多い……」
大量のネズミがホームに現れる。
イタッチは折り紙を折ると、それで爆弾を作る。
イタッチは爆弾を投げると大きな音を鳴らしてネズミを怯ませた。
「今のうちだ」
イタッチとダッチはネズミがやってきた方とは反対側の路線を走る。
「イタッチ、こっちで良いのか? お宝の在処は?」
「ああ、そこで右だ」
怯んでいたネズミ達も復活してイタッチを追い始める。しかし、イタッチ達を見失い、そのまま走り抜けていった。
「言ったな」
路線の壁に空いている通路に身を隠したイタッチ達は、どうにかネズミから逃げ切った。
イタッチとダッチはそのまま狭い隙間の道を進んでいく。
しばらく進むと、一周回り元の路線の道に戻れた。
「よし、行くぞ」
イタッチとダッチは再び進み始める。しばらく進むと、円状に穴の空いたドーム状の広場にたどり着いた。
路線は途中で途切れており、ドームの反対側に続きの路線が見える。
「広いな。東京ドームくらいか」
ダッチがその広さに驚く中、イタッチはその中央にある宝石を発見した。
「見つけた。あれだ」
イタッチとダッチは穴を下り、中央に落ちているモーン石を手に入れた。
「これがお宝だな」
お宝を手に入れて戻ろうとする。しかし、そんなイタッチ達の前に何かが降ってきた。
大きくて太いそれは今までのネズミより一回り大きく、毛並みを明らかに良かった。
「ボスネズミか」
すぐに分かる。このネズミがあの集団のボスであると。
折り紙の剣を作るとイタッチは武器を構える。ダッチも同じように刀を抜いていつでも攻撃できる体制になった。
「あれは……」
元音がしてダッチが周囲を見渡すと、壁に空いた無数の穴からネズミ達が次々と顔を出す。
「観戦者ってことか……。イタッチ、良いのか?」
「ちょっかいを出してこないなら丁度良い。ボスを倒したら、ビビって逃げ出すだろうしな」