第11話 『願望の先へ』

アナザー

著者:ピラフドリア

第11話
『願望の先へ』

 ダークネスは背中から炎の鞭を作り出すと、それで三人を攻撃する。

 ウィングは空へと逃げ、イナズマは高速で移動して鞭を避ける。グラビティは重力を操作し、向かってくる鞭の動きを制御する。

 ダークネスは叫ぶ!!


「もっと強力な能力をよこせ!!」

 その声に縛られた男は体を奮わせる。

 そのあと、炎の鞭が消える。そしてダークネスの身体が大きくなる。

 今度は巨大化の能力ということか。

 だが、無数の能力を持っていても、三人のヒーローを誰一人倒すことをできない。

「どれだけ能力を自由に変えることができても、その能力を使いこなせなければ、意味はない!」

 イナズマはそう言いながら、巨大化したダークネスに近づく。
 ダークネスは巨大化した腕でイナズマを殴ろうとするが、イナズマは簡単に躱してしまう。

「なにーぃ!!」

 イナズマは回避した勢いでダークネスの背後に回り込むと、背中を連続でキックする。

 ダークネスは攻撃されて衝撃で前に倒れてしまう。

「別の能力だ!!」

 再び、ダークネスは叫ぶ。

 ダークネスの身体が小さくなると、今度はダークネスの腕が大きく膨らむ。
 そして手のひらに小さな穴が出来上がる。

「何かを発射する系だ」

 イナズマは距離を取り、二人に伝える。

 予想通り、ダークネスは三人に腕を向けると、小さな穴から何かを発射してくる。

 それは透明で液体のようだが、壁にぶつかるとその速さから壁に穴が開く。
 それほどの威力がある。

 しかし、それだけ強力な能力であっても、ヒーローたちは無傷である。

 ダークネスはその場その場で能力を変えられる。しかし、同時に複数の使うことはできないようだ。
 そのため、何度の能力を変えて、ヒーローたちに攻撃を仕掛けている。

 しかし、ダークネスの攻撃は一つもヒーローたちを追い詰めることができない。

 それは人数差もあるだろう。しかし、それ以上に経験の差が大きいのだ。

 ヒーローは突如現れるヴィランと対峙する。事前に情報を得ていることの方が少ない。

 そのため、イナズマたちは敵の能力の分析に長けている。どれだけ能力を変えようと、その能力を予測し対応すれば、彼らの方が上手となるのだ!!

 だが、ダークネスの諦めない。

「まだだー!!」

 ダークネスは諦めずに攻撃を繰り返す。だが、それでも攻撃は当たることはない。

 そしてグラビティの重力で行動が制限されたところに、ウィングが剣で斬りつけてきた。

 ダークネスはその場に倒れる。

 ウィングは死なない程度に攻撃はしたが、それでも立ち上がれないような一撃であった。

 しかし、ダークネスはまだ倒れない。


「もしかしたらあと男の願望で倒れないのかもしれない」

 ウィングがダークネスの姿を見て言う。

 その可能性は大いにある。だが、救助に向かおうとしてもダークネスが阻止してくる。

 まずはダークネスを倒すしかない。

 イナズマは二人の元に駆け寄ると、あることを提案する。

「合体技だ」

 それを聞いたウィングとグラビティは動揺する。

「合体技!? ま、まだやったことないんですよ!」

 そう、長年ヒーローをやってきたが、今まで合体技をやったことはない。
 他のヒーロー達は合体技を使うことも多く、そのため相棒として相性の良いヒーローと組んでいる場合もある。

 異能力の存在するこの世界では、合体技は多いな攻撃手段となる。

「だが、それなら奴も倒せるか」

 ウィングはそう言う。

 ダークネスの耐久性能は異常だ。おそらく、倒れないという願望が彼をここまで立ち上がらせているのだろう。
 ならば、圧倒的な力で倒せば、その願望すら打ち破ることができるのではないだろうか。

「……分かりました。やりましょう」

 グラビティもダークネスを倒す方法はこれしかないと確信したのか。納得する。

「よし、やるぞ」

 イナズマ、ウィング、グラビティの三人は横に並ぶ。

 前にはダークネスが立ちはだかる。

「行くぞ!」

 三人は手を前に突き出すと、そこにエネルギーの玉が出来上がる。

 そしてそれをダークネスに発射。

 いろんな色の混ざった玉は、ダークネスを押し倒した。

「な、なに!!」

 ダークネスはその場に倒れる。

 倒れたダークネスをウィングが拘束する。そしてそれを見ながら、イナズマが言った。

「この世界の願望は想像の力に近い。敗北をイメージさせれば、それが現実になる」

 こうしてダークネスは敗れたのであった。


【後書き】

 最終回が近づく。


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