少しの大きな違いが大きく動かす マンチェスターC VS ワトフォード
安定感抜群の首位マンチェスターC。PL第30節は8位と健闘しているワトフォードと対戦。ワトフォードはどのように首位シティに対抗していくのか?
一泡吹かすことができるのか?
スターティングラインナップ
シティはいつもの4-3-3。ワトフォードは人の並びは4-3-3もしくは4-5-1(4-1-4-1)のようなスターティングラインナップ。
シティ 組織的攻撃
前線の5人のコンビネーションでDFラインを崩す
VS
ワトフォード組織的守備
4DF+インサイドMF(左8+右16)によるマンマーク(Wシルバ)
スペースを圧縮したゾーン1撤退ディフェンス
ゲームが始まってみるとシティがボールを持つとワトフォードは撤退しZ1にブロックを築いて密度を高めて、スペースを消して待ち構える。
なんだか凄い後方の人数が多いぞ。と思ったらワトフォードのインサイドMF8&16がCBとSBの間に吸収されて6バックになっている。Wシルバをマンマークぎみでついているので、Wシルバは第3レイヤー内で高い位置でプレーするので結果的に6バックになっている。
Wシルバが第3レイヤー内でアグエロの近くにポジションを取ることでマンマークの2人がCB-SB間に入る。6バックになり、SBもウイングレーンにいるシティのスターリング&マフレズにマンマーク気味でみていく。当然中央のスペースは密度が高くなり、この状態で中を崩していくことはかなり困難ななのではないかと思う。
中を崩すことが難しいので必然的に外からの攻撃、クロスからの攻撃が多くなる。
そんな中でもシティは数少ないながらチャンスを作り出します。
マフレズのクロスからシルバのヘディング
このマフレズのクロス嫌ですよね。この場所。
この場所でボールを持つことができると攻撃側としては非常に選択肢が多くなります。自分はここをRaidzoneと名前をつけました。
DFが視野を確保することが難しく、オフェンス側は視野を確保しやすい。
ここでボールを持つことを狙えば判断を整理できるかなと思います。
時間が進むにつれてシティがワトフォードの弱点をだんだん見つけ出してきているのかなと感じました。
アグエロがクロスから迎えた決定機。
この辺からです。見えてきたのは。
共通しているのは右CB27と右SB2の間の関係が非常に弱いぞ。ということ。
この間には16が入ってDシルバを見ることによってSBは2は外を気にしてさえいれば良かった。そこにボールが入ってきても16がいればカバーされていた。ただ前半開始当初から8に比べて16の方がディフェンス時にルーズな印象があったのだが時間と共に顕著になり、16が入っていたことで2と27の関係性が薄くなっている。
前半終了間際のアグエロの二アゾーンを取ってからのシュートなんかは特に顕著。右SBはゴール側にいるアグエロを全く意識している素振りをみせていない。ここが穴かもしれない。
前半はワトフォードがスペースを密集してスペースを圧縮してゲームをコントロールしていたと言ってもいいのではないかと思う。
攻撃面では左ワイドの10へのロングパスを織り交ぜながらサイドの高い位置へシンプルに運ぶことを意識して数回だがゴールに迫りそうな場面も作り出していた。これはシティの守備時の陣形が横幅をかなりコンパクトにしてきていることを利用して素早くワイドを使って速く仕掛けていくというコンセプトがあったのではないかと考えられる。
ブロックを敷いてボールを奪った時にもウィング2枚インサイドMF2枚が一気に飛び出してカウンターを仕掛けるような姿勢を作り出していたが、技術的なミスやシティのネガティブトランジッションの対応の良さで消されていたがチームとして狙い通りとも言えるゲームを行えていたのではないか。
シティはは後半どのような変化を見せてくるのか?
興味深い。
後半
シティ組織的攻撃
いるから塞がるならいなければいい
VS
ワトフォード組織的守備
守備組織の分断
グアルディオラの解答はシンプル。いなければいい。でも余韻を残して。
この余韻を残してがポイントかなと。
D・シルバがCBとSBの間に入り込んだ状態からボールを引き出すことでワトフォード16を釣りだしている。一度いるという余韻を残すことでCBとSBの関係を希薄にしている。もしいなければお互いに距離を気にしてカバーし合っていたかもしれない。(この試合を見ている限りではしないかもな)
釣りだして空いたポケットに向かってアグエロ&スターリングはバックドアでボールとの待ち合わせ場所へ。(シルバもすぐに狙っている)
クリアミスが当たって入る形にはなったが、すぐに穴を作って突いてゴール。楽しくてしょうがないよな。これは。多分思い描いていたとおりになったのではないか。第3レイヤーから第2レイヤーに降りてくることで穴を大きくした。
弱点を大きく強調してわかりやすい状態にする。すごくシンプル。
2点目もコンパニーのところで少し引っかかるけどハーフスペースを前進して16と8を引き出してDF4人の状態を作り出している。
この3点目も狙い通りなのではないかと思う。アグエロがCB2人を引きつけ、関係性を分断し、スターリングのバックドアを引き出している。アグエロのポジショニングも絶妙だし、スターリングのバックステップで自分の方に相手の重心を引き寄せてからのバックドアも完璧。
まとめ
前半は非常に計画的にスコアレスに持ち込んだワトフォード。しかし、シティはワトフォードの構造を読み解いて弱点を見つけ出し、後半にはすぐに穴を突いて見せた。前半から少しずつ見えてきたものを読み解いていく力は本当に凄い。前半と後半のほんの少しのディテールの差、連携の取り方で相手をコントロールしてしまう。小さな差の積み重ねが大きな差となったときに違いが生まれる。小さな変化に敏感になっていかなくてはいけない。
シンプルで明確なメッセージ。それがハーフタイムに行われていたんじゃないかと考えられる。「ここをつけ」と。WHYーHOWーWHAT。きっとその理由も含めて明確に提示されているはず。
こういう変化が大きな試合のグアルディオラのハーフタイムのメッセージをを本当に聴いてみたい。
どんな言葉で、どんな間で、どんな伝え方をしているのか?