3度目の妊娠発覚!初期胎児スクリーニング+NIPT
2回目の妊娠・人工死産から10ヶ月経った頃、私たちの元へまた赤ちゃんがやってきた。
嬉しかった反面、「3度目の正直」と「2度あることは3度ある」の迷信が頭の中を交互に行ったり来たりして、とにかく不安な気持ちで妊娠生活がスタートした。
前回の妊娠時にお願いしたミッドワイフ(助産師)に今回もまたお願いすることにして、とにかくまずは妊娠初期を乗り切ることを願いながら過ごした。
つわりと薬
つわりは前回同様食べづわり。
母体も赤ちゃんも栄養を取れるので食べられないつわりよりも軽度だったとは思うけど、結構辛かった。
空腹時にはえづきが止まらなくなり、そのまま何か食べなければ胃液を吐いてしまう感じだったので、常に食べ物を食べ続けなければならなくて食べることに疲れていた。
そして体重は妊娠初期の終わりで+8キロとなり、ニュージーランドでは体重増加については日本ほど厳しくは指導されないけれど、太っている自分を鏡で見るたびに情けない気持ちになった。
元々リモートワークで働いており、上司には早々に妊娠を打ち明けて労働時間を短めにしていたけれど、めまいや倦怠感、頭痛などもあったので 1〜2時間ごとにソファに横になりながら働いていた。1日の労働時間は妊娠初期は5〜7時間くらいだったと思う。
私は常に横になって休める環境があったけれど、妊娠中にオフィスに勤務している人や立ち仕事をしている人たちは本当にすごい。
吐き気止めの薬
10週頃、休みながら仕事ができるとはいえなかなか集中もできず、あまりにも仕事に支障が出るのでミッドワイフにつわりが辛いことを話したら、吐き気止めの薬・Ondansetronを処方してくれた。
このOndansetronという薬はがん治療の抗がん剤などの副作用の吐き気を抑えるための薬らしいけれど、つわりの薬としても使われているようだ。
ただし、副作用として赤ちゃんに奇形(口蓋裂や心奇形)が現れる確率が上がるというリポートもあるようなのでどうしてもつわりがひどい場合にのみ使った方が良い薬なのかもしれない。
下記の記事を監修したドクターは、重要な器官の発達が終わる10週を待って使い始めた方がいいと言っているので、この薬を処方してもらった場合で心配な場合にはミッドワイフに相談してみるといいかも。
少し心配のある薬ではあるけど、とにかくよく効いて、薬を飲み始めた10週以降は仕事も時短にしなくてもいい日もできた。何よりもつわりがひどくて落ちていたメンタルが落ち着いたのも薬のメリットだったと思う。
ちなみにこのOndansetronの副作用としてかなり深刻な便秘となってしまったので、一度もう少しマイルドな吐き気止め(名前は忘れてしまった)を処方してもらったけれどそちらは全然効かず、結局Ondanstetronを飲むことにした。合わせて便秘によい薬も処方してもらって残りのつわり期間を乗り切った。
12週頃には飛行機に乗って2泊3日の国内旅行ができるほど身体が楽になった。
ドップラー購入
稽留流産と診断された1回目の妊娠では、赤ちゃんの心拍が止まってしまったであろう9週くらいからつわりが軽くなった。今回は薬がよく効いてるとはいえ、つわりが軽くなることにより、赤ちゃんはちゃんと生きているのだろうかという不安な気持ちも掻き立てられることとなった。
この不安を解消するために、高価なモデルではないけれど赤ちゃんの心音を自宅で確認することのできるアイテム、ドップラー(日本ではエンジェルサウンズが有名)を購入した。
このドップラーは買ってよかったものの一つで、スキャン(超音波エコー)があまり頻繁にないニュージーランドで赤ちゃんの無事を気軽に確認できるツールとして妊娠後期まで活躍してくれた。
10週前後に購入し、届くまでに3週間くらい待って13週から使い始めた。妊娠12週くらいから使うのが望ましいと商品説明には書かれており、それ以前は心音を拾うのが難しいのかもしれない。私はミッドワイフとの検診で赤ちゃんの心音を確認した翌日から自分のドップラーを使い始めたので、「これが心音かな?」といった混乱もなく使い始めることができた。
ニュージーランドドルで$77.9だった。
※下記、購入先のリンクを載せますが、医療機器ではないこと、中国からの発送なので発送のトラブルなどあり得ることなども含めて、購入は自己責任でお願いします。
First trimester スクリーニング(コンバインド検査)
妊娠が13週に差し掛かった頃、First trimester screening(別名・MSS1、コンバインド検査、オスカー検査、Antenatal screening)を受けてきた。
この検査は胎児の臓器や体のパーツ、NT(首の後ろの浮腫)をスキャンで確認し、同時に血液検査をして総合的に染色体異常の確率を割り出すものだ。
ニュージーランドでは産婦人科のような病院はなく、妊娠に問題がなければミッドワイフ(助産師)がすべてを管理してくれる。そのため、血液検査もスキャン(超音波エコー)もミッドワイフから紹介状を出してもらって別の施設に受けに行き、結果がミッドワイフに送信される仕組みだ。
コンバインド検査も血液検査はPathlabという採血をしてくれるpathology laboratory(病理学研究室)の施設、スキャンはRadiologyというレントゲンや超音波エコーをしてくれる施設にそれぞれ受けに行った。
このFirst trimester screeningは、流産となった最初の妊娠ではスキャンで赤ちゃんがすでに心拍停止して成長が止まってしまっているのを目の当たりにしたし、次の妊娠では血液検査で18トリソミーの疑いが高いと診断された、私にとってとても辛い思い出の多い検査だ。
受ける前の週から結果が出るまで精神的にとってもしんどくて、前の妊娠を思い出しては悲しみ、不安、恐怖といろんな感情がいったりきたりしていた。
結果の出方は1/xxxxというように確率で表示され、ニュージーランドでは1/300がincreased riskすなわち陽性となる。
正確性は80%前後と言われており、特に確率が高く出た場合にはかなりの割合で的中する。
前回の妊娠ではスキャンでは問題がないと診断されたものの、血液検査で1/5というかなり高い確率で18トリソミーが陽性。その後、専門医によるスキャンでは心臓に異常が発見され、確定診断である羊水検査でも陽性となった。
詳しくはこちら。
検査当日
この頃はドップラーで毎日のように赤ちゃんの心音を確認していたのでお腹の中で生きていることはわかっていたものの、スキャンで実際に赤ちゃんの姿を見るのはとても緊張した。
スキャン当日、8週の頃と比べてしっかりと成長した姿に安堵したのも束の間、放射線医と私、スキャンの中の同じものが気になっていた。
NTが3mm近くある…
NTとは赤ちゃんの首の後ろの浮腫みのことで、2mm以下なら正常と判断される。厚ければ厚いほど病気の可能性が高くなる。そしてその病気の多くは染色体異常を伴う。
スキャンを見ながら息が止まりそうだった。
またなの?
泣きそうになるのを必死に堪えながら、放射線医の言葉を待った。医師は何度も何度もNTを測り直してその平均を取ってくれた。
「測り方によっては3mmを超えるけど、2.9mmかな。NT以外は手足・臓器など問題ないし、ニュージーランドでは3.5mmを超えると一般的に問題ありとマークされるけど、このNTなら一応問題ない範囲だと思う」と。
そう言われても安心などできず、不安な気持ちのままRadiologyを後にした。
その後、Pathlabで血液検査も受け、結果は数日後。問題なければミッドワイフからテキスト(ショートメール)で、問題があれば電話がかかってくることになっていた。
検査結果
2〜3日後の朝、ミッドワイフからテキストが来た。
都合のいい時に電話したいから都合のいい時間を教えて欲しいと。
テキストを見た瞬間涙が溢れてくるのと同時に、スキャンのときの3mm近いNTが頭をよぎった。
またきっと悪い結果なんだ。またお別れしないといけないんだ...
横で様子を見ていた夫が、「とりあえず電話して結果を聞かないことには何もわからないから、電話しよう」と声をかけてくれ、まずは電話で結果を聞くことにした。
かかってきた電話で、まずどれくらい悪い結果なのかミッドワイフの声色から伺おうとしたけれど彼女はとても冷静で、
increased riskになってる項目があること
1/300で21トリソミー(ダウン症)で陽性であること
を伝えてくれた。
1/300…
これは陽性と判断される閾値でもある。1/301だったら陰性で1/300だったら陽性というボーダーラインだ。
...もしかしてそんなに悪い結果じゃないかも?
前回の1/5という確率の高さからするとだいぶ良い結果に安堵した私にミッドワイフも気づいたようで「前回よりも大分楽観的に見ていいと思う。恐らく大丈夫。」そんな感じのことを言ってくれた。
さて、そうはいってもここで陽性と診断されるとミッドワイフが病院に紹介状を書き、次のステップについては公立病院のミッドワイフやドクターが関わることになる。
ニュージーランドでは2023年からちょうど法律が変わり、コンバインド検査で陽性が出たときのフローが更新された。詳しくはこちらのページ。
1/20以上の高確率が出た場合は絨毛検査(CVS)か羊水検査(amniocentesis)が推奨されており、1/300以上1/21以下の場合には
何もしない
NIPT
絨毛検査もしくは羊水検査
以上3つの選択肢があるという。
そして、このフローを経てNIPTを受ける場合、全染色体をチェックするNIPTが無料で受けられる。自費で受けるとなると、日本同様それなりの費用がかかるのでとてもありがたい仕組みだと思う。
今回、私はNIPTを受けることにした。
NIPT
コンバインド検査もNIPTもnon-invasive な診断と言われていて陽性が出ても陰性の可能性もある検査である。
ただし、NIPTの正確率は99.3%と言われていて、ここで陽性が出て確定診断である羊水検査で陰性が出た、という例は本当に稀だ。
X(旧Twitter)では1人だけ、NIPTで陽性が出たものの羊水検査で陰性だったという方を見かけたことがある。
さて、コンバインド検査で1/300の確率で21トリソミー、ダウン症の可能性があると診断された私は、住んでいるエリアの公立病院であるワイカトホスピタルから連絡をもらいNIPTのための血液検査を受けに行ってきた。
この血液検査は病院のFetal clinic(胎児科)の看護師により行われたのだけれど、対応してくれた看護師が前の妊娠で人工死産をするときに担当してくれた看護師のうちの1人だった。
「私はあなたを覚えてるよ」というと看護師も私とカルテをまじまじと見た後、「私もよ」と言っていて、「断言はできないけど今回は大丈夫だと思う」と明るい和やかな雰囲気で雑談をしながら血液の採取をしてくれた。
サンプルはオーストラリアへ送られて数日で出るということで、陽性でも陰性でも、病院から電話で連絡が来るとのことだった。
結果が出るまで不安は多少ありつつも穏やかに過ごすことができたのは、やはり1/300という確率の低さだったからだと思う。パーセントに直すと、0.3パーセント。
検査結果
結果は3日後に出た。
相変わらずかかってきた電話の声色から結果を伺おうとするけど、彼らは結果を冷静に伝えることができるプロフェッショナルだなぁと感じる。最初の挨拶からはいい結果なのか、悪い結果なのかわからなかった。
挨拶の後、電話口の看護師が陰性であることを伝えてくれた。他の全染色体、すべて陰性であるとも。
安心して泣き出す私に「本当に良かったねぇ」と声をかけてくれて、通話は終了した。
結果の詳細レポートも念のため送ってもらった。
そしてお気づきの方もいるかもしれないけれど、性染色体の異常についても検査に含まれているので、このレポートで性別を知ることとなった。
男の子...
前回の妊娠でお別れした子は女の子だったせいか、なんだか女の子ママになるんだって気が勝手にしていたので男の子と出た瞬間なんとも言えない気持ちになった。
ちゃんと愛せるだろうか、なんて思ったりもした。
でも、そんなのは杞憂で、出産した今、息子は本当にかわいいし愛おしくてたまらない。
性別なんて大した問題ではないのだ。
次の記事では妊娠中期〜20週 Anatomy scan(解剖学スキャン)、28週Grows scan(成長チェックのスキャン)までのお話を書く予定です。
最後までお読みいただきありがとうございました。