宝屋物語 2
もう1人のPOP担当者
入社後しばらくの間、私は研修を受けることになった。
リニューアルオープンの為に、集められた各売場のスタッフが、
一緒に研修を受けた。
指導してくれた先輩スタッフも、同期入社のスタッフも、みんな
良い人達で、研修は有意義に進んでいった。
研修が終わると、肉売場、魚売場、婦人雑貨売場、婦人服売場と
みんな配属先へ散っていった。
私は、もともといたPOP担当の女性が待つ、POP室へ配属された。
そこは、外商部と売場責任者らの机がある、事務室の一角にあった。
POP担当の先輩は、私よりも8歳上の既婚者。子どもは、2人。
高校生の男の子と、幼稚園児の女の子だと話していた。
女の子が小さいので、働くということは、大変だったと思う。
頑張っているんだなぁと思った。
POP担当者は、私たち2人。
その人は、見た目からして個性的だった。
そして、やたらと自分の事を話してきた。どんな経歴で、いかに自分が
凄いかを、私に伝えたい様子だった。
話せば話すほど、仕事上歩んできた道も別だし、考え方も違うという
事が、よくわかった。
しばらくして、その人が店長の所へ行って、話をした事を知った。
「 新しいPOP担当者を採用したという事は、私は 要らないって事
ですか?」そう聞いたらしい。
店長は驚いたと思うが、
「 2人で、一緒に頑張ってもらいたい。」と伝えたそうだ。
店長の言葉に、その人は安心しただろうか。