宝屋物語 3
困った先輩
ことごとく考え方が違う先輩と私は、そりが合わなかった。
自分の価値観を押し付けてくる先輩に、困っていた。
いろいろと話しかけてきては、私の事を聞いてくる。
プライベートの事に至るまで、聞いてきた。
休みの取り方だったり、過ごし方。
旅行に行ったと言えば、それについて、とやかく言ってくる。
先輩と私では、家族構成から異なるのだから、
お金の使い方だって、違って当然。
そもそも、比べる事が間違いなのだ。
この人は、どうして わざわざ聞いてくるのだろう。
聞いてイライラするぐらいなら、聞かなければいいのにと、
私は思っていた。
私が入社する前から、先輩のターゲットにされていた
若い女性がいた。隣の部屋にある、総務の社員だった。
そのコもホトホト困っていた。
そして、私を心配して、時々 様子を見にきてくれた。
面識がなかった人たちからも、声をかけて貰うようになった。
どうやら、先輩は有名人だったようだ。
1人では大変だろうからと、人事課がPOP室に新しい人を入れる。
だけど、新しい人が続かない。
先輩と上手くやれる人が、いなかったのだ。
そういう事が、繰り返されていたらしい。
「 大変な所に来てしまった。」
私が、そう気がついた時には、すっかり渦中の人になっていた。