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宝屋物語 その後‥‥

ハローワークとポリテクセンター

 勤め先の経営破綻で失業した私は、すぐに雇用保険(失業保険)が
受け取れることになった。
さっそく、ハローワークへ手続きに行く。
窓口の担当のおじさんに、宝屋の名前を告げると、同情され、親切に
された。そして、保険の支給期間が終わっても、通っている間は
支給が延長されるからと、職業訓練の為のポリテクセンターへ行く事を
勧められた。
 そして私は、パソコンのワードとエクセルの検定を受けるべく、
ポリテクセンターで受講する事になった。
失業者が通う施設には、相応しくないと思いながら、私は赤のセリカ
2000GTRに乗って、毎日 通った。
途中、広い果樹園の横を通ったりして、なかなかの道のりだった。
私は初めて見る、一面の真っ白な『  梨の花 』に感動したり、
季節を感じるドライブだった。
それは、車の運転の練習にもなったと思う。
そして、パソコンの技能も、無事に習得出来た。
このとき私は、なかなか頑張ったと思う。

フェリーでの思いがけない再会

 宝屋の経営破綻から2年後、私は母親になっていた。
お世話になった夫の上司が、島原に転勤されたので、生後5ヶ月の
赤ん坊を連れて、家族3人で会いに行った。
 島原へ向かうフェリーの中、少ない乗客の中にひとり、見覚えのある
男性がいた。向こうも気付いたようで、目が合って会釈した。
そして、男性はサッと、何処かへ行ってしまった。
その人は、宝屋の採用担当者でもあった、元上司だった。
平日の昼間、その人は何故、島原行きのフェリーに乗っていたのか。
仕事?再就職は、出来たのだろうか。
思いがけない再会に、私は驚いた。
そして、今の幸せを、その人に見せつける事が出来て、
大変満足だった。
欲しかった赤ちゃんを授かって、家族3人で元気に、仲良く
暮らしているのだ。

 人それぞれ、人生いろいろあるけど、自分なりの幸せを見つけて、
暮らしていく。
人生は、勝ち負けなんかじゃない。
自分で、自分の幸せが何かを、決める。
自分が、その幸せを見つけて、感じる。
それで良いと思う。
今日もまた、小さな幸せを見つけよう。
そう思って、これからも暮らせたらいいなぁ。


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