「虫垂炎」で入院した話
前編はこちら⬇️
抗生剤の点滴が必要という事で急遽入院が決まった
一応、僅かな可能性にかけて「入院は絶対ですか?」と渋っている感を出してみる事でどうにかならないか様子を伺ってみたが、一瞥して「入院した方がいいと思います」と言われてしまったので大人しく従うことにした
CRPや白血球の数値が高く外来ではまず回復が間に合わないでしょう、と
きっとあそこでどうしても入院は嫌だ助けてくれと泣いて縋ったら奇跡的に入院を免れたかもしれないが、そこまででもないのでやめておいた
不謹慎かもしれないがその時私は既に入院が楽しみだったのだ
お腹は痛いし熱もあるのに好奇心という物を抑えきれなかった
33歳にして初めての経験なのだ
少しくらい胸が踊るのも許して欲しい
こんなご時世だからこそ、
「入院したくないのにしてる人に失礼です」
とかなんだりとか言う人が居るだろうという事はわかっている
今後私が重い病に伏すことがあってこの発言を後悔する事があるかもしれない
でも私はすべての事象をその時その時で精一杯楽しみながら生きているのだ
私の価値観は私のものだ
私は自分の家で作った料理をよその家におすそ分けしているつもりはない
看護師さんから大部屋と個室の希望を聞かれたがまず金額の差が10倍以上ある事に驚愕とした
大部屋ったって4人部屋なのだから個室は精々5倍くらいにするのが情けというものではないだろうか
迷わず個室にした
案内された個室は天井も高く清掃も行き届いていて、ホテル顔負けの広さがあった
私は最初10倍の価値を「常に他人が同じ空間に居る事によるストレス」が無くなることだと見出していたのだが、これは設備も素晴らしく文句のひとつも出てこなかった
思わぬ収穫があったと言えよう
緊急入院だったので、まず必要最低限の荷物しか持っていなかった私はトレーナーにジーンズという田舎の中学生みたいな格好でベッドに横になる事にした
硬いジーンズは布団との相性が最悪で、非常に寝心地が悪かったのを覚えている
個室に感動している私を知ってか知らずか看護師さんはテキパキと働き入院の手筈を整えてくれた
体温を測り血圧を測り点滴を入れ、彼女はそれらをものの数分で終わらせた
絶大なる信頼が一瞬で形成されたのは言うまでもない
「じゃあ点滴が終わる頃にまた来ますね〜」
もう行ってしまった
仕事が早ければ去るのも早い
これがプロの技なのだと感嘆した
一通り落ち着いてからは雀王戦A1リーグを見ることにした
渋からはLINEで「44」と来ていたのでほぼ期待はしていなく暇つぶし感覚で見ると、
3回戦目のオーラスでフリテンの裏3をツモってトップという実力を遺憾無く発揮した麻雀を見せつけてドヤっている姿が映し出されていた
少し期待が持てたがその後はやはり厳しい条件になって決定戦進出はできず、今期は残留という形で幕を閉じた
残念ではあるが一時期は降級もチラつく展開だっただけにまあええかと言う気持ちではあった
また来年頑張ろうね
1日3回の点滴と食事、定期的な体温と血圧の測定で看護師さんが来てくれる時間以外は丸ごと自分一人の時間だった
これがまあまあまあヒマである
療養してるから仕方ないのだが一日目から既にヒマを感じてしまっている
何をすればいいのかわからないでいると、雀王戦が終わった渋がパジャマなりタオルなりを持ってきてくれた
しかし面会時間をとうに過ぎていたので荷物だけが看護師さん経由で渡された
ようやく布団ジーンズとお別れできたことが何より嬉しい
配偶者がいることの大切さを1番感じた瞬間だったと間違いなく言えるだろう
一日の中で私の体温はかなりの振れ幅があり、
朝は37度くらいの微熱で夕方から熱が上がりだし夜には1番高い時で38.8度と落ち着かない様子であった
さすがに38度を超えてくると呑気にnoteを書こうとは思えないので今こうして書いてる間は元気な昼間の時間という事だ
腹痛はだいぶ良くなっていて、痛みをそんなに意識せずに生活できるようになってきた
ただしくしゃみや咳をすると負荷がかかるので割と痛い
不便なことといえば点滴のチューブが24時間右腕の肘内側に刺さっているので右手を思いっきり曲げられないという事だ
まっすぐな状態が0とすると4くらいから曲げると鈍痛があるため、
シャワー浴や歯磨きや食事も半強制的に左利き生活を強いられている
もちろんチューブなので思いっきり曲げても血管を突き破ったりはしないと思うのだが、怖くてまだ試してはいない
今後も試す事はなさそうだ
これを機に両利きにならないかなと淡い期待を抱いているが数日でどうにかなるものではないとわかっているので、期待は期待のまま消えていくことは明白だった
楽しみにしていた病院食については、
まず一言で言うと
「米が多い」
私に充てがわれた病院食は常食Ⅰという種類で1900kcal分あり徹底された栄養管理がされているようだった
これはある日の3食である
まず白米200gも食べられないのよ
あと米の進むおかずが少ないのよ
ていうか1900kcalも普段取らないのよ
運動もせずに部屋でゴロゴロしてるだけなのに1900kcalは確実に太るのよ
でも今は太るとかどうとかより健康第一にむしゃむしゃ食べて頑張っています
経過はおおむね良好であり4日目の朝の血液検査の結果が良ければ退院してもいいだろうという事を医師から告げられた
それにも関わらず3日目の夜38.6度の熱を出し本当に退院できるのか…?とかなり不安な気持ちにはなったがどうせ寝ているのであればやはり自宅が良い
渋もハクもいる我が家に早く帰りたいのだ
そして迎えた4日目の朝
血液検査の結果、緊張が走る
「順調に数値も良くなってますね。これなら退院も出来ますけど、どうし」
「退院したいです」
鼻息混じりに食い気味で答え、その心意気や良しという事で無事に退院する事になった
もう思い残すことは無い
充分に入院生活を満喫した
後悔があるとすれば、龍龍をたくさん打つ予定だったのだがなんだかんだで6回くらいしか打てなかった事だ
荷物をまとめ部屋を後にする
医師と看護師の皆さんには大変お世話になった
特に看護師さんは身の回りのお世話を熱心にしてもらい、点滴のテープがかぶれて痒いと言ったら変えてもらい、熱が出て苦しいと言った時は氷枕を持ってきてくれた
時おり優しい言葉もかけてもらい、メンタル面でもかなり支えになった
彼らには本当に頭が上がらない思いだ
忘れ物の確認のためにもう一度ガランと広がった個室を見渡す
あっという間だった入院生活は、周りにいる人への感謝が絶えない日々だった
人はきっと1人では生きていくことはできない
すぐそばに居る人でもいい、会ったことの無い遠くの人でもいい、そんな人達に感謝の気持ちを忘れずに
人は人によって助けられて、救われて、
助け合いながらこれからも日々を歩んでいく
「虫垂炎」になった話前後編終わりました!
ばーーっと書き上げて勢いで公開してるのですが読み返す度にちょっとずつ誤字脱字を見つけては直したり文章を足したり、って出来るのがnoteの利点でもありますね…!
そしてたくさんリプやサポートくださった皆様ありがとうございます
どうか皆様も毎日を楽しく健やかでいられますように!
定期的な健康診断と、もし身体に少しでも不調があれば病院へ行きましょうね!
それではまた!