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心の中の夏

「平成最後の夏」と聞いたとき、浮かぶ感情はなんだろう。

謎のクライマックス感にドキドキする人もいれば、なにかが終わるような気がしてさびしく思う人もいるかもしれない。

ドキドキしてる人は、もともとこの季節が好きなんだろう。夏のポジティブな部分が、心や思い出にフィットしているんだ。
海、花火、スイカ。いろいろあるけど、確かにそのすべてに爽やかな風情を感じる。

反対に、さびしく思っている人は、もともとこの季節に居心地の悪さを感じているんじゃ。
ちなみに僕はこっちのタイプ。はばかりもなく言えば、夏はいけてる男女のための季節であると思っていた。照りつける陽射しは彼らのスポットライトであって、僕はそのライトを持っている係りを押し付けられたのだと。

でも、嫁さんと暮らしはじめてからは、悪くないかなと思っている。

行ったことがない花火大会にいった。海にいって、浜辺を歩いたり。家族で蛍を見に行くこともあった。浴衣を着て化粧をした彼女の、あまりのおかめちゃんっぷりに笑いそうになりながらも、「可愛いよ」なんて言ったりもした。

出不精である僕は、夏にでかけることなんてほとんどなかった。クーラーのきいた室内の気持ちよさこそが全てであると思っていた。
嫁さんが連れ出してくれたおかげで、夏の別の姿を見ることができた。

あのスポットライトは、いけてる男女のためだけにあるのではないのだと思い直した。彼等は自らそこへ駆けて行くから照らされるのだ。
そしてキラキラした思い出で彩られた、この季節を好きになるのだろう。

ー平成の最後の夏

それでも、僕と嫁さんの夏は、来年もその次もくる。まだ胸をはっては言えないけれど、僕は彼女と過ごす夏が好き。

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