底にこべりついたココアを見つめ尚ミルモを待つ
自分でもよくわからない自分をとりあえず放って、周りに反射させて己を知る。これを繰り返して証拠を集めて実像に迫る。正解してるのかどうなのかもわからないし、正解することが良いことなのかもわからないけど、とにかくその作業を繰り返すために心があったり身体がある気がする。
心の友Oがわたしの住む山の方まで来てくれた。旅先で国宝の石と同時にわたしの頭皮のハゲ方を見てくれたり、墓場の鬼太郎の話をしてくれるような友。本当に心の友だと言える。出逢えて本当にうれしい。
今回の旅で、わたしの今までをエアもがきと名付けてくれた。将来エアもがきの本など出す際は太田光がしているみたいに帯をしてもらいたい。エアもがきの第一人者だ。
旅の夜は大抵、お熱な男の話に決まっている。修学旅行の時からそれが相場である。にも関わらずOは、そのほとんどをわたしのエアもがき人生の解明に費やしたのだった。
わたしは昔、「ikura negitoro って自分の話ばっかだよね!それだからモテないんだよ!」と切り付けられてから自分の話をするのが怖くて仕方がない。その刃を抜いたら抜いたで血が止まらず、フラフラしながらめちゃモテ本を読みあさり、聞き上手の勉強をした。
謙遜とか自己否定でなく、事実として心から素直なアホであるわたしは勉強ができない。時間をめちゃくちゃ費やすのに、集中しているようでしていないため、知識が一握の砂になる。例えば墾田永年私財法を覚えるために100回ノートに書くけど、墾の字を間違えたまま90回目で気づくとか、そういうことばかりしてきた。だからめちゃモテ聞き上手の勉強は、まぁそういう感じで終わった。
そういうわたしの話を、相場差し置いて旅先で全面的に聞いてもらえるなんて。大人になるって本当に良いなと思った。しかも、文字通り解明してくれるのだ。
わたしはつまり、
・ココア注いでもいつまでもミルモが来なくて拗ねても拗ねても尚来なくて、キレ散らかして不貞腐れている
・しかもそれを人に悟られないようにひた隠して、自己肯定感が低い感じを装っている
・自分のことをナルトだと思っていて、いつかめっちゃすごい九尾の力が出ると思っている
・のに実際そうじゃないのでマジでキレている
・普通はある程度の年で現実と漫画は違うと、良い意味で諦めて受け入れるのにそれをしないまま大きくなった
ということになった。
めちゃくちゃしっくりきた。わたしなんてとか言ってやってきたけど、キレて拗ねてただけだった。笑える。だから、エアもがきなのである。説明書があるのに早々に捨てて何!?動かないけど!?ハァ!??意味わかんねぇよ!!!わかりやすいものよこせよ!!!ってずっとキレているのである。笑っちゃうけど、ずっとそうしてきた。
わたしは28歳のこの期に及んでずっとミルモを待っているし、Nの傷が疼いて光るのを待っているし、ペットのおサルが何言ってるかわかるのを待っている。(Dr.リン)雨に降られたらマーメイド(るちあ)になるつもりでいる。だけどそれらになるために何もがんばりたくない。頑張ってもがんばり方を間違えてばかりだったので頑張るのも怖いしすぐ飽きるし、掲げた目標も誰かの真似の虚像であったり。もうどうしようもない。
この事実を知って、というか旅の中で解明してもらって、今である。どうにか、彼女にエアもがき解明の第一人者として名を馳せてもらいたい気持ちもしている。わたしとしてもこのエアもがきの元を取りたい。それで例に漏れず大袈裟だけど太宰治の読後感みたいなものを必要な人々に渡したい。頼もう!!!!!!!!!