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イコールハウスかプラシーダスか。マルセル・プルーストのネイタルチャートより考察。

1.考察をしようとしたきっかけ

※この記事の内容は決してどちらのハウスシステムが優れているとか、正しいとかいうものではありません。

 最近、伝統占星術の広がりからか、イコールハウスシステムで作られたホロスコープチャートを見かけます。

 ハウスシステムの説明は割愛しますが、最近、伝統占星術の広がりがあること、また、高緯度でチャートを作成するとハウスにサインの偏りがあることから、イコールハウスシステムを採用されやすい事情があるようです。

 ちなみにこの記事を書くきっかけは占いアカデミー、キャロル・テイラー先生の講座「アセンダントーディセンダント」のサンプルチャートがマルセルプルーストでした。

 イコールハウスで作られたプルーストのネイタルチャートがド派手であり、もう一度再見しようとastro-seekでプラシーダスのネイタルチャートを見て、やはり二度見してしまうような凄いチャートでした。

 ちなみに私はハウスシステムについては、イコールハウス以外は、きちんと把握していないので、プラシーダスを基本使用しています。

 ただし高緯度地帯でのチャート作成はハウスの偏り減らすためにコッホを使いチャート作成します。

2.マルセル・プルーストのイコールハウスとプラシーダスでのチャート

というわけでマルセル・プルーストのネイタルチャート、イコールハウスです。

マルセル・プルースト(イコール)

 プルーストは大長編小説「失われた時を求めて」の作者であり、ネイタルホロスコープはアングル三つに惑星がコンジャンクション。Tスクエア(キロンを含めればグランドクロス)にグランドトラインというなんともダイナミックな配置です。

 非常に興味をそそられるネイタルチャートですが、講座内でのホロスコープは上の図、イコールシステムが使われました。

 一方、Astroseek、Astrodienstといった西洋占星術ではお馴染みのデータバンクではプラシーダスで計算されたプルーストのネイタルホロスコープが提示されています。

マルセル・プルースト(プラシーダス)

 日本では、プラシーダスで作成されてもハウスにサインの偏りがなく、ホロスコープの作成にはデフォルトで設定されていることもあり、馴染み深いと思います。

 一方で、高緯度帯のヨーロッパではプラシーダス等、イコールハウスシステム以外で作成したネイタルチャートは、ハウスにサインの偏りがあり、例えば、一つのハウスに二つのサインが存在することもあります。

 また、一つのサインが二つのハウスカスプを持つことも。

 プルーストのプラシーダスのチャートもそうですよね。そう言った事情から、イコールハウスシステムが取られることもあるようです。

3.プルーストのチャートリーディングからの両ハウスシステムの比較

 ただ、私自身、どちらが読みやすいのか気になるところです。リーディングして比較してみることに。

 プルーストの作品「失われた時を求めて」は読んだことがなく、本人の情報も0に近いので、ざっとWikipediaやネットの情報による、プルーストのネイタルチャートリーディングであることはご承知おきください。

金星からの比較

 プルーストのネイタルチャートをみたときに、ディセンダントは天秤のサインであり、プルーストが社交界に出入りしていた事実をそのまま表しているようです。

 天秤の支配星は金星。プルーストの金星は乙女座にあります。

 興味深いと思ったのは、講座内で提示されたイコールハウスでは乙女座の金星は5ハウス

 プラシーダスでは6室に滞在しています。

 プルーストのWikipediaでの来歴では、イコールハウスの5室の遊興の部屋は社交界の出入りということで、ふさわしいと思います。

 一方で平民の出であったプルーストが社交の場では太鼓持ちといった役回りだったことはプラシーダスの6室乙女座金星フォールを表しているようでもあります。

 この金星は1室牡牛座月、MC直前の山羊座土星とグランドトラインになっており、乙女座金星は、4室蟹座水星に支配されています。

 天体の支配状況も、金星(乙女座)→水星(蟹座)→月(牡牛座)→金星(乙女座)となっており、このディセンダントルーラーの乙女座金星が、大長編小説の「失われた時を求めて」に大きく関与していると考えても良いでしょう。

 プルーストにとってのWorkが小説であるならば、水星に支配されているプラシーダスの6室乙女座金星という見方はしっくりくる一方で、彼の普通ではなさそうな恋愛事情はどうみていけば良いのか、という疑問が浮かびます。

 この点、イコールシステムはグランドトラインを構成する乙女座金星が5室に入ります。

 一方、プラシーダスではややカスプから遠くはありますが、5室5度前に蟹座の天王星があります。

 この天王星はAsc上の海王星とスクエアになっており、天王星は11室友人の部屋、12室隠れた部屋の支配星です。

 どちらのハウスシステムでも、プルーストの恋愛状況を示していると考えられるでしょうが、個人の印象としては、乙女座金星フォールがどこまで影響を及ぼすのか、また、金星はグランドトラインの一角であることから、プラシーダスの方がより状況を表しているのかな?という印象は残ります。

4.ハウスシステムの比較をしない、その他のリーディング

ICに惑星がコンジャンクションするネイタルについて

 その他のネイタルチャートの特徴としては、何よりも強いIC蟹座木星の存在ということでしょう。いわゆる実家の太さ、と言われる状況でしょうか。

 私自身、IC上に惑星があるネイタルを持っているので、IC上の惑星は家系や家の状態を表しているというのはしっくりきます。

 この蟹座木星を牡牛座月と、乙女座金星と、アスペクトがあるとみなすには、月がアプライであり、足の速い天体であることから、月と木星のセクスタイルは考えても良いかもしれません。

 また、木星が月に支配されていることから、プルーストの家庭の状況はプルーストに大きな精神上の安らぎを与えていたかもしれませんね。

 Asc上の海王星やチャートルーラーの火星の状況は講座でも取り上げられたように、プルースト自身の体調の悪さ、また就労が続かない、といったことが考えられます。

5.まとめ

 今回のリーディングは、マルセル・プルーストの来歴では執筆活動と恋愛が大きく印象に残ったので、金星でのリーディング比較となっています。

 私はプラシーダスの方が読みやすいと感じましたが、それぞれの個々の読み方があるので、どの方法が正しいとかはやはりないのでは?と思います。

 ホロスコープチャートリーディングは正しさ、正確性の追求もあるとは思いますが、楽しんでホロスコープチャートを読みたいですね。

 また、一点、心残りはプルーストと出版社側とどのような関係性があるのか、インターネット上の情報からでは少なかったことで、リーディングできなかったことです。

 MC近くの山羊座土星は仕事を表していそうなので、いずれ読み解いていきたいです。

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